ZOZOTOWNを運営するZOZOが、3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT 2」を発表しました。
全身に施されたドットマーカーを360度撮影することで、旧モデルよりも緻密な3Dモデルを生成できるといいます。

まず見た目が大きく変わりました。計測用マーカーの数が従来の50倍にあたる2万点に増えています。
さらに、より認識しやすいマーカーに変更することで計測精度や認識率、解像度が向上しました。

また撮影中の動きを補正する技術や、輪郭情報を使って3Dデータを補正する技術などが導入されています。
下記の画像は撮影データをデモアプリ上に反映したものです。

左は撮影した写真に、計測で生成した3Dモデルを重ね合わせたもの。丸みのある肩や首もとがほぼ合致しています。右は3D計測結果です。(モデルは筆者)
より精密なデータを取得できることは体感してわかりました。しかしなぜ、スーツを改良する必要があったのか。開発を率いた取締役兼COOの伊藤正裕さんに話を聞きました。
旧式リリース以降もずっと開発を続けていた

最初の「ZOZOSUIT」は、プライベートブランド商品を売るためのプロダクトとして開発されたもの。リリース以降はZOZOSUIT単体のプロダクトとして切り離し、改良を続けたそうです。
「人の形はそれぞれ違っていて、測る場所もさまざまです。その全部を網羅するのが大変でした。なのでスーツのデザインやアルゴリズムを激しく変更して、人体モデルを作り直しながら丁寧に開発しました」
精度を突き詰めた結果、マーカーを増やす結論に至りました。実は旧モデルは、マーカーとマーカーの間の黒い生地の情報を取得できていなかったのです。
「全体を惜しみなくマーカーにすることで、どこも抜けること無く情報が取れるようになりました。これによりメディカルやフィットネス、ヘルスケアに応用できるのが大きな利点です」
異業種と組むことで広がる可能性

高レベルの体型計測装置が完成したことで、現在は新たなビジネスを模索しています。
「一度ZOZOSUIT 2で測定しておけば、サイズ選びを気にせずZOZOで買い物ができます。さらにトレーニングジムと連携してリモートでアドバイスがもらえたり、病気の早期診断ができるかもしれません。そんなことができるといいなと、ユーザー目線でも思います」
すでに多くの企業から問い合わせがあり、中には寝具メーカーやマリンスポーツの分野など想定外の応募も。
「ZOZOとしては、ファッション以外の領域を自社でつくることはありません。ジムが得意な会社と組んだり、下着の会社とモノを作ったりすると面白いそうですよね。餅は餅屋です」
計測データがその場でアニメーションに…!
上の動画は筆者の3DのデータをAdobeのアニメーション生成ソフト「Mixamo」介して動かしたもの。このように計測した3Dデータをその場でアニメーションにすることも可能です。
これを応用すれば野球の投球フォームやゴルフスイングを確認するなど、スポーツ分野でも利用できます。
「エンタメやゲームにも可能性があると思いますし、デジタルな服を買って、それを着せてインスタに載せるARバーチャルフィッティングなんかも面白いですよね」
続けてZOZOSUIT 2が叶えうる未来をこう語ります。
「ZOZOSUIT 2が浸透すればもっと居心地のいい世界になると思います。服はサイズが合うと気持ちがいいし、ヘルスケアの分野でも、より自分にあう生活習慣ができるかもしれない。例えば側弯症(背骨が曲がってしまう病気)の早期診断ができるかもしれない」
「自分の身体をちゃんと理解することにより、受けられるサービスを通して自分の居心地がいい世界がつくれると思います」