カリフォルニアの山火事で焼け出され、モーテルで暮らす人々をとらえた17の写真

    2018年11月に起きた大規模な山火事で壊滅的な被害を受けた、カリフォルニア州北部の町パラダイス。家や思い出の品を失い、モーテルで仮住まいを続けながら今後を模索する住人に話を聞いた。

    カリフォルニア州北部の街パラダイスは、2018年11月に起きた大規模な山火事「キャンプ・ファイア」で壊滅的な打撃を受けた。

    その影響は鎮火から4ケ月以上たった今も続く。火事を受けて近隣のスーパー、ウォルマートの駐車場に避難していた人たちの姿は見えなくなって久しい。しかし、周辺のモーテルには火事で焼け出された人々が今も多く身を寄せている。

    保険金をすみやかに受け取れず、FEMA(米連邦緊急事態管理庁)による支援も断片的なものにとどまるなか、住民らは仮住まいの滞在先で安定と今後の見通しを模索している。

    地域のインフラ復旧にあたる会社の従業員で満室のモーテルもあれば、住む場所を失った近隣の住民が半数以上の部屋を占めているモーテルもある。

    先の見えない日々を送る人たちの姿を、写真家レイチェル・ブジャルスキーが現地でカメラに収めた。

    ジム・マクラフリンさん(83)は、孫のレベッカさん、姪のキムさん、ひ孫のマッキンジーちゃんと一緒に2ケ月前からカリフォルニア州チコのマタドール・モーテルで暮らす。

    ジムさんは59年間住んでいたパラダイスの自宅を火事で失った。家族の写真や、書きためた詩も灰となった。孫や家族のそばにいられるチコ周辺で住まいを見つけられず、モーテルに身を寄せている。このままチコで家が見つからない場合、次に行くあてはない。

    マタドール・モーテルの部屋の前に立つロリー・ピーターズさん(58)と孫のマデリーン・ティンダールちゃん。火事が起きた昨年11月からここで暮らす。

    山火事でパラダイスの家と家財道具をすべて失った。ピーターズさんは娘と孫2人とともにこのモーテルの一室で暮らして4ケ月になるが、次に身を寄せる場所はない。

    同じくチコにあるアメリカズ・ベストバリュー・インの部屋の前に立つゲイリー・フランシスコさん(74)。パラダイスに腰を落ち着けて25年になるフランシスコさんは、住まいにしていたキャンピングカーを山火事で失った。

    焼け出されたあと3ケ月間住んでいた宿を出るよう言われ、4日前にここへ移ってきた。次に行く先のあてはない。

    メアリー・ウォルドさん、ルビー・ニューサムさん姉妹と、友人のマニー・マカビーさん。荷物をまとめ、滞在したタウンハウス・モーテルの前に立つ。パラダイスで住んでいたトレーラーハウスを火事で失い、車の中で寝泊りするか、金銭的な余裕があるときはモーテルに宿泊してしのいでいる。

    山火事で焼けた家から持ち出したアルバムを手にするマリー・ロペスさん。夫とともに3ケ月前から写真のモーテル、サファリ・インで暮らす。

    バッグに入れて持ち出した数点をのぞいて、夫婦の持ちものはすべて焼失した。持ち家に保険を掛けていたため、FEMAからの援助はない。滞在しているモーテルの部屋代は保険でまかなっているが、それもいずれ底を尽きる。娘が5月にカリフォルニア州立大学チコ校を卒業したら、トレーラーハウスに移りたいと考えている。

    ヘリテージ・イン・エクスプレスの部屋の前に立つリサ・コールマンさん(30)とケニー・ジョーンズさん(31)。

    コールマンさんの家が山火事で住めなくなって以来、二人は8軒のモーテルを転々としてきた。焼けた家はコールマンさんが家族から譲り受け、必要な支払いを済ませたばかりだった。関係書類はすべて焼失したため、どうすれば所有権を証明できるか調べているところだという。この先どこに住むのかはまだわからない。

    ホリー・ラトリフさんとパートナーのジョシュ・ムーアさん、ホリーさんの3人の子どもたち、マライアさん(14)、マイカくん(9)、メイジーちゃん(6)。ユニバーシティ・インに住んで1ケ月になる。

