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「旅立って下さい」 業務でポケモンGOを命じられた弁護士、送り出した役員の思い

「折々でレポートお願いします」

エリート社内弁護士は、ポケモントレーナーになった。

Keigo Isashi / BuzzFeed

ある夜。その男は、上司である副社長と取引先との懇親会に参加していた。

「そういえば」とポケモンGOの話題が出ると、取引先の相手が「ポケモンGOでコンプリートを達成したら非常に話題になるのでは」と言って笑った。

それを聞いた副社長は、「明日から旅立て!」「明日、ほかの役員にも話しておく」と、男に指示をした。

その男は、都内のIT企業・日本ビジネスシステムズ(JBS)の法務部で社内弁護士として働いている、貝原怜太さん(30)。

酒席での冗談だろうと聞き流していた貝原さんに、翌日、一通のメールが届いた。

貝原さん

役員会で賛同を得ましたので、早速旅立って下さい。

社内イントラにも掲載しますので折々でレポートお願いします。

貝原GO!

iPhone 牧田和也/JBS

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「あ、これ本気なんだ…」

貝原さんは慌てて仕事を調整した。前倒しで会議をして仕事を終わらせたり、同僚に仕事の引き継ぎをお願いしたりと大変だったそうだ。

調整を終え、冒険に旅立つために会社から駅に向かっていると、牧田副社長から電話が掛かってきた。

場所を伝えて合流すると、出陣祝を手渡された。

「やっぱり、これ本気なんだ…」

貝原さんは「逃げられない感」の高まりを感じた。

「毎朝9時からプレイ」旅立ってからの生活

もともとポケモンGOをプレイしていた貝原さん。子どもの頃にゲームボーイでポケモンを遊んでいた懐かしさや、AR(拡張現実)による現実と仮想空間との融合に魅力を感じたのが、プレイを始めたきっかけだ。

ポケモントレーナーを“仕事”にする前に90種類だった図鑑は、8月5日現在、136種類まで埋まった。日本でゲットできるポケモンのコンプリートまで、残り6種類だ。

ポケモントレーナーとして旅立った後、貝原さんはどのような生活をしているのか。

「通常業務と同じ責任感をもって取り組んでいるので、9時からポケモンGOをするように心がけています」と貝原さんは語る。

毎朝、オフィスに出かけるのと同じように準備をする。ただし、服装はスーツではなく、ポケモンGOのプレイに適したカジュアルなものだ。

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ポケモンの出現情報をもとに、目的地まで電車で移動することが多い。時間は貴重だ。電車内ではポケモンGOがプレイできないため、牧田副社長や同僚に送るレポートを書くことにしている。

目的地では周囲に気をつけながら、ポケモン集めに全力を注ぐ。たまに、アプリやGPSに不具合が生じることがある。「そのような時に水分を補給します」(貝原さん)

帰宅後の仕事も重要だ。ポケモンの出現情報を収集するとともに、翌日にどこに行ってポケモンを集めるのがもっとも効率的かを検討し、エクセルでまとめている。

これだけ真面目に業務を遂行している貝原さんだが、残念ながら、日本でのポケモンコンプリートは他のプレイヤーに先を越されてしまった。

「1週間程度でのコンプリートは予想以上に早く、驚いています。私も早くコンプリートを達成し、本業に戻りたいです」

「旅立って下さい」副社長の思い

牧田副社長が貝原さんを送り出したのは、会社の認知度向上を期待してのこと。

さらに、こんな思いもある。牧田副社長がBuzzFeed Newsにコメントを寄せた。

ポケモンGOをプレイしている人を何人も見ましたが、貝原さんののめりこみ方はずば抜けていました。

純粋にやりたいことが沸き上がる衝動は、素晴らしいものだと思います。それがたとえ、ポケモンコンプリートでも。

その純粋な気持ちに感動し、ポケモントレーナーとして活動させてあげたいと思いました。

衝動に駆られ実践することで、貝原さんは新しい経験値を獲得します。それは、夢を追い求める事業経営に通じるものがあります。実際にやってみると、それほど素敵なことはめったにありませんが。

でも、考えて、工夫して、あまり人に迷惑をかけないで、何とか折り合いをつけて協力してもらいながらもやってみる人が、私は好きです。

貝原さんがオフィスに戻ったら、ねぎらいとともに、楽しい失敗談をいっぱい聞かせてもらいたいと思います。

Keigo Isashiに連絡する メールアドレス:Keigo.ISASHI@buzzfeed.com.

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