ヤフーを傘下にもつZホールディングス(ZHD)と、無料通話アプリを展開するLINEは11月18日、資本提携に関する基本合意書の締結を決めたと発表した。
両社は「対等な精神に基づく両社グループの経営統合」を目指し、12月までに法的拘束力のある最終契約を締結することを目指す。
ZHDの親会社ソフトバンクとLINEの親会社NAVERは、経営統合の一環として、今後LINE株の株式公開買い付け(TOB)を実施する。

経営統合によって、現在のLINEはソフトバンクとNAVERによるジョイントベンチャー(JV)企業となる。このJVの傘下にZHDが置かれ、この持株会社の下にヤフーと、LINEの事業を継承した会社が置かれることになる。
最終的にLINEは上場廃止となる見通しだ。
経営統合の背景には何があるのか

基本合意書の締結に基づく「適時開示」の資料で記されたのは、圧倒的な規模を持つ海外勢への危機感だ。
「特にインターネット市場においては米中を中心とする海外企業が圧倒的に優勢であり、企業規模を比較しても中国を除くアジア諸国や日本の企業と大きく差が開いているのが現状です」
まずは「GAFA」と呼ばれる世界的なIT大手(Google、Apple、Facebook、Amazon)への対応が念頭にあるだろう。
さらに「BAT」と呼ばれる中国大手3社の存在も見過ごせない。
中国最大の検索プラットフォーム「バイドゥ」(百度)、「独身の日」のセールで毎年話題になる通販プラットフォーム「アリババ」(阿里巴巴)、メッセージアプリ「WeChat」を展開する「テンセント」(騰訊)などもライバルだ。
これらの企業に共通するのは、人々の生活の様々な場面に食い込むことで、インターネットへの「入り口」を設けていることだ。
メッセージアプリ、ネット通販、検索、音楽や動画コンテンツの配信、公共料金の支払いまでできるネットバンキング、ニュースメディアなどなど…。
それぞれが、私たちの日常生活に不可欠なものとなりつつある各種サービスだ。
「国内で優位なポジションを早期に確率させる」

今回の経営統合も、ネットへの「入り口」を抑えることで、顧客を囲い込み、ビジネスの拡大を図るのが狙いと見られる。
適時開示に記された基本戦略には、アメリカや中国のグローバルネット企業やスタートアップ企業との、国内外での熾烈な競争が増している経営環境に触れつつ、以下のような言葉があった。
「メディア、SNS、メッセンジャー、決済というユーザーとのダイレクトな接点において重要となる基盤サービスを相互に補完し、これらの基盤サービスにおいて国内で優位なポジションを早期に確立させる」
今回の経営統合は、アメリカや中国などの圧倒的な海外勢に対抗するべく、日韓のIT企業が連合し、東南アジアなどへの進出を図る策と見る向きもある。
現在、両社の国内ユーザー数はヤフーが約5000万人、LINEが約8200万人にのぼる。もし、競合し合う分野の整理、集中、統合がスムーズに実現すれば、利用者数で1億人超の巨大プラットフォーム企業が誕生することになる。
ZHDとLINEは、18日午後5時より記者会見を開き、経営統合に関する詳細を説明する。
(Zホールディングス株式会社は、BuzzFeed Japanに49%出資しています)