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「LGBTの生きづらさを知って」当事者の学生たちが議員に伝えた人生と願い

「性的マイノリティに対する差別を『悪いことだ』と明言してほしい」

同性愛やバイセクシャル、トランスジェンダーなどLGBTの当事者学生たちが国会議員と意見交換する会が2月16日、東京・千代田区の衆議院議員会館で開かれた。

主催は、全国58の当事者・支援団体でつくる「LGBT法連合会」。超党派でつくる「LGBTに関する課題を考える議員連盟」が参加した。LGBT議連は、作成中の「LGBT差別禁止法」に学生たちの意見を反映させる考えだ。

学生たちは当事者として、何を訴えたのか。

ゲイだと言ったら「腫れ物に触るように扱われた」

大学3年生の松岡宗嗣さんは「自分はゲイだ」と公言している。高校時代から少しずつ、回りの人たちに打ち明けるようになった。

高校時代、松岡さんのことを知らない生徒や教師たちは、松岡さんの周りでゲイに関する話題を笑いのネタにしていた。一方、松岡さんがゲイだと知っている人からは、腫れ物に触るような扱いをされることもあった。

「カミングアウトして笑いものにされるか、嘘をついて異性愛を演じ続けるか。どちらにも生きづらさを感じていました」

そんな高校時代を振り返ると、複雑な思いがよぎる。「どう行動していいかわからず、なんとかポジティブに乗り切ろうとしていた」と話す。

大学生になると、誰にでも堂々と「自分はゲイだ」と言えるようになった。みんなが異性を好きになるわけではない、決められた男らしさ、女らしさに当てはめられるわけではないことを、周囲に積極的に伝えていきたいと思っている。

大人がそういうことを伝えるだけでも、救われる子どもがたくさんいます

「地元には戻れない」

地方出身の大学4年生かなこさん(22)は、相手の性別に関係なく恋愛対象とする「パンセクシャル」を自認している。

「結婚は絶対にするもの」という空気の中で育った。自分のセクシャリティを自覚した中学の頃には、「ここを離れなきゃ」という強迫観念を抱いていた。

昨春、自分のセクシャリティを母親に打ち明けた。すると「ひとさまに言えない」「そんな関係は不幸だ」と言われた。家族や親戚との関係は悪くないが、「早く結婚しろ」「子どもが見たい」と言われるたびにしんどい思いをしている。

かなこさんは東京に出てきてから女性パートナーと付き合い、周囲にもカミングアウトできた。しかし、母親の手前もあって、故郷の親戚や友人たちには、そのことを隠し続けている。

「だから、地元の友達とつながっているFacebookは、更新できないんです」

地元に戻る生き方は考えられないという。

私のセクシャリティを否定する家族が悪いとは思えません。普通にLGBTだと公言できない社会の風潮を変えなければ、私のように選択肢を狭めてしまう人があとをたたないと思います

「高校卒業が人生のタイムリミットだと思っていた」

大学2年生ともさん(20)は、女性として生まれたが、心は男性のトランスジェンダーだ。小学校2年生の時、女の子に初恋をした。その時、自分は同性愛者なのかもしれないと思った。

ところが、身体が女性らしくなっていくと、自分の身体への違和感を強く覚えるようになった。

「こんな思いをしているのは世界で一人だけだ」

多様な性のあり方を知るチャンスがなく、誰にも相談できなかった。

朝起きたら、身体がもっと女らしくなっているのではないか、と思うと不安で眠れず、毎晩孤独に苦しめられた。学校では同級生が同性愛を笑いのネタに盛り上がり、教師もそれを強く止めずに聞いていた。

「自分は異常だ」「カミングアウトしたら笑われる」と恐怖を感じた。

「当時は、トランスジェンダーが今ほどメディアに登場していなかったと思います。少なくとも自分の記憶にはありません」

自分が大人になったらどうなるか将来の姿が想像できなかった。

「高校卒業が人生のタイムリミットだと思っていました。どうせ大人になれないんだから、その後のことなんて考えるだけ無駄、と。幼い頃から、多様な性のあり方を教える制度を整えてください

現在は女性と付き合い、将来結婚もしたいと思っている。しかし、日本の法律では性別変更を認めてもらうために、身体を大手術しなければならない。

目下の懸念は就職だ。同じ立場の先輩は、面接でトランスジェンダーだと告白したとたん、「帰れ」と追い返されたという。

「同じような話は、結構聞きます」

「異性愛が当然」は生きづらい

大学2年生の山口さんは「異性愛が当然」という空気に生きづらさを感じる。

「ジェンダーやセクシャリティに興味があるという人でも、平気で『彼氏いるの』と聞いてきます。そういう日常の小さなことで、自分は違うという感覚が積み重なって、孤立していく感じがあります」

ここ最近、メディアでLGBTが取り上げられる機会が増えているが、そこで「LGBTを認める」というような言い方がされることにも違和感があるという。

「マジョリティがマイノリティのあなたたちを認めてあげる、という構図が表れている。狭い見方だと思う。性の多様性は、認められるとかじゃない」

政治に何を求めるのか。山口さんは差別禁止法の制定を求めた。

「性的マイノリティに対する差別を『悪いことだ』と明言してほしい」

「信頼や安心がなければ周りに相談することも無理です。信頼と安心を担保してくれる制度を、政治には期待しています」

「教える立場の先生が、LGBTを追い詰めていた」

大学4年生のきりさんは、LGBT当事者ではないが、LGBT支援者を意味する「アライ」という立場で意見を述べた。

LGBTの子どもは、大人のように一緒に飲みに行ったり、ネット上に通じあったりできない。日本の教育現場には、子どもたちの悩みを受け止める場所があるのかという疑問を出発点に、大学の卒業論文を書いた。

ところが、論文発表会の場で、大学の講師から「息子がゲイだったら、子孫を残してもらえないから、考えてしまう」と、はっきり言われた。

「教育をする立場の人が、LGBTを追い詰め、追いやる空気を作っていた。まず先生方が多様な性について知ってほしいと願っています」

バズフィード・ジャパン ニュース記者

Kazuki Watanabeに連絡する メールアドレス:Kazuki.Watanabe@buzzfeed.com.

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