「横暴なメディア報道はヘイトスピーチで人権侵害」旧統一教会トップが2回目の会見で語ったこととは?

    旧統一教会の会長が2回目の会見を行いました。安倍元首相の事件から1か月がたち、これまでのメディア報道を批判しましたが、事件の内容については触れませんでした。

    安倍晋三元首相が7月、奈良市内で演説中で撃たれ死亡した事件をきっかけに、政治との関係などを巡り注目が集まる宗教団体「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)。

    同連合の田中富広会長が8月10日、日本外国特派員協会で会見を開いた。

    公の場での会見は7月11日以降2度目となる田中会長が、開始から45分間、話し続ける展開となった。

    メディアの報道に反論し、強く批判する場面もあった。また、政治と同連合、関連団体との関係については「反共産主義で共闘するため」と語った。

    会見理由は「見過ごすことができない報道があっただめ」と説明

    田中会長は冒頭、安倍元首相へのお悔やみを述べた後、こう話し始めた。

    「容疑者の動機が信者である母親の献金によるものであると、いまだ確定しない情報から過剰なメディア報道によって、信徒からさまざまな被害が報告されている」

    「『殺すぞ』と叫ぶ脅しや脅迫電話、街宣車での大音量による罵声、集会妨害、一般信徒の自宅まで朝夜に押しかけるメディアからの過剰取材」

    「報道の中には、見過ごすことができないひどい内容も多々あり、本日の会見の場を持たせていただくことにした」

    その後、旧統一協会を巡る被害の救済活動などを行ってきた「全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)」を「メディアに出てくる弁護士団体」と表現し、弁護士が話す内容は「実に不正確であり、不公正」とした。

    そのうえで、メディアに「弁護士が発表する(旧統一教会からの)被害とする数字が正しいかどうか、ぜひ検証してほしい。それが社会的責任を持つ報道機関の責務ではないでしょうか」と注文をつけた。

    なお、全国弁連によると、2021年末までの約35年で、弁護士や消費生活センターが受けた教会に関する相談は3万4537件。

    被害総額は約1237億円で、ここ5年間に限っても、相談約580件、総額約54億円にのぼるという。

    まさにヘイトスピーチ、人権侵害と言わざるを得ない

    会見で田中会長は、霊感商法にも言及。

    「霊感商法を今も昔も当法人が行ったことはない。信徒らもコンプライアンスを徹底しており、被害報告もない」と関係を否定した。

    警視庁は2009年、不安を煽って高額な印鑑を売りつけたとして、特定商取引法違反(威迫・困惑)容疑で、統一教会の関連企業とみられていた東京都内の印鑑販売会社の社長らを逮捕。

    当時の統一教会長は「道義的責任を感じる」と辞任を表明した。

    教会側はこの時から、コンプライアンスを徹底するようになったと、田中会長は7月の会見から語っている。なお、教会側は摘発当時も「問題の企業と教会は別」と主張した。

    しかし東京地裁は同年11月、この会社の従業員全員が統一教会の信者で「信者を増やすことを目的に違法な販売を行った」「相当高度な組織性が認められる継続的犯行の一環」と認定。社長らに有罪判決を言い渡している。

    田中会長は「世界基督教統一神霊協会(統一協会)」から「家庭連合」に2015年に名称を変えたことについて、「歪んだ憶測や悪意に基づいて報道がなされている」とした。

    予定の時間を過ぎても会長の独演状態が続き、司会者から静止される場面もあったが、そのまま話を続け、「横暴なメディア報道がエスカレートしており、まさにヘイトスピーチ、人権侵害と言わざるを得ない」と強く非難した。

    また、「合同結婚式」の問題にも触れ、「男女の意に反して強制されることは絶対にない」「そもそも(旧統一教会の)祝福結婚に参加したカップルの離婚率は2%以下で、多くのカップルは幸福、円満に過ごしている」と主張した。

