ポケGO中の死亡事故・禁錮1年2カ月の実刑判決 「今後の裁判に影響も」と弁護士

    荒井智也裁判官は「断続的にゲーム画面を見ながら運転しており、過失は非常に大きい」と指摘

    ポケモンGOをしながらの運転による国内初の交通死亡事故で、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)に問われた運転手に「禁錮1年2カ月」の実刑判決が言い渡された。

    毎日新聞によると、徳島地裁の荒井智也裁判官は10月31日、「断続的にゲーム画面を見ながら運転しており、過失は非常に大きい」と指摘した。

    事故は8月23日午後7時半ごろ、徳島市内で起きた。徳島市の農業・五王敬治被告人(39歳)が軽ワゴン車で美容師女性(72歳)とパート従業員女性(60歳)をはね、美容師女性を死亡させ、パート従業員女性に約1カ月のケガをさせた。

    専門家に聞いた

    交通事故の裁判を多く手がける北周士弁護士によると、交通事故の量刑は一般的に、次のような点の総合考慮で決まるという。

    1. どんな事故だったか
    2. 被害が弁償されたか
    3. 被害の程度と、被害者の数
    4. 情状(罪を軽くすべき事情があったかどうか)

    今回の判決について、北弁護士は「過失運転致死傷の場合、死亡者が2名以上だと、特段の事情がないかぎり、かなりの割合で実刑になっているという感覚があります。しかし、死亡者が1名の場合、実刑判決は珍しいように思います」と話す。

    従来の感覚からすれば、重い判断だったようだ。

    「本件は、(アルコールなどの影響下で事故を起こした場合の)危険運転致死に近いような重過失があると判断されたか、被害弁償が十分に行われていないか、あるいは事故後の情状が悪かったのか……。最終的には判決を読んでみないと分かりませんが、今後の過失運転致死の量刑に影響を与えうる判断ではないかと思います」(北弁護士)

    「対策」を求める声も

    朝日新聞によると、運転中のポケモンGOが原因とみられる死亡交通事故は、これまでに少なくとも3件起きている。10月26日には、愛知県の小学4年生男児が死亡。父親は「これ以上、犠牲を出さないように、車に乗ったら一切操作ができないような対策をとってほしい」と話したという。

    ポケモンGOは8月8日付のアップデートで、運転時や高速移動時にプレイを控えるよう呼びかける注意画面が追加されている。ただし、「私は運転者ではありません」というボタンをタップすればプレイを継続できる。