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【2審判決・直前インタビュー】ろくでなし子「ろくでなしにも人権はある」「ぜったい無罪だと思っています」

東京高裁判決は4月13日、午後2時に言い渡される。

女性器をかたどった作品展示と3Dデータの送信により、わいせつ物頒布等の罪に問われている「ろくでなし子」こと五十嵐恵被告人の2審・東京高裁判決が4月13日午後2時に言い渡される。

裁判の最大の争点は、作品やデータがわいせつかどうかだ。1審・東京地裁は昨年5月、作品展示については「無罪」、3Dデータ送信については「有罪」として罰金40万円を言い渡した。検察・弁護側の双方が控訴した。

「わいせつ」で「有罪だ」とする検察側に対し、弁護側は「わいせつではない」「無罪だ」と争っている。

逮捕をきっかけに出会ったイギリス人歌手のマイク・スコット氏と結婚し、アイルランドで息子を出産、今回の判決を聞くために一時帰国した本人に話を聞いた。

「ろくでなしにも人権はある」

「ぜったい無罪だと思っています。逮捕って、恐ろしいことだと思うんですよ。私は作品を展示したり、ボートを作るプロジェクトに参加してくれた人たちに3Dデータを配っただけ。逃げも隠れもしないのに、わざわざ2回も逮捕されて、合計30日も勾留され、取り調べで『有罪だ』と仕向けられました。ろくでなしにも、人権はありますよ」

逮捕されたことで、人生が大きく変わった。

「逮捕後に一番変わったのは、世界中の人たちが応援してくれるようになったことでした。アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、ドイツ、スウェーデン、カナダなど、欧米メディアからも取材が来て、香港、アメリカ、ドイツでは作品展示ができました。イギリス人の夫と結婚したきっかけも報道でした」

海外からの反応に勇気づけられたという。

「海外メディアは、作品を見た瞬間、『これはフェミニズムアートだよね』という反応でした。作品についてあれこれこむずかしく説明する必要もありませんでした。女性器をモチーフにしたアートを見慣れているんですね。一方、日本ではメディアも、警察も検察も裁判所も、いちいちアートだという説明をしないといけないのが大変すぎました」

「逮捕は驚きだった」

「私はわいせつな表現を国家が規制すべきだとは思っていませんが、今回はむしろ、これまでいやらしい存在として表現されてきたものを、あえて違う形で表現しようと思って、ポップでばかばかしい作品をつくっていました。だから、『わいせつ』として逮捕されたのは、本当に驚きでした」

「もしあれが有罪だったら、何がボーダーなのかわからない。表現者を萎縮させてしまうし、それは文化の損失だと思います」

1審・東京地裁判決は、女性器を石膏でかたどったものにデコレーションを加えてつくった「デコまん」作品3点については無罪、3Dデータ送信については有罪という「一部無罪判決」だった。1審判決については、マサチューセッツ工科大学メディアラボ助教でアーティストのSputniko!(スプツニ子!)さんが「芸術家の活動の可能性をあまりに狭めるもの」だと批判している。

「裁判そのものがプロジェクトアート」

検察側も控訴したため、2審判決では完全無罪から全て有罪まで、さまざまな可能性がありうる。2審の場合、被告人が出廷する義務は原則ないが、判決を自ら聞くためアイルランドから一時帰国した。

「裁判が始まってからは、『裁判そのものがプロジェクトアートだ』と考えるようになりました。わいせつって何なのか、それは国家が規制すべきものなのかと疑問を投げかけるアート作品です。2審判決は大きな節目ですが、作品はそれで終わるわけではありません。この裁判を受け止めてくれた人たちが考え、行動してくれることで、プロジェクトアートとしてできあがっていくのだと思います」


バズフィード・ジャパン ニュース記者

Kazuki Watanabeに連絡する メールアドレス:Kazuki.Watanabe@buzzfeed.com.

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