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「消費税を19%に増税」岸田首相の発言とするツイートが拡散→誤り。外部の試算を……

消費税を19%にすると岸田首相が発言したとする情報がTwitter上で飛び交っています。ファクトチェックで誤った情報だとわかりました。注意が必要です。

今夏の参院選を前に、岸田文雄首相が「消費税を19%にする」と発言したように伝えるツイートが広く拡散されている。

しかし、岸田首相がこのような発言した形跡はない。「19%」は経済同友会が昨年まとめた試算が出どころとみられ、「誤り」な情報だ。

このようなツイートは、与党に批判的な複数の匿名アカウントから発信されている。BuzzFeed Newsはファクトチェックを実施した。

消費税19%

岸田首相の発言として、ツイートが拡散され始めたのは4月20日前後から。政府与党に批判的な文脈のものがほとんどだった。

特に拡散されているのは、4月19日の以下のようなツイートだ。25日午後5時現在、2.6万いいね、約7700リツイートされている。

「岸田さんの言う通り消費税19%になると10000円のものを買ったら1900円足すんですよね。これで生活していかれますかね。」

また、別のアカウントによる翌20日の同様の趣旨のツイートも、1.6万いいね、約7400リツイートされるなど、やはり拡散している。

「自民党が次の参院選で大勝したら『殆ど社会保障関係に使われていない消費税を更に19%に増税する』と岸田文雄首相が言っていますが私は断固として消費税増税はお断りします。」

このほか、今夏の参院選に触れながらこの言説を広げているツイートも複数確認できた。

しかし、こうした発言を岸田首相がしたとする情報の根拠は見当たらない。

BuzzFeed Newsは、国会会議録を検索。「発言者」を岸田首相とし、「消費税」「19%」と調べた結果、岸田首相が消費税を19%にするといった趣旨の発言は確認できなかった。

また、新聞や雑誌記事などをまとめた報道データベース「G-search」でも、そのような発言を確認することはできなかった。

BuzzFeed Newsは岸田首相の事務所に取材を22日に申し込んだほか、周辺も取材。ある側近はこう話した。

「(岸田氏が)消費税を19%にするといった発言は聞いたことがない。消費税に関しては国会で様々なやりとりはされているが、『19%』や『増税すると発言した』とするツイートは誤りではないか」

19%の出どころは?

では、この「19%」はどこから出てきたのか。

昨年5月12日の朝日新聞によると、経済同友会が同11日、国と地方の基礎的財政収支について、「現状並みの経済成長では2050年度でも赤字のままだ」とする試算を発表。

その中に、国と地方の債務残高の対GDP比は、2050年度には260%まで悪化する見込みで、この比率を毎年下げていくには、「消費税率を2026〜34年度に毎年1%ずつ引き上げて19%にする必要がある」との見方が示されていた。

経済同友会は、経営者らによる経済団体で経団連などと並ぶ経済3団体の1つだ。

その試算や提言は岸田首相にとっても一定の重みを持つ。とはいえ、ここで出てきた「19%」を、岸田首相の発言とする根拠にはならない。

首相本人の見解は?

最近、岸田首相が消費税について発言したのは、3月17日の参議院予算委員会だ。

ここでは、共産党の山添拓議員が来年から始まるインボイス制度を批判し、消費税の減税を求めていた。

「日本では必要のないインボイス制度。日本もヨーロッパ並みの20%台、そういう消費税を導入することを目指しているのですか」

「コロナで傷んだ暮らしと経済を立て直すためにやるべきことは、インボイスではなく、消費税5%への引下げです」

これに対し、岸田首相はこう答えた。

「消費税について私自身、何か触れる、税率について触れるということは考えておりません」

「社会保障の財源として位置付けられています。こういった点を考えますと、この消費税については当面触れることは考えておりません」

昨年10月12日の衆議院本会議でも、志位和夫・共産党委員長が「消費税は5%に減税を」と求めた際、岸田首相は「消費税について触れることは考えておりません」と答えていた。

岸田首相は「消費税には触れない」と繰り返しており、現時点で「増税」や「19%」に言及した形跡はない。

経済同友会の試算などがあったとしても、「岸田首相が消費税を19%にすると発言した」とするツイートは、誤りだと言える。


BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。

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  • 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。