アメリカでまたも警官が黒人射殺 暴動が発生、死傷者も出て非常事態を宣言

    公民権獲得から半世紀。無くならない差別と不正義

    アメリカ南部ノースカロライナ州シャーロットで、暴動が続き、多数の死傷者が出ている。きっかけは、またも黒人男性が警察に射殺された事件だった。

    9月20日に射殺されたのは、黒人男性キース・ラモント・スコットさん(43)。

    警察側は、スコットさんに拳銃を捨てるように指示したが、従わなかったため発砲したと説明している。しかし、遺族は「持っていたのは拳銃ではなく本だった」と主張している。

    事件直後、抗議活動が始まった。最初は平和的だったが、一部が警官と衝突した。

    警官隊への投石や、路上で放火をする姿も。

    警官隊は催涙ガスなどで鎮圧を図った。

    流れ弾に当たったデモ参加者が死亡した。警官・参加者の双方に多数の負傷者が出ている。

    AFPの報道によると、少なくとも44人が逮捕された。衝突でデモ参加者9人と警官2人が負傷した。

    抗議デモは事件が発生した20日から断続的に続いた。21日夜にはノースカロライナ州のマクロリー州知事が非常事態宣言を発令した。

    23日現在、事態は沈静化した。だが、平和的な抗議デモが続いている。

    抗議デモには世代を超えた住民が参加した。

    デモ参加者同士も言い争いに。。。

    催涙ガスを巻かれ逃げ出すデモ参加者

    警察官を睨みつける黒人女性

    アメリカでは警察と黒人社会の対立が大きな社会問題となっている。

    ルイジアナ州では7月5日、無抵抗の黒人男性が白人警官に取り押さえられて射殺された。その一部を撮った動画がネットに投稿され、抗議行動が広がった。

    翌日にも、ミネソタ州で警官が車を運転していた黒人を射殺。その様子を同乗していた女性がFacebookライブし、衝撃を与えた。

    亡くなるのは黒人ばかり。

    2012年、フロリダ州で17歳の黒人少年が自警団長に射殺された。だが、無罪判決となったのをきっかけに、黒人への暴力に抗議する「#BlackLivesMatter(ブラック・ライブズ・マター=黒人の命は大切だ)」運動が始まった。

    2014年にはミズーリ州で18歳の黒人少年を射殺した白人警官が不起訴になり、暴動が発生。ニューヨーク市では白人警官に首を絞められた黒人男性が死亡。この警官も不起訴になった。

    根深い差別問題。黒人社会における警察への不信感は高まるばかりだ。

    アメリカで黒人が公民権を獲得したのは1960年代。半世紀以上が経過した今も、黒人は無くならない不正義に対して声を上げ続けている。

    ノースカロライナ州のデモに参加した黒人少女が掲げていたメッセージ。「正義なくして、平和はない」。彼女が大人になる頃、正義と平和は達成されているのだろうか。