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「SNS利用者の半数以上が嫉妬」は本当か 報告書を確認すると異なる事実が判明

共同通信などが配信した「SNS利用者の半数以上が嫉妬」という記事。BuzzFeed Newsは記事の基となった報告書を取り寄せ、実際の数値を確認した。

共同通信は1月24日、「SNSにネガティブな実態も 半数以上が他人に嫉妬」という見出しで、SNSの利用者には「他人の楽しい投稿に嫉妬する人が半数以上いる」と報じた。

この共同通信の記事は、日経新聞毎日新聞などにも配信された。

記事の基となった報告書には、どう書かれているのか

記事の基となったのは、ロシアの情報セキュリティー会社カスペルスキー研究所が、2017年1月12日に発表した報告書だ。

報告書の題名は「ソーシャルメディアが人々に及ぼす影響」。2016年10月から11月にかけて、16歳以上の男女1万6750人を対象に、世界18カ国で実施された調査をまとめたものだ。

日本語版が出ている報告書によると、「あなたが嫌な気分になった理由は何ですか?」という設問に、「他の人が自分より良い生活を送っていると知った」ときと答えた人が57%に及んだ、というデータが示されている。

共同通信は、「日本で回収した1000人分の結果によると、SNSで嫌な気分になった理由(複数回答)は『他人が自分より良い人生を送っていることを知った(結婚、子供、旅行、休暇)』が54%で最多だった」と報じている。

「57%」の母数はなんなのか?

共同通信の記事と報告書には、矛盾はない。だが、気になる点がある。

報告書には調査対象となった全体の人数が書かれている。だが、設問ごとの回答者数は明記されていない。回答者の割合が、パーセンテージ(%)で表記されているだけだ。

それぞれの%が示す数値が、全回答者(日本は1000人)を母数としているという説明はない。

BuzzFeed Newsは、カスペルスキー研究所に取材し、報告書の基となったデータを提供してもらった。

共同通信が報じたように、日本での対象者は1000人だった。しかし、「SNS利用者の半数以上が他人に嫉妬」という主張の根拠となった設問は、「ソーシャルメディアで嫌な気分になったことがある」と答えた人だけを対象にしていた。

SNSで「嫌な気分になったことがある」と答えたのは、391人で全体の4割に満たない。

そして、「他の人が自分より良い人生を送っていることを知った」を理由に挙げたのは、391人のうちの54%(世界では57%)だった。

つまり、SNSで嫉妬したのは、「半数以上」ではなく、全回答者から見ると、約2割に過ぎなかった。


「提示する必要を感じなかった」

BuzzFeed Newsは、なぜ設問ごとの回答者数をあらかじめ報告書に記載しなかったのか、とカスペルスキー研究所に聞いた。

カスペルスキー研究所からメールで解答を得た。

レポート5ページのグラフに『あなたが嫌な気分になった理由は何ですか?』と記載していることから、その対象(母数)は『嫌な気分になった事がある人』を対象にしていると認識しており、あえて提示する必要を感じませんでした」

SNSを利用し、不快な気分になる人はいる。だが、この報告書の結果から、「SNS利用者の半数以上が嫉妬している」と断定するのは調査データに反する。

カスペルスキー研究所によると、他の報道機関から「設問ごとの回答者数」に関する問い合わせはなかったという。


バズフィード・ジャパン ニュース記者

Kantaro Suzukiに連絡する メールアドレス:kantaro.suzuki@buzzfeed.com.

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