放射性物質を理由に「福島県産」の購入をためらう人の割合が、過去最小になったことが消費者庁の調査でわかった。
東日本震災と東京電力福島第一原発事故から12年がたち、品質の高さや安全性が徐々に浸透してきたことがうかがえる。
一方、食品の放射性物質の検査をしていることを知らない人の割合は過去最大になっており、正確で分かりやすい情報発信の強化が課題となっている。
調査の概要
調査は、消費者庁の「風評に関する消費者意識の実態調査」。
2013年に第1回を実施し、今回で16回目となる。今年1月20〜27日にインターネット上で調査した。
対象は、岩手、宮城、福島、茨城の被災4県と、被災県の農林水産物の主な仕入れ先である7都府県に住む20〜60歳代。
全ての問いに回答したのは、5176人だった。
10年で13ポイント減少
調査結果によると、放射性物質を理由に購入をためらう産地を「福島県」と回答した人(複数回答)の割合は、前回比0.7ポイント減の5.8%(300人)まで減った。
1回目の調査(2013年)では19.4%だったため、この10年で13.6ポイントも減少したことになる。
同じ問いで、「東北の被災3県(岩手、宮城、福島)」と回答した人の割合も3.8%(197人)となり、1回目の調査(14.9%)から11.1ポイント減った。
「福島県」の5.8%、「東北の被災3県」の3.8%は、いずれも調査を開始して以降、過去最小だ。
最も高くなったのは……
しかし、食品中の放射性物質の検査が行われていることを知らない、と回答した人の割合はこれまでで最も高くなった。
1回目の調査(2013年)では22.4%だったが、今回は前回比0.6ポイント増の63%に上昇。
放射性物質の検査により、安全なものだけが流通される体制になっている現状を、5人に3人が知らなかったということになる。
なお、日本の放射性物質の検査は、アメリカやEUなど世界と比較しても極めて厳しい基準値が設定されている。
例えば、アメリカの基準は、全ての食品が1キロあたり1200ベクレル以下だが、日本は飲料水が同10ベクレル、牛乳と乳児用食品が同50ベクレル、一般食品が同100ベクレルとなっている(いずれも以下)。