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「水や泥で汚れた古文書を捨てないで」歴史研究者の団体が呼びかけ《台風19号》

「一見するとゴミのように見える場合がありますが、地域の貴重な歴史を記録したかけがえのない財産です」

時事通信

10月14日、長野市 

台風19号で水害の被害を受けた地域で、古文書などの貴重な歴史資料が散逸する恐れがあるとして「水や泥で汚れた古い記録を捨てないでほしい」と、歴史研究者らのボランティア団体「歴史資料ネットワーク」がメッセージをだしている。

同団体は、水や泥に浸かってしまった古文書や古い書籍などは「一見するとゴミのように見える場合がありますが、地域の貴重な歴史を記録したかけがえのない財産」として、歴史資料の保管を呼びかけた。

こうした資料の処置に困った場合は、自治体の教育委員会や歴史資料ネットワークに相談してほしいとしている。

どんなものを保全すれば良い?

歴史資料ネットワーク / Via siryo-net.jp

歴史資料ネットワークでは、「地域や家族・個人の歩みを示す貴重な資料」として下記の保全を呼びかけている。

  • 古文書(くずした文字で和紙に書いたものなど)
  • 古い本(和紙に書かれて冊子にしてあるものなど)
  • 明治・大正・昭和の古い本・ノート・記録(手紙や日記など)・新聞・絵
  • 写真やフィルム、ビデオテープやホームムービーなど
  • 古いふすまや屏風(古文書が下貼りに使われている場合がよくあります)
  • 自治会などの団体の記録や資料
  • 農具、機織りや養蚕の道具、古い着物など、物づくりや生活のための道具など
歴史資料ネットワーク / Via siryo-net.jp

たとえ泥や水で汚れた紙資料でも、カビが生えるなど劣化していることはあるが、適切な処置で修復可能な場合もある。

ただ、冊子を無理にこじあけたり、天日やアイロン、ドライヤーなどで急激に乾燥させると資料を損傷させるおそれがある。

歴史資料ネットワークは、資料保全の応急措置について公式サイトにまとめているが「電気や水道のライフラインの復旧状況が許す範囲内で対応してください」とした上で、対応に迷った際はすぐに相談してほしいと呼びかけている。

歴史資料ネットワークとは

声明を発表した「歴史資料ネットワーク」は、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに関西に拠点を置く歴史学会を中心に結成。このときは約2年間に段ボール1500箱分の資料を「救出」した。

これまでにも2011年の東日本大震災をはじめ、直近でも西日本豪雨、大阪北部地震での資料保全に努めてきた。

岡山ネットさん→okayamasiryonet 展開が完了したものです。1枚広げるのに5分程度は必要です。そのため、なかなか一気に作業は進みません。

歴史資料ネットワークでは、災害時の歴史資料の保全の重要性について、以下のようにコメントしている。

「私たちがこのような活動を行ってきたのは、災害が起きるとそれを契機に家や蔵に古くから置かれていた歴史資料が破棄・処分されてしまうことがよくあるからです。これまでも、私たちが駆けつけた時にはすでに歴史資料が処分された後であったということが何度もありました」

「家々にはさまざまな形で家の記録や地域の歴史を伝えるものが数多く残されています。しかし、今回の災害により長く伝えられてきた古い文書や記録などがなくなってしまうとすれば、それは家にとっても地域にとっても残念なことといわざるをえません」

「地域と、そこに生きた人々の歴史を復元するための唯一かつ貴重な地域の歴史資料の保全活動にご協力を賜れば幸いです」

(サムネイル:Twitter(@siryo_net)、歴史資料ネットワーク(史料ネット))