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「みんな真田丸の乗組員です」 NHK大河プロデューサーが語る現場の熱意と一体感

人は何のためにドラマを見るのか

SNSを中心に、ファンが急増しているNHK大河ドラマ「真田丸」。毎週日曜の放送時間にハッシュタグ「 #真田丸 」をつけた実況が飛び交い、一瞬でトレンド入りする光景はこれまでの大河ドラマと比べても異例の事態となっている。


ドラマの仕掛け人は、いま、どのような思いで制作をしているのか。真田丸プロデューサーの吉岡和彦さん、SNS運用を担当する広報局 福島裕介さんがBuzzFeedの取材に答えた。


「真田丸を盛り上げたい」という一心で仕事をするスタッフたち

--視聴者からは「スタッフの熱意がすごい」という声もあがっています。これまでの作品と何が違うのでしょうか。

吉岡:じつは真田丸には、三谷さんが以前に手がけていた大河ドラマ「新選組!(2004年)」に携わっていたスタッフが数多くいます。最初のスタッフ挨拶で「僕は新選組の残党ですが」「あ、僕も残党です」っていう挨拶があったり(笑)。三谷さんが書くドラマ作りに携わりたい、という熱意を持ったスタッフが大勢いるんです。

そうでなくても、真田丸に関わると、みんなこの船に乗りたくなる。例えばSNSの告知とかって、一番熱意がにじみ出ちゃうんですよ。SNSで告知する時に「いよいよはじまる」なのか「いよいよはじまるぞ」とするのか、「いよいよ始まるからね!」と書くのか。そうした細かい場面でもスタッフの熱意がはみ出てしまっている。

NHKは公共放送だから、SNS投稿にも社内チェックがあるんです。そうした手間もある中で、いかに工夫して皆さんに情報を届けられるか。しかも、みんなお金を積まれているわけではなく、やってて面白いから、真田丸を盛り上げたいからという一心で仕事をしています。

ここ5年で一番盛り上がっているSNS実況

--SNSの盛り上がりも計算してドラマを作っているのですか。

福島:計算したわけではなくて、「若い人に大河を見せるなら、SNSをしっかり運用しなきゃだめだ」という気持ちがもともとありました。

真田丸は、皆さんが盛り上がっているところに、僕らがガソリンじゃないですけど、どうやったら情報を加えられるかを工夫しています。5年間大河ドラマのSNSを担当してきましたが、体感としても一番盛り上がってるなと感じています。

吉岡:皆さん、何のためにドラマを見るかっていったら「見ていて楽しい」だけではなく、翌日学校とか職場に言って「見た!?!?」っていう話をするために見ていると思うんですよ。最近のテレビはそのコミュニケーションが薄まってしまったけど、真田丸はSNSを通じて復活しつつあります。何が尊いかっていうと、番組をきっかけに、生きてる人と人がコミュニケーションをとることなんです。

福島:真田丸は、もしかしたら日本の会話量を増やしてるかもしれませんね(笑)。

吉岡:いくら視聴率が良くたって、その後に見てくださった人たちの間でコミュニケーションが生まれなければ面白くもなんともないですよね。

必死に生きる人間を描くと「笑い」が生まれる

--真田丸にはコミカルなシーンがたくさんあります。大河ドラマなのにどうして?

吉岡:僕らは「笑わせよう」と思って作っているわけではありません。普通に愛し合っていたら、愛の言葉が出てくるのと同じように、人間が必死に生きてたら「笑えるシーン」って出てくるじゃないですか。

歴史物を作るときって、だいたいは「この後、信長が死んで秀吉の時代になるんだよ」っていう逆算から、つじつま合わせのストーリーを作ります。でも、三谷さんは違う。「いま主人公の目線はどこなんだ」という点に絞って書く人なんです。

果たして、秀吉が天下を取るのか。このまま別の人間が天下を取るのか。当事者からすれば、この先どうなるかなんて本当にわかりません。実際ドラマにすると、コミカルな場面もあるかもしれないけど、本当に「戦国」に生きてたら少しドジるシーンだってあるはず。それでもきっと、本人たちは笑えないと思うんですよね。

そうした「当たり前の日常」をカットせずにドラマにすると、笑えるシーンも結果的に出てくるということです。

@nhk_sanadamaru / Via instagram.com

第15回「秀吉」の撮影風景。秀吉が家族と団らんするほのぼのシーンが描かれた。

この世の中にいる誰もが、戦国時代を生きたことはない

--例えば、長澤まさみさん演じる「きり」は、これまでの時代劇にはない押しの強さから「ウザかわいい」と話題になっています。

吉岡:個人的なことでいうと、「ウザかわいい」という言葉は発明だと思いますね。僕ね、そうやって応援してほしいんです。長澤さんだって、「ウザい」って言われるのに、ウザい芝居をやりたいわけないじゃないですか(笑)。

戦国時代に生まれて、ある人のそばにずーっと一緒にいたくて、必死になって飛び込んでいく女性が、一歩二歩引いてたら、あそこまで好きな人には近づけないわけですよ。本当は女子力だってないのかもしれない。きりも生きるために必死なんです。

これまでのガチガチの時代劇を見てきた人からするとウザいだけに映るかもしれない。でも、この世の中にいる誰もが戦国時代を生きたことはありません。他のことには目もくれず、恋に必死になっている女の子がいたり、それを必死にかわそうとする男がいたっておかしくないんです。

ネットを中心に盛り上げてくださっている方は特に、客観的にその良さを理解してくれているなと思います。だから「ウザかわいい」という言葉が出たときは嬉しかった。長澤さんにも伝えたら喜んでいて、確実に皆さんの声は役者の力になっています。ぜひ「全国きりさんウザかわいい連盟」をね、推進していただきたい(笑)。全員の必死さが真田丸の魅力ですから。

@nhk_sanadamaru / Via instagram.com

第14回「大阪」の長澤まさみさん撮影風景。主人公、真田信繁のことが大好きな幼馴染を演じる。

「あなたたちも真田丸の乗組員です」

--現在、Twitterで毎週トレンド入りするなど、ファンが続々と増えていきます。

福島:じつは暇さえあれば「真田丸」で検索をかけています(笑)。本当に嬉しいですね。

吉岡:ありがとうの気持ちすら、もう通り越してますね。僕が言いたいのは、「あなたたちも真田丸の乗組員です」ということです。

一緒に乗って、面白いところに行きましょう。一緒に乗ってるからこそ、そのうちどこかで会うかもしれませんし。本気でそう思っています。

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