Amazonのレビューは "人間" を映す、読み物である。

    ある人の残したAmazonレビューを次々に読んでいくと、自分とはまったく違う人生を垣間見られる。それがレビューを読む本当の理由なのだ。

    Jade Schulz for BuzzFeed News

    私はAmazonでものを定期的に買いながら、Amazonは世界を破滅させる可能性があると非難をしているような人間の一人です。だからあなたは私を偽善者だと呼ぶかもしれないし、何かの基準で多くの人と同じ仲間だとくくるかもしれません。たしかに、私はかつてレザーを着るベジタリアンでした。それは謝る。ごめんなさい。少なくともその時にも、私はベーコンは食べることはなかったけれども。話が逸れました。

    最近、私はAmazonで長い時間を費やしています。それは私が最近、書籍を上梓したからではありません。(断じて、そうではないんです!)実は、著者が学術書を出版するたびにAmazonから受け取るハンドブックは、2018年に向けてアップデートされ、自分の著書のレビューを読むように勧められているんですよ。(冗談です。そんなハンドブックはありません。)私は、自分の小説に関する一般の人のレビューを読むのを用心して避けています。では、その代わりにAmazonで何をしているか。自分の本以外の全てのレビューを読んでいるんです。

    まあ、「全て」は言い過ぎですが、たくさん読んでいます。Amazonにはおそらく、商品に関する何百万、もしかしたら何十億ものレビューがあります。その商品は書籍『10万の正規分布を持つ100万の乱数』(きっと多くの人が「100万の乱数?ええ?10種類の数字だけ使って、それを違うコンビネーションにして繰り返しているだけでしょう? バカなこと言わないでよ」というでしょう)から、「起きよ、死人よ」としゃべるらしいこちらの時計(オーダーしてしまいました。すぐにその効果がわかると思います!)まで、幅広い商品のレビューを読んでいるんです。書かれているレビューは、書いた人ときっと同じように、温かいものもあれば気さくなものもあり、残酷なものも、正直なものも、本当にバカみたいなものもあります。(時には投稿者が商品を間違えてレビューしていることすらあるんです。)大げさだったり、めちゃくちゃだったり、恐ろしかったり、陽気だったり、ありふれたものだったりします。フェイクかもしれないものもあります。よく話が脱線してもいます。良いアドバイスを得られるかもしれませんが、それは何を求めているかにもよります。フェレットの餌を買う時に「餌の豆の成分に気をつける必要がある…尿結石を引き起こすから」なんてこと、知っていましたか? 知ってよかったと思いますよ、フェレットを飼っているわけじゃないですけれど。

    こういった豊かな情報やいらだたしげな意見を見つける一方で、猫用のDVDに関して言い争いをしている人々も見かけます。話が脱線していると思うかもしれませんが、私はこの、脇道に逸れたかのようなところが、重要だと思うのです。Amazonのレビューの力は、あなたが考えているようなものではありません。レビューがある本当の理由は、あなたが目覚まし時計や本を買うのに役立つことではなく、Ziplocのサンドイッチ用袋が薄いのはランチを作るママをバカにしているからだ、などといった商品について陰謀論を広げることでもありません。もちろん、レビューは商品購入を助けるためにあるのですが、それは副次的な理由なんです。なぜAmazonレビューがあるのか。Amazonレビューは読み物として存在しているんです。それが真の目的です。特に、ヘンゼルとグレーテルが道しるべとして森の中に点々と置いていったパンをたどるように、一人の人による様々な商品のレビューを読んで、そこから一風変わった、全くもって自分と違う誰かの生活を垣間見ることにあるんです。それが重要なんです。

