「はだしのゲン」をもとにした「#ゲンコラ」 「標準語と広島弁の対応表」が作者たちに刺さる

    Twitterユーザーたちの需要にマッチ。

    漫画「はだしのゲン」のワンシーンを用いたコラージュがTwitterで流行中です。「#ゲンコラ」として、多くの人が吹き出しや絵の一部を変え、投稿しているんです。

    世界の秘密に気付いてしまったゲン。 #ゲンコラ

    本作では看板屋の仕事をはじめた主人公のゲンが、徹夜で絵の練習をしている場面をコラージュしたもの。

    現在、このシーンが多用されているのですが、一部の作品に対して正しい「広島弁」が使われていないとの指摘が複数あります。

    そんな中、ゲンコラを描こうしている作者が「広島弁が書けなくてゲンコラが難しい」といったツイートも。

    そのため、みいろさん(@miiro4044)が「標準語と広島弁の対応表」を作って投稿したところ、瞬く間に拡散しました。

    ツイートは5月31日午後5時現在、1万件以上リツイートされており、「わかりやすい」といったコメントだけでなく、「この言葉を追加してみては?」との提案までたくさん寄せられています。

    Twitterユーザーたちの需要に応えたみいろさんですが、広島県出身ではないそうです。ただ、「広島弁には馴染みがあるので、広島弁解説や原作などを確認しつつ書きました」とBuzzFeedに話します。

    対応表は、ゲンコラで使われそうな言葉に絞って14項目に。悩む人が多いように見えた語尾を中心にピックアップしたといいます。

    「読む側のほとんどは広島弁話者ではありませんから、広島弁を流暢に書けるようになる必要はなく、ゲンっぽく見える言葉を書ければそれで良いと考えています」

    「省いた広島弁については、リプや引用リツイートで多くの方々が追加・説明してくださっていますので、確認していただければ幸いです」

    ここまで大きな反響があるとは思わず、みいろさんは驚くとともに困惑しているそうです。

    「自分で良かったのかという不安と申し訳なさはあります。ですが、せっかくの機会ですので、このツイートを通じて広島弁のことを皆さんに知っていただければ嬉しいですね」

    作者の中沢さんが込めた思い

    「はだしのゲン」は、作者である故・中沢啓治さんが広島市への原子爆弾投下による自身の被爆体験を元に描いています。

    原爆への憤りや平和を希求する思いが、ゲンたちの姿を通じて伝わる内容です。

    2009年、中沢さんは「はだしのゲン」の英訳化が完成したのを機に、オバマ・元米大統領に宛て手紙を書いており、次の一文で締められています。

    「はだしのゲン」が貴方の決意を世界中の平和を希求する人達(たち)のより確かな目標にするための手助けになることを心から祈ります。

    手紙は、オバマ氏のもとに届かなかったとされますが、彼の広島訪問は2016年に実現しました。

    「はだしのゲン」は被爆の惨状や平和の尊さを学べる作品です。これを機に、オリジナルの作品をまだ読んだことがない人は、ぜひ手にとってみてください。