安倍晋三首相の在職日数が6月7日、第1次内閣からの通算で2721日となり、歴代単独3位となった。
このまま安倍政権が存続すれば、8月23日には戦後最長だった佐藤栄作と並び、11月20日には桂太郎を上回り歴代最長となる。
6月7日現在、歴代首相の通算在職日数のトップ10は以下の通り。
1位:桂太郎 2886日

(任:1901〜06、1908〜11、1912〜13)
・日英同盟の締結(1902)
・日露戦争を遂行(1904〜05)
・韓国併合(1910)
・「大逆事件」で社会主義者を弾圧
2位:佐藤栄作 2798日

(任:1964〜1972)
・7年8カ月、戦後最長の長期政権
・日韓国交正常化(1965)
・公害対策基本法の成立(1967)
・沖縄返還協定に調印(1971)
・安倍首相の大叔父
3位:安倍晋三 2721日

(任:2006〜2007、2012〜)
4位:伊藤博文 2720日

(任:1885〜88、1892〜96、1898、1900〜1901)
・初代首相
・旧薩摩藩、長州藩出身者を中心とする藩閥内閣
・大日本帝国憲法の草案完成
・日清戦争(1894〜95)を遂行
・陸奥宗光外相らの活躍で列強との不平等条約改正
・初代韓国統監を辞任した後、ハルビン駅頭で暗殺される(1909)
5位:吉田茂 2616日

(任:1946〜47、1948〜54)
・日本国憲法の公布(1946)など、戦後の民主化を推進
・サンフランシスコ講和条約に調印(1951)
・国会質疑で「バカヤロー」と暴言、これをきっかけに解散総選挙(バカヤロー解散、1953)
・造船疑獄の発覚で有権者の支持を失った
6位:小泉純一郎 1980日

(任:2001〜06)
・在任期間は5年超、組閣時の内閣支持率は戦後最高の78%
・「改革なくして成長なし」などのキャッチフレーズ
・党内の抵抗勢力との対立を演出し、その手法は「小泉劇場」と呼ばれた
・「聖域なき構造改革」を掲げ、省庁再編や財政支出削減を断行
・米同時多発テロ後に「テロ特措法」を制定(2001)
・歴代首相で初めて北朝鮮を訪問。金正日氏と「日朝平壌宣言」(2002)
・イラクに自衛隊を派遣(2004)
・郵政民営化法案(2005)
7位:中曽根康弘 1806日

(任:1982〜87)
・約5年におよぶ長期政権
・変わり身の早さから「風見鶏」の異名
・「戦後政治の総決算」を掲げ、防衛費の対GNP比1%枠の撤廃、中期防衛力整備計画を策定
・親米姿勢を打ち出し、レーガン米大統領との「ロン=ヤス」関係を構築
・「日本列島浮沈空母」構想を提起
・電電公社、専売公社、国鉄などを民営化
8位:池田勇人 1575日

(任:1960〜64)
・戦後の高度経済成長を推進
・「寛容と忍耐」を掲げ、所属倍増計画を発表
・三井三池炭鉱の労働争議の解決に成功
・日中関係の改善に尽力
・池田首相の病気のため総辞職
9位:西園寺公望 1400日

(任:1906〜08、1911〜1912)
・日露戦争後の南満州鉄道設立など、朝鮮・満州の経営を推進
・「帝国国防方針」基づき、鉄道国有化や軍備拡張などを実施
・陸軍と「二個師団増設問題」で対立し、総辞職
10位:岸信介 1241日

(任:1957〜1960)
・岸自身は戦時中の東條英機内閣で商工相。A級戦犯容疑者となるも不起訴
・アイゼンハワー米大統領らと日米関係の改善を進めた
・日米安全保障条約の改定に調印(1960)
・安保改定で「安保闘争」と呼ばれる激しい反対運動を受けたが、強行採決で国会承認後に総辞職
・安倍首相の祖父
なお、通算在職日数が最も短かったのは戦後直後に組閣された東久邇宮内閣。わずか54日だった。

(任:1945年8月17日〜10月9日)
・「ポツダム宣言」を受諾した鈴木貫太郎内閣の後を受けて成立
・東久邇宮稔彦王を首相とする史上唯一の皇族内閣
・「1億総懺悔(ざんげ)」「国体護持」を掲げ、戦後処理に対応
・旧日本軍の武装解除、連合国軍との降伏文書調印を遂行
*参考文献
山川出版社『新版 山川日本史小辞典』
旺文社『日本史小辞典 三訂版』