    JDThirdさんという、26,000ものレビューを書いているトップ投稿者の場合を見てみましょう。(Amazonは、彼のように頻繁にレビューを投稿する人をトップ・コントリビューターという名で表彰しています。)JDさん、と呼ばせてもらいましょう。JDさんの最近の投稿は長袖とショートパンツのパジャマというセットでした(「ちょっと奇妙な組み合わせ」とJDさんは書いています)。それからビタミン剤(「いつものビタミン剤が売り切れだったので、こちらの新しい商品に挑戦するいい機会でした」とあります)。そして、犬のオムツも(JDさんは高齢のラブラドールを飼っているんです)。これは、JDThirdさんについて、私が知っていることの一部です。一度も会ったことはないんですけれどね。JDさんは最近ジープを買ったことも知っているし、彼には一人息子と妻がいることも知っています(その息子さんは中学校3年生で金属細工の授業をとっていて、テレビ番組の「ザ・ゴールドバーグズ」が大好きです。)そしてJDさんはよく二人の服を買っています。9月には、奥さんにスカーフを買っていました。(「妻はスカーフが長いのが気に入っています。私たちはウィスコンシン州に住んでいて、ここは冬はちょっと寒いからです。スカーフの端のふさがどのくらいもつかな」とJDさんは書いています。)彼はウィスコンシン州在住です。JDさんは古くなったチップスの味が嫌いで、キャンディーもあまり好きではありません。チョコレートもあんまり好きではないです。ペット用の魚を飼っていて、コーヒーはそれほど飲まないけれど、朝コーヒーの香りを嗅ぐのは大好きです。頭のフケがあるわけではないですが、髪を剃っています。そして20年間喫煙者です。

    この内容、とても魅力的で具体的ですよね。

    家族が紫の枕を巡って喧嘩をしたことを知ったり、猫のおしっこの匂いと格闘していることや、何を買ったかをということから、誰かの生活をここまで深くみてしまうのは、もしかするとストーカーっぽいと思われるかもしれません。でも、こういったものは全部おおやけに、インターネットに公開され、それを私たちは見ることができる。これが、このレビューの真の目的ではないでしょうか? 何を買うか(JDThirdの場合は、買うというより正直な投稿と引き換えに無料でもらっているのですが)、多かれ少なかれ、その人を反映しているのです。

    テキサス州マーシャル在住のジーナ・フォークスさんは、JDさんと比べると全くの初心者です。レビューはまだ24個のみ。私は最初、彼女の箸や風鈴、鳥型のクリスマスオーナメントやディズニーイラストのカレンダーについてのレビューを見て、彼女のことを行き当たりばったりに星5つをつける人かと思いました。ところが、私は彼女を見くびっていたと気づきました。彼女は多目的透明カバーシールについて3星をつけながら「まあ透明ですが、もっといい商品はありますね」と書いていたのです。それに、ジーナはオールシーズン用マーメイド型ブランケットには非常にがっかりしていて、こんな風に書いています。「私は165センチ弱ですが、ブランケットの人魚の尾の部分は膝までしか届かず、残りは体に乗せることしかできません。このデザインは何なのでしょう。ウォルマートで、もっと高品質でもっと良い匂いの、もっと使えるものを1ドルで買いました」。星1つ。言うねえ、ジーナ!

    こういったレビューから、私は人間というものを感じます。人々を愛さずにはいられません。たとえ、コーヒーの習慣やハロウィーンの際の家のデコレーションの方法に賛同できなかったとしても。そんなことはどうでもいいんです。私たちはみんなかけがえなく大事な存在で、へんてこで、完全に非完全で、万人が賛同するわけではないだろう意見を表明する権利を持っているんです。なぜなら、私たちはみんな人間だからです。とはいえ、私が1000ワードの原稿を定期的に書くのに必死だというのに、JDさんがあんなに多くの時間をレビューにさける理由はわかりませんが。たぶん、それは私のように、Amazonレビューを読み込んだりしていないからでしょうね。Amazonのレビューは何時間も読んでいられます。他の人のことを知るのは、仕事をするよりもおもしろいですからね。幸いなことに、インターネットがその両方をできるようにしてくれたんですよね。



    Farrar, Straus and Giroux

    Jen Dollはフリージャーナリスト兼作家で、ヤングアダルトの『Unclaimed Baggage(未邦訳)』と自伝『Save the Date: The Occasional Mortifications of a Serial Wedding Guest(未邦訳)』をし出版しています。

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    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:フェリックス清香 / 編集:BuzzFeed Japan