海上自衛隊の「P1哨戒機」が韓国海軍の艦艇から射撃用の火器管制レーダーの照射を受けたとされる問題で、防衛省は12月28日午後、哨戒機が撮影した当時の映像を公開した。
映像は約13分間。レーダー照射を受けたとされる哨戒機の乗組員らの通信と、韓国艦艇を捉えた映像が記録されている。
まず、経緯を振り返る
防衛省によると、12月20日午後3時ごろ、石川県能登半島沖で海上自衛隊のP1哨戒機が、韓国海軍の駆逐艦から火器管制レーダーを照射された。これを受けて、日本政府が韓国に抗議した。
射撃用の火器管制レーダーは、ミサイルなどを発射する際、目標に照準を合わせて追尾するために使われる。
韓国政府は「遭難した北朝鮮船舶の捜索中にレーダーを使用したが、自衛隊機を追跡する目的で運用した事実はない」「光学カメラだけを作動させた。レーダー照射は一切行っていない」と否定した。
これに対し日本側は「複数回照射されたことを確認している」と再び反論。日韓両政府の主張が真っ向から対立している。
映像の内容は?
動画は13分7秒。6分4秒頃から、哨戒機が韓国艦艇の火器管制レーダーを探知した場面が映っている。
また、乗組員たちが火器管制レーダーの照射に対処する音声も収録されている。
「出しています」
哨戒機の乗組員が「出しています」「FC(火器管制レーダー)系出してる」など、レーダーの照射を受けたことを報告する音声が入っている。
「間違いなく向こうのFC系」
また、複数回に渡ってレーダーの照射を受けている様子も伺える。
韓国艦艇からは応答なし
映像では、哨戒機が「UHF緊急周波数」を含む3種類の周波数で、韓国艦艇に「射撃管制用レーダーのアンテナが我々を指向していることを確認した。目的は何ですか」と呼びかけるも、韓国艦艇から応答がなかった時の音声も収録されている。
防衛省はこの映像について、日本側の説明の客観性を裏付けるものだとしている。
一方で韓国国防省は、防衛省が当時の映像を公開したことに遺憾の意を示した。
NHKニュースによると、韓国国防省の報道官は「単に哨戒機が旋回する場面と乗員たちの会話の場面があるだけで、追跡レーダーを照射したという客観的な証拠だとはいえない」とコメントを発表。従来どおり、自衛隊の哨戒機を狙ってレーダーを照射したことはないと主張した。