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【高校野球】地元の公立校が見せた「生きる力」 市尼崎の思いは届いた

エースが粘り、9回裏の同点劇。球場が揺れた。

甲子園に33年ぶりに地元の公立校が帰ってきた。球場には、地鳴りのような声援が響いた。

6回表八戸学院光星無死、田城が同点本塁打を放つ=時事通信

2回目の出場となる兵庫代表・市尼崎。前田大輝主将は開会式の選手宣誓で、こう声を張り上げた。

「私たちのプレーに共感と新たな希望、そして生きる力を感じてくだされば、本当に幸せです」

初戦の相手は、2年ぶり8回目出場の八戸学院光星。春夏合わせて3度の準優勝経験がある。

炎天下のもと、球場には約2万6000人が詰めかけた。強豪に挑む地元の公立校に大声援が湧く。

先発したのはエース・平林弘人投手(3年)。

力投する市尼崎先発の平林=時事通信

6回に本塁打などで一挙4点を失ったが、粘りの投球を続けた。

兵庫大会決勝では、試合中に鼻血を流し、ピッチャーライナーの直撃を喰らいながらも完投した。

この日も、右手の爪は割れ、球数は180球を超えた。第一試合ながら、気温は一気に30度を上回った。

2点差で迎えた9回裏。地元公立校の健闘に、甲子園の大声援が続く。

「よく聞け。こんな応援、聞いたことないやろ」

竹本修監督の言葉に奮い起つ選手たち。そして、逆襲が始まった。

先頭の前田主将がレフト前ヒット、続く谷尻尚紀捕手(2年)が二塁打で1点を返し、9番・殿谷小次郎三塁手(2年)がライトへの犠牲フライで同点に。今大会初の延長戦にもつれ込んだ。

「楽しくて、素晴らしいところでした」

10回表八戸学院光星2死満塁、一塁に滑り込み内野安打とした田城飛翔。右は市尼崎先発の平林弘人=時事通信

10回表に1点を奪われ、その裏。2死二塁で打席に立ったのは平林投手だった。

フルカウントに追い込まれ、爪が割れた右手でバットを握りしめる。外角スライダーに空振り。勢いで体が一回転するほどのフルスイングだった。

竹本監督は、試合後のインタビューで、強豪相手に食い下がった選手たちをこう振り返った。

「本当に普通の子どもたちでした。野球、甲子園を通じて成長した姿を見ることができて、感謝しています」

球場からは、温かい拍手が送られた。

「私たちのプレーに共感と新たな希望、そして生きる力を感じてくだされば、本当に幸せです」

負けても、チームの思いは届いていた。

バズフィード・ジャパン ニュース記者

Kensuke Seyaに連絡する メールアドレス:kensuke.seya@buzzfeed.com.

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