「物件借りたら映画館だった」 千葉のサラリーマン、秋田で館長になる

    たまらないレトロさ!

    秋田県・大館市に、「御成座(おなりざ)」という映画館があります。1952年創業、2005年にいちど閉館し、2014年に復活しました。

    地方の単館が復活……それだけでも珍しいことですが、再建したのは秋田にゆかりのない「千葉出身のサラリーマン」だといいます。なぜ? オーナーに聞きました。

    「住む部屋探し」で見つけた映画館

    「仕事の関係で、秋田に住むことになりました。いいな、と思って見に行った物件が、元映画館だったんです。内見で気がつきました。子供のころから、映画館をプライベートシアターとして使えたらと思っていて、住む部屋もあるし、夢が叶うだろうと思い契約しました。この時は、映画館を再建するなんて考えてもいなかった」

    廃墟の映画館という少し変わった家を手にいれた切替さんは、住むために修理をはじめます。しかし、次第にその作業を見た街の人から「また御成座が開くんですか?」と声をかけられるように。

    「しまいには中に入って修復を手伝ってくれる人が出てきて(笑)。映画館をやるつもりはなかったけど、掃除をしていくと確かにもったいない気持ちになってきました。もしやるとしたら……と考えながら、防災設備や映写機の勉強をはじめました」

    オーナーになるつもりはなかった切替さんですが、過去に映画の見すぎで視力が低下し、パイロットの夢を諦めた……というエピソードがあるほどの映画好き。

    進めるうちに熱が入り、最終的には同じ会社の社員にも手伝ってもらい映画館を修復。千葉から家族も呼び、とうとう本格的に御成座を再オープンしてしまいました。

    「いまはスタッフも一緒に御成座に住み、様々なイベントを打ちながら経営しています。実は本業もまだ続けていて……。苦労はいっぱいですけど、本当にやって良かったです」