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ドゥテルテ節に観衆が拍手 閣僚にかばわれた「首輪をつけた犬」発言とは

「フィリピン国民には尊厳がある」

ドゥテルテ大統領は就任時から、米国との軍事関係を見直す考えを強調してきた。中国を訪問していた期間中に「米国との決別」を宣言した後、一転して「米国との軍事同盟は変わらない」と釈明した。

しかし、軍事面でも経済面でも、米国に依存してきた関係性を変えたいとの思いは変わらないようだ。

ドゥテルテ大統領はこの日、30分ほど遅れて会場に到着。フィリピンへの投資誘致や日系企業の進出がフォーラムの主なテーマだった。

ドゥテルテ大統領は、用意された経済に関する演説を約5分で読み上げた後、原稿を見ずに演説を始めた。

「最後に付け加えてお話したいことがあります。(中国での)私の発言についてです」

「私は中国を訪問しました。中国とは経済の話だけをしたとお約束したい。軍事的なことは話しませんでした。訪中で中国との経済関係を強化したかったのです」

原稿を読むだけだった最初の演説とは打って変わり、ドゥテルテ節が炸裂し始めた。

「(フィリピンが)他国に友好であることは今までと変わりません。しかし、大統領がフィリピン国民の尊厳を守るために立ち上がる時が来たのです」

ドゥテルテ大統領は、フィリピンでは違法麻薬が蔓延し、多くの国民が苦しめられていると強調。国連、欧米諸国から非難の的となっている麻薬撲滅政策の正当性を訴えた。

「米国や欧州連合は、麻薬撲滅作戦を『人権侵害』だと批判しています。しかし、国民の400万人が麻薬中毒なのです。友好国であるはずの政府が、(フィリピンの)足を引っ張っています」

アメリカに話が及ぶと、感情をむき出しにしながら、米追従の方針は見直すと明言した。

「アメリカは言う通りにしなければ支援を止めると言っています。まるでフィリピンが『首輪をつけた犬』かのような扱いです。『犯罪者に噛み付くのをやめなければ、餌はやらない』と」

演説の最後は、フィリピン国民の愛国心を刺激するフレーズを繰り返した。

「大統領の立場を追われても構いません。命を失ったとしても、想定内の結果として受け入れます。しかし、フィリピン国民の尊厳を損ねることだけは絶対にしません」

「我が国はアメリカの支援がなくとも、生き残ります。生活の質は下がってしまうかもしれませんが、生き抜きます」

「アメリカにも他の国に対しても、『フィリピン国民には尊厳がある』と証明したいのです」

ドゥテルテ大統領が演説を終えると、会場にいたフィリピン人の観衆は即座に立ち上がり、拍手した。フィリピン人につられるように、日本人も徐々に立ち上がり始め、会場全体が拍手で包まれた。

経済閣僚「フィリピンの現状を理解して」

「経済」をテーマにしたフォーラムにもかかわらず、ドゥテルテ大統領は米国との同盟関係に言及した。何を伝えたかったのだろう。

BuzzFeed Newsは、ドゥテルテ大統領が演説にどんな思いを込めたのか、会場にいたフィリピンの経済閣僚、アーネスト・ペルニア国家経済開発長官に聞いた。

ペルニア長官は、「ドゥテルテ大統領は、フィリピンが置かれた現状を日本人の前で説明し、理解を求めたかったのではないか」とみる。

「フィリピンはこれまで米国の政策に追従しすぎていた。大統領は日本を非難しているわけではない」

「大統領は、米国と友好関係にある日本の事情を十分理解している。しかし、フィリピンは日本と違い経済力もない。アメリカの態度も全く違うことを分かってほしい」

ペルニア長官は、ドゥテルテ大統領の発言から、フィリピンが抱える特殊な事情を理解してほしい、と話した。


バズフィード・ジャパン ニュース記者

Kantaro Suzukiに連絡する メールアドレス:kantaro.suzuki@buzzfeed.com.

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