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即位礼正殿の儀、注目ポイントは「おことば」と「万歳三唱」の発声

天皇の即位を内外に宣言して祝う「即位礼正殿の儀」が、10月22日午後1時から皇居・宮殿で実施される。天皇陛下は「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」と呼ばれる装束で、玉座「高御座(たかみくら)」から、即位に際してのおことばを述べられる。

天皇の即位を内外に宣言して祝う「即位礼正殿の儀」が、10月22日午後1時から皇居・宮殿で実施される。

天皇陛下は「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」と呼ばれる装束で、玉座「高御座(たかみくら)」から、即位に際してのおことばを述べられる。

平成の時は「憲法を遵守」を明言

今回の即位礼正殿の儀でも、天皇陛下がどのようなおことばを述べられるのか注目が集まる。

1990年に執り行われた平成の「即位礼正殿の儀」では、前の天皇陛下(現 上皇さま)は平易な口語体でおことばを述べられた

これは昭和天皇が、天皇の一人称「朕(ちん)」を用いて、「祖宗ノ威霊ニ頼(よ)リ」「大統ヲ承ケ恭シク神器ヲ奉シ」と、恭しく宣言した勅語とは対照的だった。

明治憲法における「統治権の総攬者」から、日本国憲法における「象徴」へと天皇の地位が変わってことを改めて印象づけた。

また、「日本国憲法を遵守し、日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓い」と述べられ、憲法99条「憲法尊重擁護義務」を意識した文言も注目された。

5月に即位された天皇陛下も、即位当日のおことばで「憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たす」と憲法に言及。

「平成流」と呼ばれた上皇さまと同様、平易な言葉遣いで国民に呼びかける形をとられた。

8月の戦没者追悼式典でも、戦争への「深い反省」と犠牲への「深い悲しみ」を表明するなど、上皇さまの思いを受け継がれた

首相の万歳三唱の掛け声、国民主権に配慮

即位礼正殿の儀では、天皇陛下のおことばに続き、安倍首相が「寿詞(よごと)」と呼ばれる祝辞を述べた後、万歳三唱を発声する。

昭和天皇の即位礼では、当時の田中義一首相が寿詞を述べたあと、中庭に降りて「万歳三唱」を発生した。

しかし、1990年の即位礼正殿の儀では、この万歳三唱の掛け声が議論になった。

当時の海部俊樹首相は、中庭ではなく「松の間」の殿上で、「ご即位を祝して」と万歳の趣旨を前置きで明言し、三唱を発声した。

海部首相の服装も、伝統的な束帯姿ではなく燕尾服だった。

こうしたスタイルは、主権者である国民の代表(首相)が、天皇に「臣下の礼」をとるような形は好ましくないと、憲法の国民主権に配慮したものだった。