KABA.ちゃんの新しい名前は両親からの贈り物 名前を変えられるのはどんな時?

    意外と柔軟?

    戸籍上の性別を変更したタレントのKABA.ちゃん(47歳)が9月25日のフジテレビ「ザ・ノンフィクション」で、本名を変更したと明かした。このほど、東京家庭裁判所への申し立てが認められたという。

    もともとの本名は「椛島永次(かばしま・えいじ)」。そこから「椛島一華(いちか)」に変更した。新しい名前は、両親につけてもらったそうだ。


    戸籍上の名前は、社会的な混乱を避けるため、自由に変えられない。しかし、「正当な理由」があれば、変更が認められる。

    正当な理由とは何か

    生まれた時の性別とは違う性別で生きようとする人たちのことを「トランスジェンダー」と呼ぶ。その中には、KABA.ちゃんのように、名前を変えたいという人もいる。

    そうした人たちも「名前の変更をしないと、社会生活に支障がある」という場合なら、名前の変更が認められる可能性がある。それは例えば、次のような場合だ。

    • 自分の性別に違和感があり、男性(女性)の名で呼ばれると辛い。
    • 性同一性障害と医師の診断を受け、改名が必要だと言われた。
    • 周囲からは、すでに「改名したい名前」で呼ばれている。

    性別を変えなくてもOK

    日本では戸籍上の性別を変えるためのハードルが高い。「性同一性障害」という医師の診断があることや、性器を作り変える手術を受けていること、未婚であること、20歳以上であること、未成年の子どもがいないことなど、幾つかの条件がある。

    ただ、性別を変えなくても、名前を変えることはできる。「同姓同名の人が近くに住んでいるので、郵便物が間違って届いて困る」といった理由で認められることもあるからだ。

    家庭裁判所に申し立てる

    「名前を変えたい」と申し立てる先は、住所がある場所の家庭裁判所だ。裁判官が「OK」といえば、名前を変えることができる。申し立ての方法は裁判所のサイトで紹介されている。

    ポイント解説

    名前変更の実情について、「セクシュアル・マイノリティQ&A」(弘文堂)の編著者で、LGBTの法律問題に詳しい前園進也弁護士に聞いた。

    「名前の変更について、裁判所は、『この条件を満たさなければ絶対ダメ』というように硬直的なやり方は取っていません。様々な事情を考慮して、総合的に判断しています」

    「戸籍の性別を変更したことも考慮されます。性別は元のままでも、『性同一性障害だ』という主治医の診断書があると、名前の変更が認められやすいですね」

    「違う名前で生活していて、周囲からもそう呼ばれているというケースでは、3年程度の使用実績が必要と言われています。ただし、性同一性障害の当事者の場合で,9カ月の使用実績で名前の変更を認められた例もあるので、3年は絶対ではありません」

    「違う名前が通用していることの証明には、例えばレンタルビデオ店の会員証や、宛名が新しい名前となっている郵便物などが役に立ちます」