
ネバダ州クラーク郡校区の高校生たちにとって、革命を起こすステージはテレビではない。TikTokだ。
クラーク郡学区の教員組合は、今月10日、約束されていたはずの賃金値上げが拒否されたことに対するストライキ決行を予定している。これを支持するため、クラーク郡学区の学生たちも、TikTokを使った学生運動を計画。TikTokは、ユニークな短動画が集まるソーシャルメディアで、今1番のネットのネタ宝庫と言われているアプリである。
ジリアンはTikTokでこう呼びかけた。
「私たちの学区委員会は、教師の賃金値上げ要求を拒否しています。先生たちは今まで3年間、身銭を切り、学校の外でも何時間も活動し、お給料値上げのために必要な条件を揃えてきました。なのに、学区はそれに応えてくれない。先生たちがやってきたことに見合う金額を払わないんです」
教師たちの現状を訴える自身のTikTokポストが大拡散されたことをうけ、ジリアンは今、9月5日の学生ストライキ運動を計画し、参加を呼びかけている。
「子どもたちがTikTokで教員組合運動を支持してるの? すごい!」
These kids on tiktok are organizing a general strike in solidarity with their teachers? Holy shit?
3年前、クラーク郡学区の教員に対して、委員会は、教育の幅を広げることで給料を値上げすると約束。しかし、フタをあけてみれば、委員会は十分な予算をつけず、値上げは微々たるものだった。
教員組合によれば、話し合いによっていくつかの和解点はあるものの、未だ交渉中だという。ちなみに、委員会側は取材に応じていない。
ジリアンがストライキを計画しようと思った理由は、20年以上この学区で職員をつとめる彼女の母親が給料値上げを拒否されたから。BuzzFeedの取材にたいしてジリアンは、「契約で賃上げが約束されているにも関わらず、それが守られない職場で働くなんて想像できないほど不満があると思います」と気持ちを語ってくれた。
自身の通うフットヒル高校の友達にも教師の現状を知ってほしいと思ったジリアンは、様々なSNSに動画をポスト。
「TikTok、Instagramのストーリーズ、Snapchatのストーリーズにポストしました。TikTokの動画はTwitterにもあげました。SNSを使おうと思ったのは、友達みんなやってるから。みんなに知ってもらうならまずはここからだと思ったからです」
ジリアンの狙いは当たった。TikTok動画は3万5000以上いいね!され、ツイートは広く拡散された。
「Zジェネレーションは違うわ。素晴らしい」
Gen Z is really different. I love to see it https://t.co/4BMa64V2Yv
クラーク郡学区内の学生たちに知ってほしいというジリアンの当初の狙いを大きく超え、全米中の高校生が、不当な扱いを受けている先生のために立ち上がろうと、あちこちで9月5日に学生運動を計画している。
教師陣からお礼を言われたというジリアン。
「多くの先生が、誇らしい、ありがとうって声をかけてくれました」
ジリアンに続き、エルドラド高校のレオナルド・ブーノ(17歳)も、教員組合を支援すべくTikTokに動画をポストした。
「先生たちの不当な扱い、払われるべき給料が支払われていない現状に声をあげよう。先生たちが僕たちを熱心に教育してくれるのは、この国の未来のためだ」
レオナルドもBuzzFeedの取材に応じてくれた。いわく、過去にもこの問題について意見したことはあったが、今回ジリアンの動画を見て、自分もTikTokに投稿しようと思ったのだという。
「何がバズるかわからないからこそ、僕の投稿がバズる可能性もある。より多くの人に声が届いて、問題を語り、先生たちが正当な扱いがされるよう変わってほしい。より多くの人に知ってもらえば、さらに多くの人が正しい認識ができ、もっと大きな声となり、問題を変えるチャンスは増えるはず」

学区内で、レオナルドのような学生たちと意見を交わしているというジリアン。5日の学生運動は成功する気がするという。
「たいていの生徒は、学校サボるいい口実ができたって思っているかもしれません。でも、私は本気で先生たちのことを考えて、より良い学校になるようにと願っています」
5日の朝、ジリアンは友人たちと校門前に立ち、学生ストライキ(1日ボイコット)運動をさらに呼びかけるつもりだという。
「新学期が始まったら、家にか帰ってからはずっとTikTokを見ていると思います」
学生ストライキを通してジリアン最大の願いは、なによりも先生たちに給料を支払うことの重要性を学区が理解もらうこと。
「給料値上げは単純にお金の問題だけじゃありません。先生たちのやる気に繋がります。先生がやる気なければ、それは生徒に伝わります。先生が教えることをどうでもいいと思えば、生徒だって学ぶことをどうでもいいと感じます。今はまだ小さな存在の私たちですが、同時に私たちはこの学区の、そしてこの国の未来を担う存在でもあるんです」
この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:soko / 編集:BuzzFeed Japan