ゴールデングローブ賞授賞式で「中絶の権利」を強く訴えた女優。選択権がなければ「受賞できなかった」

    「『選択肢』が存在する社会でこの瞬間を生きられていることに、感謝します。女性として生きる上で、自分の選択によらないことが、自分の体に起こる可能性があるからです」と、テレビ映画部門の主演女優賞に輝いたミシェル・ウィリアムズは語った。

    アメリカ現地時間1月5日に行われたゴールデングローブ賞授賞式

    テレビの部、リミテッドシリーズ/テレビ映画部門の主演女優賞には、『Fosse/Verdon(原題)』で主演したミシェル・ウィリアムズが輝いた。

    壇上でミシェル・ウィリアムズは「女性の選択権を行使することがなければ、受賞することは無かった」と述べ、女性の中絶を選ぶ権利を強く訴えた。

    また、2020年のアメリカ大統領選挙では「18歳から118歳の女性」は必ず投票するように、とも述べた。

    アメリカでは、複数の州が中絶を規制する動きを見せている。アラバマ州では「中絶禁止法」が成立した。

    アメリカ連邦最高裁が女性に中絶する権利を保障し、この権利を脅かす法律を違憲で無効とした「ロー対ウェイド訴訟」の判決を覆そうとする動きが議会で起きる中、ウィリアムズは声を上げた。

    以下はスピーチの全文だ。

    私の選択が認められていることに、感謝します。

    また、『選択肢』が存在する社会でこの瞬間を生きられていることに、感謝します。女性として生きる上で、自分の選択によらないことが自分の体に起こる可能性があるからです。

    私は自分自身の人生を送るために最善を尽くしてきました。自分に起こった一連の出来事だけでなく、自分自身で描いた線を、一歩下がって振り替えるのです。

    その線は時には乱雑で、時には性格で、でも全て私自身の手で書いたものです。

    子供をいつ、誰ともうけるかを選択する女性の権利を行使しなければ、私はこの賞を受賞できなかったでしょう。

    すべての母親がなによりも子供を優先しなければならないことを分かっていることを知ると、とても心強かったです。人生のバランスをとることができると感じました。

    今、私の選択があなたの選択とは異なって見えているかもしれないことは、よく分かっています。

    でも、神様、それかあなたが祈る相手に感謝してください。私たちは、それぞれの信仰によって自由に生きることができるという原則に基づいて建てられた国に住んでいるのです。

    ですから、18歳から118歳の女性のみなさん。投票する時が来たら、自分の利益のためにきちんと投票を行ってください。

    これは男性が何年もやってきたことであり、世界が男性中心になっている理由なのです。

    でも忘れてほしくないのは、私たち女性はこの国で最大の議決権を持っているということ。もっと私たちらしい世の中にしましょう。

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    授賞式のあと、ウィリアムズはインタビューに答えた。

    9月にエミー賞を受賞した時に行った、ハリウッドの性別賃金格差に関するスピーチへの反応に触発され、今回のスピーチを決めたそうだ。

    「エミー賞を受賞した時のスピーチをした後、多くの女性が私のところに来て、私のスピーチがどのように影響を与え、助けになり、また自分たちを変えたのかということを話してくれました。女性の上司たちから、従業員の女性たちに対する対応を変えたとも言われました」

    「これは、これまで私に起きた中で最高にプロフェッショナルな出来事です」

    「それで今夜は、もし運良く受賞できたら、耳を傾けてくれる人がいればいいなと思い、心に浮んだことを言おうと考えていたんです」

    ミシェル・ウィリアムズは現在、主演女優賞を受賞した作品『Fosse / Verdon』 の監督と制作を行ったトーマス・ケイルと婚約しており、妊娠していると報じられている

    この記事は英語から翻訳・編集しました。協力:Krystie Lee Yandoli
    ピーチ翻訳:髙橋李佳子