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管理職男性に「エロ対決」を要求され……元契約社員女性がセクハラで新日鉄住金ソリューションズを提訴

セクハラなのか、それとも「大人の男女のやりとり」なのか?

新日鉄住金ソリューションズ(東京都)で契約社員として働いていた30代女性が、セクハラで休職に追い込まれ、さらに雇い止めにされたと訴え、雇い止めの無効や慰謝料など約1100万円を求める裁判を5月25日、東京地裁に起こした。女性と代理人弁護士らが記者会見した。

会見した女性は、管理職男性X氏(40代)からSNSで「恋は始まってるね!」「僕に触られて嫌じゃなかった?」「こんどエロ勝負しましょう」「エロ対決をいつかすること、も入れていい?」などとメッセージを送られたと主張。会社にセクハラだと訴えたが、「大人の男女のやりとりだ」などと相手にしてもらえなかったと話した。

「今度エロ勝負しましょう」

訴状などによると、女性の主張は次のようなものだ。なお、フェイスブックやLINEでのやり取りは、記録として残っているという。

女性は、2013年3月から派遣社員として働いていたが、2014年6月に契約社員になった。仕事はアシスタント業務だったという。

女性は2013年末、職場のほぼ全員が参加した忘年会で、正社員のX氏から執拗に絡まれた。性的な言葉をかけられ、「ホテルに行こう」などと身体の関係を求められたが、社内の人間関係もあるので「Xさんは既婚者じゃないですか。不倫は犯罪です」などといって、穏便に拒んだ。しかし、X氏はアプローチをやめず、突然腕を組んでくるなどしたという。

2013年12月24日、X氏からフェイスブック友達になることを求められ、承諾した。すると、アプローチはさらに激化した。

X氏からは「金曜日、僕に触られて嫌じゃなかった?って、なんか痴漢みたいな言い方だけど」「じゃあ、今度エロ勝負しましょう」といったメッセージが送られてきた。女性は受け流していたが、既婚者から交際や性行為を求められ、生理的な嫌悪感を抱いたという。

フェイスブックでのやり取りの中で、X氏は自分にはストーカー気質がある、過去に付き合った女性が自殺した、恋愛でとんでもない行動に出ることがある……といった趣旨の言葉を告げた。女性はX氏への対応を間違えるとあぶない、と感じたという。

年明けの2014年1月9日深夜、X氏は番号を教えてもいないのに電話をかけてきて、午前3時まで会話をすることになった。

仕事へも悪影響が出てきたため、女性は1月15日「連絡を取るのをやめて」と提案し、フェイスブック友達を解消した。すると今度は、LINEや社内メールで個人的な連絡が来るようになった。

2014年2月19日、X氏は社内メールで「おっちゃんが誘っちゃる!既婚者だけどwww」と連絡。女性は無視したが、さらに「まあ、冗談はサテオキ、こんどお茶でもしばきながらダークな成分はき出す会でもやりますか?」などと、続けてメールがあった。

女性は、なりふり構わず迫ってくる態度に恐怖を感じたという。

女性がさらにメールなどでの連絡も断ると、X氏は女性のことをしつこく詮索するようになった。ある同僚からは「X氏が、なんで●●さん(原告女性)と飲みに行くの?など、いろいろと詮索してきて面倒くさいので、気をつけてください」と助言を受けたという。女性は、複数の同僚から「あなたと仲良くしているとX氏がしつこいので、関わらないでほしい」と言われてしまったという。

そしてX氏はフェイスブックに、「ある女性」を誹謗中傷するような投稿を、繰り返すようになった。「あなたの悪口が書かれているかも」と知らされて、見に行くと、そこには次のようなことが書かれていた。

2014年3月9日の投稿

わがまま放題な娘に

いいか?

顔がかわいいからって、わがままいったりが通用したり、みんなが「そうだよねー。」ってちやほやしてくれるのは若いうちだけだぞ。それに慣れて勘違いして、気づいた時には、若さや外見は劣化して、自分を誰も相手してくれなくなっていて、そして、生き方を今更変えられないという状態におちいって、人生詰むからな?

2014年5月25日の投稿

相談女www

遊ばれてるの見たことある。

「あの娘とアレくっつけたら面白そうだから、飲み会企画しよう」

とかやって、遊ばれてるの。

(中略)

くっつけたら面白そうといわれた男の子は、誰にでもコナかけるために相談する「相談女」みたいなクソビッチ系はガチで嫌ってて、その飲み会にそれが来るといった瞬間にキャンセルしてたけど不幸だよな。

5月25日の投稿直前には、女性と同僚2人との飲み会がキャンセルになっていた。この投稿が自分への当てつけだと確信した女性は5月26日、会社に相談した。

ところが、対応した2人の部長は、X氏のセクハラを認めず、逆に「誰にも言うな」と口止めしたという。

X氏のこうしたフェイスブック投稿は、半年で少なくとも1500回以上に及んでいたが、X氏が「他の女性のことだ」と説明したため、会社は問題視しなかったという。

突然夜中に長時間電話されて迷惑したと訴えると、フェイスブック上で番号がわかるようになっていたなら、電話されてもしかたないと言われたそうだ。

人事異動でアシスタントに

その後10月、X氏が女性と同じグループに人事異動になった。さらにその後、女性はX氏のアシスタントにされ、狭い会議室で顔を合わせることになった。女性はその都度、恐怖にさいなまれたという。セクハラについて知っているのに、こうした人事をするのはおかしいと、女性は訴えている。

女性は2015年1月9日より、適応障害で休職を余儀なくされた。すると、会社は「業務を継続できる状態ではない」として、2015年5月末で雇用契約を打ち切る(更新しない)と告げてきた。

女性は組合に入って団体交渉を開始。交渉は2年に及んだが、会社側がX氏の行為をセクハラだと認めなかったため、女性は裁判に訴えた。

女性は、仕事ができなくなった責任が、X氏のセクハラにきちんと対応しなかった会社にあると主張。雇い止めは、合理的な理由がなく社会通念上も相当でないので、無効だと訴えている。

一方、新日鉄住金ソリューションズはBuzzFeed Newsの取材に対し、「訴状が届いていないので、具体的なコメントは控えさせていただきます。会社としての見解は、裁判で主張していきます」と答えた。