子どもたち待望の夏休みがやってきました。海やプールで遊ぶ機会が増えてきますが、気をつけたいのが水場での事故です。
身近な家庭用のビニールプールで乳幼児がおぼれた事故も起きています。
水場での事故で搬送された約4割が生命の危険がある重症以上と診断されています(東京消防庁)。
事故の例や気をつけたいポイントをまとめました。
9歳以下が最も多い
東京消防庁管内(稲城市、島嶼部を除く)では2016年〜20年(6〜9月)、河川やプール、公園の水場、海の事故で計49人が救急搬送されています。
年代別では、9歳以下が最も多い14人(28.6%)。20歳代が12人、10歳代が7人と続き、子どもや若者が多い傾向にあります。
また、9歳以下の14人のうち、0〜5歳の乳幼児は9人と6割超を占めました。
「目を離したら」「飛び込んだら」
乳幼児の9人のうち、発生場所は「プール」が5人、「公園の水場」が2人、「河川」と「海」が1人ずつ。
最も多かった「プール」では、家庭でよく使われる「ビニールプール」での事故も発生しています。
このような事故が東京消防庁に報告されています。
自宅用ビニールプールで遊んでいる子どもから目を離したところ、戻ってみると子どもがプールで倒れていた(1歳、中等症)
公園内の浅い池で、石の上から飛び込んだ際に前のめりに転倒し、顔が水に浸かっておぼれた(1歳、軽症)
浮き輪を外してしまい……
消費者庁にも家庭用プールに関連した事故の報告が上がっています。
友人宅のプールで保護者らがみていない時に、自分でアーム浮き輪を外して1人で飛び込んでしまい、15秒程度プールでおぼれた(3歳)
自宅のビニールプールで遊んでいたところ、下のアスファルトが濡れていてすべり、後頭部をぶつけた。夜になってけいれん発作が出て2日間入院した(1歳)
小さな子どもは転んでもすぐに立ち上がることが難しく、わずか10センチの深さでもおぼれたり、プール周辺で滑ったりする危険性があります。
子どもは静かにおぼれる
また、子どもが実際におぼれる時は「声や音を出さずに静かに沈む」ことが多い点にも、注意が必要です。
おぼれた時は声を出して助けを求めたり、水しぶきが散る音が聞こえたり、何らかの「SOS」が出るというイメージがありますが、実際は異なります。
ここは気をつけたいポイントで、「何かあったら声や音で気づくだろう」と目を離して別の作業をしていると、万が一子どもがおぼれた時に反応が遅れてしまう可能性があります。
ビニールプールから目を離さず、遊び終えたら水を抜いておくことも重要です。
長野県佐久市の佐久総合病院の医師らが中心となり、子どもの病気やホームケア、子育て支援情報などについて発信している「教えて!ドクタープロジェクト」が、この点についてSNSなどで注意を呼びかけています。
4割が生命の危険が強い重症以上
水場の事故は乳幼児に限らず、生命を脅かす危険性が高いこともわかっています。
東京消防庁に2016年〜20年(6〜9月)、河川やプール、公園の水場、海の事故で救急搬送された49人のうち、重症者以上が約4割を占めました。
内訳は、死亡が3人(6.1%)、生命の危険が切迫している重篤が10人(20.4%)、生命の危険が強い重症が6人(12.2%)でした。
発生場所は、「河川」が32人(65.3%)と最も多く、「プール」が14人(28.6%)、「公園の水場」が2人(4.1%)、「海」が1人(2%)です。
東京消防庁は、水場で遊ぶ際の注意点を4つあげています。
- 小さい子どもと水遊びをする際は、子どもから目を離さず、大人が必ず付き添う
- 飲酒後や体調不良時には遊泳を行わない
- 天気が悪い場合は海や河川で遊ばない
- 必ずライフジャケットを着用する
今年も海や川で既に死亡事故が起きています。特に乳幼児は「静かにおぼれる」ことを意識し、水場にいる時は目を離さないようにすることが大切です。