寄付された物を安価な価格で売る「スリフトショップ(スリフトストア)」と呼ばれる、アメリカの非営利リサイクルショップを知っていますか?

ニューヨークを拠点にソーシャルメディアマネージャーとして働いているデイビット・グーテンマッハーさん(25)は、スリフトショップで手に入れた古い写真やビデオテープをTikTokに投稿し、持ち主を探す取り組みを行なっています。
デイビットさんはスリフトショップで昔の写真がたくさん売られていることに気づき、TikTokアカウントを開設した、とBuzzFeed Newsの取材に対し語りました。
「写真にうつる人たちにとって、その思い出はカメラに納めてプリントするほど大事な瞬間だったに違いありません。そんな写真が彼らの手元にないと考えると、悲しくなるのです」
「私は祖父母と過ごした思い出があまり残っていません。もし、(スリフトショップで見つけた)写真が私の祖父母の写真だったら…手元に大切に保管したい、そう願うと思うんです」とデイビットさんは話します。
デイビットさんのアカウントはたちまち大人気に。その中でも、彼のお気に入りは写真ではなく、映像の投稿だと言います。
「(スリフトショップで)テープをみつけて変換する作業は、なんかすごく懐かしい気持ちに浸れるんです」
その中でも、ロングアイランドにあるスリフトショップで見つけた古いビデオテープは特別だった、と言います。
映像にうつる人物の唯一の手がかりは、男性が着ていた「Wesleyan Swimming(ウェズリアン・スイミング)」と書かれたシャツ。
それだけの手がかりだと見つからないのでは…という予想に反して、デイビットさんのフォロワーのひとりが映像にうつっていた男性を特定し、留守電を残してくれたそうです。
映像にうつっていた男性は、メリーランド州で金融関連の会社を経営するジョノ・マーカスさん(54)。
ジョンさんは留守電を聞き、詐欺の電話だと思い込んだそうですが、TikTokのリンクを送るようお願いした、といいます。

「信じられませんでした。なぜビデオに、自分がうつっているのか記憶を辿ってみました」
「23歳のときの自分が今の自分と繋がっている…私の明るい過去を思い出させてくれたようです」と最初に映像をみたときの感想をジョンさんはそう話します。
ビデオが撮影された年、ヨーロッパで仕事をしていたジョンさん。
その後、ケニアの首都ナイロビで両親と合流し、サファリツアーに出かけた、と当時を振り返りました。
ジョンさんは、映像の人物が自分であることを証明するために、1989年に撮られた映像を再現し、TikTokに投稿しました。
「正直、今の自分の見た目は23歳のときの自分と似ていません。髪の毛の一部は、私を置いて南の方に移住してしまいました(笑)」
「髪の毛がふさふさだった男性は、今や髪の毛のない状態になってしまった…TikTokの人々に、これが自分だと証明する必要があるな、と思いました」とジョンさんは証明動画を投稿した理由をジョーク交じりに語りました。
証明動画には、手がかりとなったウェズリアン・スイミングのシャツや両親の写真もうつっています。
ユーザーから好評だったジョンさんの証明動画。これこそが「インターネットの良い一面」と話題になりました。
「この動画が話題になったことで気付いたことは、人々は繋がりを必要としている、ということです。純粋に心の出会いを欲しているんだなと」
ジョンさんの家族もこの動画をとても気に入ったといいます。
「妻がこのビデオをみて泣いたんです。たったの40秒の動画だけど、私の父をみて泣きはじめたんです」

一方で彼の娘たちは、いつ有名人の誕生日が掲載されているサイト「Famous Birthdays」にパパの顔が載るのか聞いてきたそう。
TikTokに自分たちも出演したい、とのお願いもされているそうです。
ジョンさんは、他の動画も載せてきたいが、まずはTikTokの使い方を勉強してからと話します。

「このビデオの注目度を利用して、落ち込んでいる人や、自分自身や家族との繋がりを必要としている人を助けることはできないか考えています」と彼は話します。
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:オリファント・ジャズミン