医療従事者のため約40億円を集めた退役大尉。100歳の誕生日を、英全土が祝福
トム・ムーア退役大尉は、100歳の誕生日までに庭を100往復するという運動を始め、支援金を募った。結果、約40億円がイギリスの国民保健サービスに寄付された。
イギリスのトム・ムーア退役大尉は4月初め、医療従事者のための支援金を募る運動を始めた。
100歳を迎える4月30日の誕生日までに、自宅の庭を100往復するというものだった。
結果、約3000万ポンド(約40億円)もの資金を集め、イギリスの国民保健サービス(NHS)に全額寄付された。
募金活動は誕生日当日に締め切られたが、英全土からムーア大尉を「英雄」だと称賛する声が上がった。すっかり有名人になったムーア大尉は、「キャプテン・トム」の愛称で国民から親しまれている。

トム・ムーア大尉(右)と娘のハンナ・イングラム・ムーアさん(左)
4月30日には、ムーア大尉のもとに英国内外から十何万枚ものバースデーカードが届いた。
各地にはムーア大尉の壁画が描かれた。英王位空軍までもが戦闘機を出動させ、ムーア大尉の自宅上空で儀礼飛行を行った。
ムーア大尉は、二次世界大戦で陸軍に志願し、インドやビルマに派遣された。今回の功績を称え、名誉大佐の称号が与えられた。
100歳を迎えたことについて、「非常に驚くべき」経験だとムーア大尉は語った。
「もっと驚くべきなのは、事態の回復を願うこれだけ多くの人々が参加してくれたことです。私の運動がもたらした影響に、自分でも驚いています」
ムーア大尉の誕生日を祝う英各地の様子を、以下にまとめた。

イングランド、ベッドフォードの近くにあるムーア大尉の自宅。敷地の入り口には、100歳の誕生日を祝う横断幕が貼られている。

自宅の塀にも、たくさんの祝福メッセージが。

自宅近くのベッドフォード・スクールに、ムーア大尉位へのバースデーカードが展示されている。

その数、なんと約14万通。

たくさんの "Happy Birthday" で講堂が埋め尽くされた。

ベッドフォード・スクールは新型コロナウイルスの影響で休校中だ。大量のバースデーカードの開封・展示作業は、ボランティアたちが行った。

4月30日、ロンドンのピカデリーサーカス広場にも、祝福メッセージが表示された。

北アイルランド、クロンダフに描かれた壁画。

イングランド、ノーサンプトン在住のアーティスト、サム・ベイリーが壁画を仕上げた。ムーア大尉の運動や、国民保健サービスと救命救急サービスの活動への感謝の意を表している。

ムーア大尉と国民保健サービスに向けて、「あなたは英国で偉大な存在」と書かれたトラック。

ムーア大尉の自宅に、自作の肖像画を届けに来た男性。

ムーア大尉の誕生日を祝って装飾されたパブの上を、英空軍のヘリコプターが飛んでいる。

英王位空軍による儀礼飛行が行われた際、地元住民も外へ出て拍手を送った。

勲章をつけたスーツに身を包み、儀礼飛行のセレモニーに参加したムーア大尉。
この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:髙橋李佳子