    ホリーさんは火事で住まいとネコ2匹、犬2匹を失った。子どものころ暮らした4軒の家も炎に消えた。モーテルの滞在費はFEMAからの援助に頼っており、補償に限りがあるため部屋を転々とする生活を余儀なくされてきた。FEMAから通知があるまで、このあとどこに住むのかはわからないままだ。

    エドナ・ヴァルディーズさん(左、70)と孫のアンドリュー・エアハートさん(右、25)、ケルシー・エアハートさん(中央、22)、ひ孫のイザベルちゃん(2)。2日前にヘリテージ・イン・エクスプレスへやってきた。

    ヴァルディーズさんが42年間暮らしたパラダイスの家を火事で失ったあと、一家はモーテルの部屋を24回にわたって転々としてきた。アンドリューさんが住んでいたトレーラーハウスも灰になった。ヴァルディーズさんは今後、1時間ほど離れた町ユバシティに長期で借りられる部屋を見つけ、移りたいと考えている。

    ヘリテージ・イン・エクスプレスの部屋の前に立つハイデン・シーマンちゃん(5)と祖父のスティーヴン・ハイドさん。

    ハイデンちゃんは母親のリンダ・ミラーさん、父親のテリー・シーマンさんと2ケ月前からモーテルで暮らす。部屋には祖父母もよく訪ねてくる。賃貸保険に入っていなかった両親は、住んでいたアパートメントと家財道具をすべて火事で失った。最近、母親のミラーさんが賃貸の部屋を見つけ、一家は来週にも移り住む予定だ。

    テリー・シーマンさんとパートナーのリンダ・ミラーさん。幼い息子ハイデンちゃんと、ここヘリテージ・イン・エクスプレスで暮らしてきた。火事に遭う前、シーマンさんは白血病の診断を受け、ミラーさんは交通事故で足に重傷を負っており、二人はとりわけ厳しい状況に置かれている。

    サービスマスター・クリーン社で働く3人のスタッフ。4ケ月前からユニバーシティ・インのこの部屋で寝泊りする。同社は、今回の山火事のような大規模災害の復旧作業を専門にしている。

    ティファニー・ガリソンさん(50)とパートナーのデヴィッド・セクストンさん(62)。ガリソンさんがこの部屋で暮らし始めて4ケ月になる。4歳からパラダイスに住むガリソンさんは山火事ですべてを失った。家族が暮らすこの地域を離れずにすむよう望みをつないでいるが、住む場所が見つからなければアイダホ州へ移るかもしれない。

    アメリカズ・ベストバリュー・インで自室の前に立つリヴィウ・ブジョールさん。パラダイスで5年暮らした賃貸のコテージを焼け出され、出生証明書や楽器、音楽機材、故郷アルメニアにいたころの写真を失った。山火事のあと、モーテルに身を寄せてきたが、FEMAの支援が受けられないときは自身の車中で夜を明かす。

    災害の復旧作業を専門にするサービスマスター・クリーン社のスタッフ、アレックス・ロハスさん。同僚とともにユニバーシティ・インで寝起きする生活を4ケ月続けている。

    双子のジャネイ・ヴァレンシックさん(左、15)とジョンさん(中央)、父親のジョンさん。ユニバーシティ・インの前で。この日、焼け出されて以来初めてモーテルで寝ることになった。

    家をなくした一家は友人のアパートメントに身を寄せ、他の13人の人とともに4ケ月を過ごした。火事で飼い犬を失い、子どものころからの思い出の品や家族の遺灰も炎に消えた。部屋の空きがあって支払いのめどが立つかぎり、ここにとどまるつもりでいる。いずれトレーラーハウスへ移るのが一家の希望だ。

    父親のジョンさんはこう話す。「優先したいと思っているのは、娘がバスケットボールを続けられて、息子の生活もあまり大きく変えずにすむことです。今回モーテルへ移って、これまで州外へ出ずにきたのもそのためです」

    作業員のブラッド・ベイリーさん(40)、ジョー・ニューベリーさん(32)、レイトン・パーキンスさん(32)。3人は、パラダイスで有害物質を含む木のがれきを撤去する作業にあたっている。ここでの生活は2ケ月を超えた。



    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:石垣賀子 / 編集:BuzzFeed Japan