大手牛丼チェーン「吉野家」の伊東正明・常務取締役企画本部長(当時)が4月16日、講師として招かれた早稲田大学の社会人向けの講座で、「生娘をシャブ漬け」などと不適切な発言をしていたことが明らかになった。
発言はSNSで拡散され、吉野家は18日、伊東氏が人権やジェンダーの観点から不適切な発言をしたと認め、サイト上にお詫びを掲載。同日付で伊東氏を取締役から解任した。
一方、お詫びのPDFファイルに記された“作成者“が一時、「Ito Masaaki」となっていたことも新たに判明し、謝罪文を本人が執筆したのではないかと波紋が広がっている。
まず経緯を振り返る

不適切発言があったのは、早稲田大学日本橋キャンパス(東京都中央区)で開かれた「デジタル時代のマーケティング総合講座」。
同大が主催する社会人向けの講座で、大学教授や企業幹部らがマーケティングの理論や先進的な手法を講義する。
募集要項によると、講座の受講料は38万5000円(税込)。7月30日まで開かれる予定で、伊東氏が講義したのは初日の4月16日だった。
しかし、その日の午後、講座の受講生と思われるFacebookの投稿が拡散された。
マジで許せない。吉野家の常務取締役企画本部長の方が、講義で性差別、人権侵害発言を連発。若い女性を狙ったマーケティング施策を「生娘をシャブ漬け戦略」と笑いながら何度も発言
「田舎から出てきた右も左も分からない若い女の子を無垢・生娘なうちに牛丼中毒にする。男に高い飯をおごってもらえるようになれば絶対に(牛丼を)食べない」だそう。
この投稿はTwitterでも広く拡散され、ネット上では「ひどすぎて言葉にならない」「差別、侮辱的な話の分別がついていないのか」「心底嫌になる話」といったコメントが相次いだ。
吉野家は18日、サイト上に「不適切発言についてのお詫び」を掲載。発言があったことを認めたうえで、「人権・ジェンダーの観点からも到底許容できるものではありません」と謝罪し、19日には伊東氏を取締役から解任したと発表した。
講座を主催した早稲田大も18日、サイト上で「登壇した講師の発言の一部に性差別・人権侵害にあたる不適切な発言があった」と事実関係を認めた。
本人が書いた?

一方、お詫びの文章を「伊東氏本人が書いたのではないか」とする疑念も新たに生まれている。
過去のWebページを検索できるサイトで調べてみると、お詫びのPDFファイルのプロパティ(情報)に「作成者:Ito Masaaki」と書いてあることがわかり、SNS上で批判が殺到したのだ。
現在は作成者が空欄となっているが、18日午後に更新した記録が残っており、作成者の名前を削除したとみられる。
Twitter上では「(会社名での発表なのに)本人が反省文?」「この文書が出てきた経緯もまた問題が……」などの声が上がっている。

この点について、BuzzFeed Newsは19日午前、吉野家ホールディングスの広報担当者に取材。以下のような回答があった。
「謝罪文は伊東に事実経緯を確認した上で広報で作成しました。伊東から送られた顛末資料をもとに、広報がお詫び文を作成したため、作成者が伊東になっておりました」
「掲載後に関係者より、『伊東の名前がファイルに残っている』と指摘があり、無記名に差し替えました」
また、今回の問題全体については、「(伊東氏は)お客さまの継続利用を図る意図のもと発言しましたが、講座内で用いた言葉、表現の選択は極めて不適切でした」とした。
なお、解任した伊東氏については「本日以降、当社と同氏との契約関係は一切ございません」としている。
解任に関するPDFのプロパティには伊東氏の名前はなく、作成者は空欄となっていた。