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燃費不正問題で「ネット美談」が広がったスズキ、会長は引責 何が起こった?

釣られるメディアも出ました。


燃費データ不正が発覚したスズキは6月8日、鈴木修会長兼CEOが責任を取ってCEO職を辞めると発表した。この不正に関し、「スズキは誠実」と称賛する声もネットにあった。何が起こっていたのか。

ネットで称賛の声が巻き起こったのは、スズキが、国の規定する方法で燃費を測定し直したところ「カタログ値を上回る結果が出た」と国土交通省に報告したことがきっかけだ。

先に不正が発覚した三菱自動車と異なり、スズキの不正は、燃費が良いように見せかけるためのものではなかった。ここから、「これを不正というの?」という反応が広がった。

そんな中で、こんなツイートが流れた。

スズキの不正計測では規定重量の3倍になる180キロの荷物を載せて行っていた模様。

社長「車は1人だけでなく家族で乗るものだから実は三人で計測してた」

この「美談」は、1万件以上リツイートされ、これに連動するように、スズキを賞賛するコメントはさらに増えた。

キュレーションメディア「ViRATES」は、“驚くべき事実”として、このツイートを引用した記事を掲載した。


しかし、このツイートの内容はデマだ。

スズキの広報担当者はBuzzFeed Newsの取材に対して、「私どもが話した内容ではなく、そのような事実はない」と回答した。事実と異なるツイートをしたユーザーも、「ちゃんとしたソースがないみたいでした」と後に投稿している。

スズキによれば、不正な測定を行っていたのは26車種214万台。これらは、燃費データの測定時、法令で定められた屋外での走行試験を実施せずに、屋内での装置ごとの測定データを積み上げる方法を用いていた。

スズキは6月8日、不正問題の責任を取って、鈴木修会長兼CEOが、CEOを辞め、技術担当の本田治副社長が退任すると発表した。

スズキの広報担当者は、逆に燃費が良かったことが称賛された件については「お客さまにそう言っていただけるのは、とてもありがたい」と述べた上で「しかし、不正は不正。真摯に受け止めてやっていく」と静かに話している。

アップデート

最終段落の表現を一部改めました。