8人を殺害した連続殺人犯。逮捕の瞬間、ベッドには9人目の被害者が縛られていた

    トロントのゲイ・コミュニティで知り合った男性8名を殺した罪を認めた男。 警告:この記事には、殺人の詳細に関する記述が含まれます。

    1月の終わり、トロントで男性8名を殺害したとして起訴されたカナダ人の連続殺人容疑者ブルース・マッカーサー(67)が、罪を認めたうえで判決を待っていた。

    自営で造園業を営んでいたマッカーサーは、倉庫として使っていた所有地に置いていた大きなプランターに、被害者らの遺体を隠していた。

    トロントのゲイ・ヴィレッジで行方不明や死亡が続いていたところ、マッカーサーが逮捕された。同ヴィレッジでは、ゲイ・コミュニティを狙った犯人に対して、警察は十分に対処していないとして住民が怯えていた

    マッカーサーは、第一級殺人8件で起訴事実(=罪)を認めた。

    被害者は、アンドリュー・キンズマン▽セリム・エッセン▽マジード・ケイハン▽ソラシュ・マフムーディ▽ディーン・リソウィック▽スカンダラジ・ナバラタナム▽アブドルバシール・ファイジ▽キルシュナ・クマール・カラグラトナムの各氏だ。

    有罪判決を受けた被告に対する量刑審問のさいに、検察のマイケル・キャントロン検事は殺害時の詳細を明らかにしたと、CTVニューズは報じている

    キャントロン検事によると、マッカーサーが逮捕されたのは、9番目の被害者になる可能性があった男性と会っているときだった。

    2018年1月18日、「ジョン」と名乗る男性がマッカーサーの家を訪ねた。そこでジョンさんは手錠でベッドにくくりつけられ、頭には黒いバッグを被せられた、とキャントロン検事は言う。ジョンさんが頭をバッグから何とか外すと、マッカーサーはテープでジョンさんの口をふさごうとした。

    BBCの報道では、その瞬間に警察がドアを叩いた、とキャントロン検事は述べている。

    警察はマッカーサーの動きを追っていた。9人目の標的になっている人物と一緒にいることを察知し、逮捕へと踏み切った。

    「マッカーサーのコンピュータの鑑識分析では、キンズマンさんが殺害された日に、ジョンさんを検索して、ソーシャルメディアからジョンさんの写真をダウンロードしています」とキャントロン検事は話した。

    マッカーサーの家宅捜索のさい、被害者の写真が入ったハードディスクを警察は見つけている。裸で毛皮のコートを身につけ、葉巻をくわえたものなどがあった。テープで目を開けたままにされている被害者の写真もあった。

    写真は8つのフォルダーに分けられて保存されており、ジョンさんのために9番目のフォルダーが作られていた。

    被害者をばらばらに切断しただけでなく、マッカーサーは被害者の頭や髭を剃り、ジッパー付きのビニール袋に入れて、墓地のそばにあった小屋に保管していた。

    マッカーサーは、被害者を拘束し、性的暴行を加え、ロープ付きの金属の棒で絞殺したという。被害者とはデート・アプリで出会い、犯行は計画して熟考された方法で行われた、とキャントロン検事は述べた。

    関係者はすべて、トロントのLGBTコミュニティと繋がっており、身体的な特徴も似ている。

    「ほとんどの被害者は、髭を生やしていました。被害者のうち6名は移民で、南アジアか中東出身者でした」

    被害が見つからない可能性があったり、見つかりにくかったりする点でも類似している。

    「性的志向のために私生活の一部を隠さざるを得ない被害者もいました」とキャントロン検事はいう。「安定した住まいを持っていない被害者もいました。犯罪が発覚しないように、マッカーサーがこのような弱みを探して利用した証拠があります」

    アンドリュー・キンズマンさんが殺害されたあと、警察はマッカーサーの追跡をはじめた。

    キンズマンさんが消息を絶った2017年6月26日、キンズマンの日記には、「ブルース」と書かれていた。監視カメラには、キンズマンさんがマッカーサーの車に乗り込む映像が残っていた。

    その後、警察はマッカーサーの監視をはじめ、捜査令状をとり、密やかに家宅捜査をした。

    マッカーサーは過去に何度か、警察ともめ事を起こしている。2003年、金属のパイプで元交際相手の頭を殴ったとして有罪判決を受けた。2013年には3人の失踪者について警察の事情聴取を受けているが、これは容疑者としてよりも、目撃者としてだった。

    2016年、ワゴン車のなかで友人を絞め殺そうとしたとして、警察にふたたび聴取された。マッカーサーはこの友人をワゴン車へと誘った。友人は性交渉のためだと思ったが、車はプラスチックで覆われていた、とこの友人は話している。

    その場を逃れて警察へ通報する前に、被害者はこう尋ねたという。「なにが望みなんだ。なぜだ」。マッカーサーの話も信用できるとして、警察はマッカーサーを起訴せず、経歴調査でも2003年の逮捕は浮上してこなかった。

    被害者に近い人たちは、失われた命がどれほど大切なものだったかを、法廷で訴えた。

    トロント・メトロポリタン・コミュニティ教会のディアナ・ダドリー牧師は、トロントのLGBTコミュニティにマッカーサーの犯罪が与えた深く、そしていつまでも残る影響について話している。

    「多くの人が、安心感を失ってしまいました。被害者は自分だったかもしれない、誰でも被害者になり得たという不安感が漂っています」とダドリー牧師は話す。「私たちは怒っています。この怒りは長く続くことでしょう。怒りに心が蝕まれてしまわないことを祈ります」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:五十川勇気 / 編集:BuzzFeed Japan