名作ドラマ『フレンズ』は多様性に欠ける!?長年の指摘に、主演が言及
Netflixなどのサブスクリプションでも広い層のファンを獲得している、シットコムの名作『フレンズ』。主要キャストや設定が「白人すぎる」という批判の声が、この数年でより強くなっています。主演の1人、ロス役のデヴィッド・シュワイマーがインタビューで語りました。
テレビドラマ『フレンズ』は、シチュエーション・コメディ(シットコム)の超代表作。1994年から10年間、アメリカやその他多数の国と地域で放送されました。現在も、世界中に幅広い年代のファンがたくさん!
アメリカ・ニューヨークを舞台に、ロス、レイチェル、モニカ、チャンドラー、フィービー、ジョーイ(左から順)の男女6人の生活、仕事、恋愛模様などを描きます。
10シーズン・全236話が放送されました。今は、Netflixやアマゾンプライム・ビデオ(有料レンタル)で視聴できます。
放送終了後も根強い人気を誇る作品ですが、これまで数々の批判がありました。

例えば、ジェンダーにまつわる考え方が固定的だという批判。
主人公の1人ロスは、自分の息子がバービー人形で遊ぶことを受け入れられなかったり、男性のベビーシッターを拒んだりします。理由は、男性がベビーシッターをするなんて「変だから」。
放送終了から15年以上経った最近は特に、女性・ゲイ・トランスジェンダーなどに対する、否定的で差別的なセリフや設定も、頻繁に批判されるようになりました。
例えば、ジョーイがルームメイトの募集要項に「美人」と書くシーン。また全シーズンを通して、男性キャラクターが女性を「性の対象」としか見ていないかのように受け取れるジョークも、数多く使われています。
他には、トランス女性であるチャンドラーの父親の扱いや、「トランス女性」を揶揄したジョークも差別的だと取り沙汰されています。
中でも長年指摘されてきたのは、主要キャストや主要キャラクターのライフスタイルが「ホワイトすぎる(白人すぎる、多様性に欠ける)」という点。

製作者の1人、マーサ・カウフマンは以前、「今『フレンズ』を制作するとしたら、全く違う選択肢があったと思う」と話しています。
「今私が知っていることを、あの時(放送時)も知っていればよかった。全く違う決断をしたはず」
主人公の1人、ロスを演じたデヴィッド・シュワイマーも、同作にはもっと多様な人種のキャストを採用すべきだったとインタビューで語りました。

「多様性の表象が十分になかったことは、間違っていたと思う」
「ドラマを見たことがある人は知っていると思うけれど、ロスは人種差別主義者で、同性愛嫌悪者で、性差別主義者で、はた迷惑な乱暴者で、それなのに自信に満ち溢れている。彼の欠けている知性は、その自信で補われていたんだ」
別のインタビューによると、デイヴィッドは製作陣に「多様な人種を採用するよう」勧めていたそうです。作中でロスがアフリカ系や中国系のアメリカ人と交際するのには、こういった背景があったのです。

一方で、デヴィッドは『フレンズ』で当時進歩的だった点も挙げています。それはロスと、ロスの元妻キャロルと、彼女のパートナーのスーザン3人の関係。

ロスとキャロルの間にできた息子を、3人で協力して育てます。
「『フレンズ』は素晴らしい仕事もしている。同性婚について、そして(同性婚が)どうやって家族として機能していくかを、番組で描いている。これはいいことだと思う」

HBOは今年、同キャストで『フレンズ』の続編を制作する予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で延期になっています。制作再開の時期は、未定のままです。

「撮影のために、誰かの健康を害するなんて誰も望んでいないからね」とでデヴィッド。
デヴィッド・シュワイマーのインタビュー(英語)は、エンターテインメント・トゥナイトのサイトからご覧いただけます。
この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:髙橋李佳子