焼肉を焼いてたら突然カセットコンロが爆発して女性が死亡ーー。こんな事故が兵庫県で起きた。
この事故は人ごとではない。毎年多発しており、死者・負傷者も出ている。
食卓で鍋を囲む時期になったが、カセットコンロを覆うほどの大きな鍋をのせるなど、使い方を間違った場合も爆発する危険性がある。
なぜ爆発するのか。命を守るために必要なことは何か。関係機関の実験映像とともに確認する。
経緯を振り返る
毎日放送によると、事故は12月1日夜、兵庫県伊丹市の「お好み焼 焼肉 かるろす」で発生。
女性客(67)の目の前に置いてあったカセットコンロが突然爆発し、搬送先の病院で4日に死亡が確認された。
女性客は鉄板でお好み焼きを焼いて食べた後、店側が鉄板の上に設置したカセットコンロ上で焼肉を食べていた。
鉄板の熱が残っており、カセットコンロにつけたボンベが熱されて爆発した可能性があるという。
昨年は122件
温められたガスボンベは爆発し、炎が出る危険性がある。
東京消防庁の「火災の実態」によると、ヘアスプレーや消臭スプレーなどの「エアゾール缶」と、ガスコンロに使うガスボンベによる火災は昨年、同庁管内で122件あった。
この10年で2番目に多い件数で、昨年は死者1人、負傷者67人が出た。
火災が発生した要因は、「取り扱い不備」が48件で最も多かった。
ガスコンロとボンベの接続がうまくいってなかったり、暖房・厨房器具の近くで使用したため、加熱されて破裂したりしたという。
カセットコンロを2台並べたことで爆発
製品評価技術基盤機構(NITE)は、カセットコンロが爆発するケースについて、次のような状態をあげている。
- カセットコンロを2台ならべ、その上に鉄板を置く
- カセットコンロを覆うような大きな鍋を置く
- IH調理器の上にカセットコンロを置く
- ガスコンロの上にカセットコンロを置く
①は、火で温められた鉄板から出る「放射熱」でカセットボンベが爆発。②は、コンロを覆う大きな鍋を使用したため熱がこもり、ボンベが加熱されてしまう。
③は、IH調理器の電源が入ってしまい、ボンベが温められる。④は、ガスコンロのグリルから出た排気熱でボンベが爆発する。
このほか、ヒーターなど暖房器具の近くにボンベを置いたり、ガスコンロとの接続がうまくいってなかったりした場合は爆発する危険性がある。
ボンベを使い残したまま廃棄した際も、ゴミ収集車内で可燃性ガスが充満し、ゴミ圧縮時に生じた火花などで引火する恐れがある。
瞬時に大きな炎
NITEの実験では、いずれもガスコンロが激しく爆発して飛び散り、大きな炎が瞬時に広がる様子がわかった。
この爆発が目の前で起きたら、一瞬で命を落とす危険性がある。
一方、BuzzFeed Newsが記事データベース「G-Search」で「カセットコンロ 爆発」で調べたところ、飲食店や寮などでの事故が多くヒットした。
日本ガス石油機器協会(東京)は、カセットコンロ・カセットボンベの安全な使い方について次のように呼びかけている。
- IH調理器具上で使用しない
- 大きな調理器具で使用しない
- コンロに指定されているボンベを使う
- 調理以外の用途に使用しない
- 石綿やセラミック付魚焼き器や焼き網、陶板プレートなどの蓄熱性のあるものは使用しない
- 2台以上並べて使用しない
- 正しくボンベをセットする
- ストーブなどの近くで使用しない
- ボンベを40度以上になる車内などに置かない
- 家具や壁、カーテンなどの引火物や可燃物、熱をさえぎるようなものから15cm以上は離す
(サムネイル:NITEのYouTubeから)