麻生氏「子ども産まない方が問題」発言→「誤解与えた」 と撤回(4年ぶり2回目)

    麻生氏は4日、衆院の予算委員会で「誤解を与えたとすれば撤回する」と述べた。

    麻生太郎副総理(兼財務相)が2月3日、福岡県内で開かれた国政報告会で少子高齢化で社会保障費が増大していることについて「(年を)取ったやつが悪いみたいなことを言っている変なのがいっぱいいるが、それは間違っている。子どもを産まなかった方が問題なんだ」などと発言した。西日本新聞などが伝えた。

    講演の中で麻生氏は、中長期的な政策課題として少子高齢化を取り上げた。その上で、日本人の平均寿命が延びていることを「素晴らしいことだ」と評価した

    一方で、高齢者世代を支える現役世代が減少していることに触れ、「いかにも年寄りが悪いという変な野郎がいっぱいいるけど、間違っていますよ。子どもを産まなかった方が問題なんだから」と発言した。

    その上で65歳以上への継続雇用の引き上げや、幼児教育無償化など「全世代型社会保障改革」の必要性を主張した。

    麻生氏は4日、衆院の予算委員会で「誤解を与えたとすれば撤回する」と述べた。

    「少子高齢化の問題は1つにくくられているが、高齢化とか長寿化が問題というより少子化の方が社会・経済の活力とか、社会保障とか、財政の持続可能性の脅威となるんだということを申し上げた」

    「発言の一部だけが報道されて本来の発言の趣旨が伝えられずに誤解を与えるようになったのだと思う。発言は気をつけたい。誤解を与えたとすれば撤回させてもらう。家族の在り方に関する多様性が尊重されるべき点や、子どもを産みやすく育てやすい環境を作っていくことが重要だという点は当然だと考えている」

    (麻生氏、2月4日衆院予算委員会での答弁)

    野党「人権感覚がまったくない」と批判

    麻生氏は過去にも同様の発言をして批判を受けている。

    2014年12月の衆院選では、応援演説で「高齢者が悪いというイメージをつくっている人が多いが、(女性が)子どもを産まないのが問題だ」と述べた。

    このときも麻生氏は「誤解を招いた」として釈明した。麻生氏は、4年2カ月前と同じ轍を踏んだことになる。

    “安倍政権の屋台骨”とされる麻生氏の度重なる失言に、野党は批判を強めている。

    立憲民主党の辻元清美国対委員長は2月4日、麻生氏の発言について「大問題だ。『麻生節』ではすまされない。人権感覚がまったくない」と批判した

    平均寿命の伸びを評価→過去には“真逆”の失言も

    少子高齢化の原因を「産まなかったほうが問題」と述べる一方、平均寿命が伸びていることを評価した麻生氏。ところが、過去には“真逆”の失言で批判を浴びたことがある。

    2013年1月に開かれた社会保障国民会議。この時、麻生氏は終末期医療に言及。「さっさと死ねるようにしてもらうとか、いろんなことを考えないといけない」などと発言し、のちに撤回した

    麻生氏は終末期医療や延命治療に言及した際、終末期の患者を「チューブの人間」と表現し、「私は遺書を書いて『そういうことはしてもらう必要はない。さっさと死ぬから』と書いて渡してある」と発言。

    さらに「いい加減死にてえなあと思っても、『とにかく生きられますから』なんて生かされたんじゃあ、かなわない。しかも、その金が政府のお金でやってもらっているなんて思うと、ますます寝覚めが悪い」などと述べた。(朝日新聞・2013年1月22日朝刊)

    2016年6月には、北海道小樽市での講演で「90歳になって老後が心配とか、わけの分かんないこと言っている人がこないだテレビに出てた。オイいつまで生きてるつもりだよと思いながら見てました」と発言。高齢者への配慮に欠けた発言として批判を受けた。

    当時、麻生氏は75歳だった。

    のちに麻生氏は「高齢者が安心できる環境を整えるという趣旨で申し上げた。侮辱するものではなかった」「高齢者が過度な将来不安を持たずに、積極的に消費してもらえるように意識を変えていくことが重要」などと釈明した。

    UPDATE

    麻生氏の国会答弁を受けて記事内容を更新しました。