間もなく冬本番。これからの季節に活躍するこたつが、火災の原因となることをご存じですか。
こたつを原因とする火災は全国で過去5年間で29件起き、4人の死者が出ています。
布類などの可燃物がヒーターに接触する「ゼロ距離火災」で発火する恐れがあります。
死亡火災や拡大被害も

NITE(製品評価技術基盤機構)によると、こたつの火災件数は2017〜21年度の5年間で29件。
18年度を除いて毎年1人ずつ死者が出ています。製品の焼損にとどまらず、周辺や建物に延焼するなどした「拡大被害」は計20件に上っています。
月別ではやはり冬場が多く、12月が7件、1、4月がそれぞれ5件ずつとなっています。
可燃物が接触

調査の終了したこたつ火災26件のうち、半数の13件が「原因の特定ができていない」でした。
「製品の不具合など」と「誤使用・不注意」が6件ずつで続き、「経年劣化」も1件ありました。
発火の原因は、誤使用・不注意では「可燃物が放射熱で加熱・接触」が3件と最も多く、「電気コードが断線・ショート」が2件、「電源プラグ周辺が接触不良などで異常発熱」が1件でした。
布団をこたつの中に押し込んだら……

可燃物が放射熱で加熱・接触では、次のような火災事例があります。
大阪府で2019年1月、60歳代の男性がこたつ布団をこたつの中に押し込んだため、布団がこたつ内のヒーター部に接触し、布団を焼損しました。
取扱説明書には「布団をこたつの中に押し込んで使用しない」と記載されていました。
福井県では同年12月、こたつの電源コード部を燃焼する火災が発生。
原因は、使用者がこたつを保管する際に電源コードをヒーター部に巻き付けていたため、内部の芯線が断線し、スパークしたとみられます。
こちらも取扱説明書に「コードをねじったり、無理に引っ張ったりしない」と書かれていました。
NITEが注意喚起する6ポイント

経済産業省生産動態統計によると、2021年のこたつ布団販売数量は12万9116枚(前年比2万8990枚増)で、2017年以降で最多となりました。
NITEが呼びかける6つの注意ポイントを次のとおりです。
- 可燃物と接触しないように距離をとる
- こたつの中で衣類などを乾かさない。
- 就寝時や外出時に電源プラグをコンセントから抜いておく。
- 電源コードは踏まない、引っ張らない、折り曲げない。
- 定期的に清掃を行い、ほこりを取り除く。
- リコール対象になっていないか確認する。
NITEは「火を使用していないため、可燃物を近づけることに関して火災の危機意識が薄れている」と指摘。
担当者は「こたつ布団や座布団が内部のヒーターと接触して火災になる。死者も出ており、一歩間違えたら大きな火災になったケースもあるので、適切に使用してほしい」と話しています。