    記者との質疑応答

    報道陣との主な質疑応答は、以下の通り。

    ーー冒頭で謝罪をしたにもかかわらず、その後は40分も「何も悪いことをしていない」と長いこと言っていた。謝罪の意味は何か。

    報道が2009年以前の、私たちのいわゆる負の部分がクローズアップされて報道されている。メディアを騒がせ、多くの混乱を招いているということに対する謝罪です。

    容疑者の動機に関わる内容は、家庭連合が重く関わっていればしっかりと受け止める姿勢を持っているが、正式に警察発表があったうえで改めて姿勢を示したい。

    今日の会見の趣旨は、信徒たちの命の危険と、取り組みがもしより変化を求められるなら、多くの意見を受け止め、より良いあり方に向かって変化は続けたいと思っているので、その表明でもある。

    ーー岸田首相が自民党の党員や政府のメンバーに旧統一教会と縁を切るように、距離を置くようにと指示し他と報じられているが、なぜそのような指示をしたと思うか。

    日本では、宗教団体や信徒も国の政治に関わり、選挙に関わっていくとは国民の義務であり、憲法で保障されている。

    政権の判断がどのような深い意図があったものかは言及する立場にないが、当法人との関わり方が強く判断の基準に定められたというならば、それはすごく残念なことだ。

    さらには、多くのメディア報道を通じながら、その報道に揺れる世論に対しての気遣いも介入していたというふうに否定することはできないと思うので、その点においては誠に遺憾だ。

    ーー世界的に日本が資金源になっているという話がある。それは本当か。教えの中で日本は韓国をサポートしないといけないという状況はあるのか。

    世界的な活動の資金が、日本が全て背負っているという事実はない。日本の法人が全世界に宣教師を派遣していることは事実。

    長い年月をかけて、たくさんの宣教師が世界にいき、その国民に対し、教義を広め、伝道活動をしてきた。当法人が世界に献金を送っているのは事実。

    ーー日本からの収入は世界全体の何割か。

    それは日本法人ではわからない。

    ーー旧統一教会やその友好団体は今まで、日本の政治にどのような形で影響与えてきたのか。

    影響を与えてきたということは、客観的に多くの皆様に判断していただいたほうがいい。政治に友好団体が強く姿勢を持って関わってきたことは事実。

    それは、政治工作のために関わってきたとか、脱税や霊感商法の批判から逃れるために関わってきたということではない。

    法人と友好団体は創設以来、共産主義に明確に対峙してきた。多くの民主主義を守ろうとする同志や友好団体と共に、日本のあるべき姿に向かって考えながら共に歩んできた。

    今、メディアで政治家との関係性が問題視されているが、私たちから見れば、共産主義問題に関して、明確に姿勢を持っている政治家の皆さんとは、共によりより国づくりに向かって手を合わせてきたと思っている。

    ーー政治家が当選するためなど、特定の政治家と積極的な連携はあったのか。

    私たちの法人と友好団体ではそれぞれ関わり方は異なる。

    信徒たちは宗教団体に所属しているが、国民の一員として国政のあり方に積極的に関わり、選挙にもいくように指導している。

    ただ、法人が特定の党と関係を持つ、特定の党のみを応援するという態度はとっていない。

    基本姿勢は共産主義との対峙。その視点から言うと、自民党の議員がより多く接点を持つことがあるが、自民党のみならず、明確に姿勢を示している議員とはその場で関係性があったといえる。

    政治工作ではなく、より良き国づくりに向かって共に志を一つにしていこうという姿勢の中からの交わりだ。

    ーーとはいえ、自民党が100人単位で教会や友好団体との関係を指摘されている。教会の中央として「手広くやれ」と指示があったのか。

    100人と言われたが、全ての議員は地方基盤を持っており、地方での私どもが活動している内容が各地方によって異なる。その内容と共鳴する議員との交わり方があったと思うので、関わり方が皆さん違うはず。