小さい子どもがいる家は豆まき要注意! 恐ろしいリスクを専門家が解説

    節分を前に知っておくべきこと

    2月3日の節分の日、自宅で豆まきをする人も多いのでは。でも、知っていますか? 豆を食べた子どもが窒息したり、肺炎になったりする恐れがあるということを。消費者庁は節分を前に「3歳頃までは豆を食べさせないで」と警告しました。そのリスクや対策について、横浜市の緑園こどもクリニック院長の山中龍宏医師に聞きました。

    毎年の手術、今年も......

    ――小さな豆が、そんなに危険なんですか?

    「節分の豆が、小さなこどもの気管支や肺に入る事故はとてもよくあります。うちにも毎年患者が来ますので、すぐに大きな病院に紹介しています。紹介先の病院では毎年、節分の翌日に、豆を取り除く手術が行われています」

    ――毎年の事故?!

    「以前から注意喚起はしているのですが、今年もあるでしょう」

    なぜ、3歳までが危険なの?

    ――4歳からは大丈夫なんですか?

    「3歳にならない子は、きゅう歯が生え揃っていません。乾いた豆を食べる時に、口の中ですりつぶすことができず、前歯でぽりぽりと豆をかじることになります」

    「細かな豆のかけらが口の中にある状態で、泣き出したとしましょう。泣き止む時には大きく息を吸います。その時、息と一緒に豆のかけらも気管に入ってしまうのです」

    全身麻酔の大手術が必要

    ――気管に入ると、どうなるんですか?

    「乾いた豆が気管支や肺に入ると、豆から出てくる成分によって、気管支炎・肺炎になってしまいます。そのため、豆はすばやく取り除かなければいけません」

    「気管支や肺から豆を取り除くためには、喉から気管支鏡を入れる必要があり、全身麻酔をしなければなりません。入院もしなければならない、大掛かりな手術となります」

    咳き込んだら、すぐに病院へ

    ――そうならないための対策は?

    「床に豆が転がっていると、ハイハイしてきた子どもが食べてしまいますので、そういった状態を放置してはいけません」

    ――万が一、食べてしまった時は?

    「豆を食べた子どもがむせこんだり、ゼイゼイと苦しがったりしたら、すぐに病院に連れて行き、医師に相談すべきです」

    「怖いのは、ただの風邪だと思ってしまうことです。親が豆について話してくれるとは限らないため、医者も豆が原因の咳だとすぐに気づけるわけではありません」

    死亡するケースも

    ――豆が原因と気づかないとどうなるんでしょう?

    「風邪だと思って放置しているうちに肺炎が悪化し、死亡するケースも中にはあります。節分の豆に限らず、ピーナツなどの乾いた豆は、小さな子どもにとって危険です。特に、急停止する車の中や揺れる飛行機の中では食べさせてはいけません。大事をとって『5歳までは乾いた豆を食べさせないように』と指導する医師もいます」