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架空の「記者失踪」で炎上 ステマ騒動再燃の可能性、編集長に聞いた

それは不思議な「お知らせ」から始まった

ゲーム情報メディア「インサイド」が掲載した記事に「ステマではないか」「企業倫理に反する」と批判が出た。インサイド編集部は謝罪し、記事を取り消した。一体、何が起こっていたのか。編集長に直撃した。

問題の記事はこれだ。「お知らせ」という形で、行方不明になったフリーライターに関する情報提供を呼びかけている。

1日未明にアップされたこの記事を見たネットユーザーたちは「事件か」「ヤバイね」などと反応。記事のコメント欄には内川たまき氏の安否を気遣う書き込みが寄せられた。

予想を超える反響に、インサイド編集部は即日、記事を削除。新たに「掲載記事についてのお詫び」と題した記事を掲載した。3行からなる短い記事だ。

当初掲載した記事は「Caligula」というゲームを紹介する企画で、「内川たまき」は実在しないという。

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これに対し、ネット上では批判が殺到した。架空の記事であったこともさることながら、お詫び記事の説明が不十分だったからだ。

インサイドは改めて、今回の詳細な経緯を説明するお詫び記事を掲載した。

今回の記事は「Caligula」を紹介するための記事だったが、「フィクション・企画である旨が抜けていたこと」、ゲームの発売元である「フリュー株式会社による文言チェックを経ておらず、多くの読者に誤解を与えたこと」などを謝罪した。

ブロガーのdragonerさんは、「宣伝・架空である旨の表記無く、それを社会的信用のあるニュースサイトが人の安否をネタにして掲載し、第三者の善意を悪用したことが問題」といち早く指摘。今回の出来事を記事にまとめている。

多くの批判を受けて、インサイド編集部は、改めて詳細な経緯を説明するお詫びを再掲載した。

「広告なのでは?」と疑う声も

話はこれで終わらない。ネットユーザーは今回の記事が架空だったことだけではなく、別の部分にも疑念を抱いたからだ。多くの人たちが指摘したのは「これは広告ではないか」というポイントだった。

インサイドのアレ、広告でないとか言ってるけど、あんだけ内容に突っ込んだ記事が広告じゃないんですか、そうですか。

insideのカリギュラの記事の件はフリューからの広告じゃなくて独自企画だったとのことだけど、じゃあどこから金出てるの…? 持ち出しでやる意味無いよね?

BuzzFeed Newsはインサイドの土本学編集長に話を聞いた。

——そもそも、このお知らせ記事が出た経緯は?

「Caligula」というゲームの企画記事として出しました。別の世界に入りこんでしまい元に戻れなくなる、というゲームの設定に沿って、企画を考えました。

——結局、この「企画記事」は広告ですか?

広告ではなく、編集部で作った純粋な企画記事です。バナー広告などを出稿していただいた代わり(バーター)でもありません。

——企画記事にリンクが貼られていた記事も広告ではない?

はい。

——過去に、今回のような「すでに載っている記事を紹介する記事」は掲載したことがありますか?

同種の記事というと具体的には出てきません。ただ、今回のように、ゲームのシステムやストーリーに合わせた記事を作り、その面白さを伝えようという媒体方針があります。

一方、記事で紹介されていたゲームの開発元・フリューは、上述した2つの記事について「金銭の授受は一切ございません」と答えた。広告代理店やPR会社を介した金銭のやり取りもないという。

そういえば……

思い返せば、インサイドは、『週刊ダイヤモンド』2015年11月7日号の特集「ステマ症候群」で、PR会社のベクトルから流出した“ステマの相場表”に、媒体名と料金が掲載されていた過去がある。これによれば、ステマの料金は15万円からだ。

しかし、その相場表はベクトル側が作成したものであり、必ずしも、取り引きがあったことを示すものではない。インサイドは週刊ダイヤモンドの質問状に対し、「編集権が編集部にあるかないかによって、編集記事と広告記事を明確に分けております」と回答している。

今回は両社が否定し、証拠もない。疑う人が多くとも、このまま土本編集長の言う通り「編集部で作った純粋な企画記事」で本件は終息しそうだ。

だが、もし仮に広告だった場合には、どうなるか。

インサイドの当該記事は「Yahoo!ニュース」「goo ニュース」などのポータルサイトに、“ニュース”として配信されている。再び、ステマ問題に火がつく可能性も孕んでいる。

Keigo Isashiに連絡する メールアドレス:Keigo.ISASHI@buzzfeed.com.

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