YouTube、視聴者による字幕翻訳機能を9月に終了 国内外で反発広がる
YouTube動画をユーザー有志が多言語に翻訳できる機能が9月に終了。「言語の壁を越えて楽しめなくなる」「聴覚障害がある人には必要な機能」と国内外で困惑や反発の声が広がっている。
YouTubeは7月31日、視聴者による字幕翻訳機能を9月28日に終了すると発表した。国内外で困惑や反発の声が広がっている。

YouTubeヘルプコミュニティでのお知らせ
YouTubeにアップロードした動画の字幕を、有志の視聴者が作成し、付与できるサービス。例えば、日本語でアップした動画に、英語や中国語、フランス語などの翻訳字幕をつけることができる。
海外発のコンテンツを日本語で楽しんだり、日本語のコンテンツを海外の視聴者に向けて発信することができた。
9月28日をもって視聴者に翻訳を依頼することができなくなるが、それまでにつけられた字幕は今後もそのまま視聴できる。代替として、複数人が共同で翻訳できる類似のサードパーティサービスの利用も案内している。

Vtuberキズナアイの動画の例。英語、中国語、スペイン語など15言語の字幕がつけられている
YouTubeの字幕翻訳はこれまで動画のチャンネル主や自動翻訳の他に視聴者による文字起こしや翻訳の提供を受けても表示されてきましたが、今朝YouTubeよりメールで視聴者への翻訳依頼を廃止にするという連絡が届きました。自分も悲しいですし、日本のクリエイターが海外に動画を届けるのも一段と難しく…
「YouTubeがキャプション機能をやめたら、グローバルなvTuberたちの翻訳字幕がなくなるってことだ。そうじゃないって言ってくれ」
youtube is removing captions so this means no more global vtuber translations. please say it isnt so

機能説明のページにも「まもなく終了」のアラートが
YouTubeによると、機能廃止の理由は、利用率の低さと、スパム行為の多さの2点のようだ。
視聴者への翻訳依頼はコミュニティ主導で大きなスケールを活かして質の高い翻訳をクリエイターに提供することが当初の目的でしたが、期待に反してあまり利用されず、その割にはスパムと嫌がらせ行為の報告が絶えませんでした。
結果的には、この機能はほとんど利用されておらず、たとえば過去1か月のデータを見ると、視聴者から提供された字幕を公開したチャンネルは0.001%未満で(この字幕が表示されたのは総再生時間の0.2%未満)、YouTube の他の字幕ツールが利用されているようです。
ここにある通り、字幕をつける方法は他に(1)クリエイターによる字幕アップロード、(2)YouTubeによる自動字幕起こし機能がある。
しかし、それぞれ(1)クリエイターが理解できる言語、(2)動画内で使われている言語に限られてしまうため、言語の壁を超えた視聴者にリーチしたい用途には難しい。
また、聴覚に障害がある人など、字幕を頼りに楽しんでいたという人も少なくないという指摘もある。アクセシビリティの観点でも問題視されている。
YouTubeの字幕について 聴覚障害がある私から言わせてもらうと、本当に困ります…タイ語や英語を勉強しろ…という問題ではないような…… 本当に助かっていたので、楽しめなくなる…
海外では「コミュニティ・キャプション機能をなくさないで」という署名もスタート。開始から9時間で、1万5000人以上が賛同している。
