「20代後半になってきて、ようやくポジティブな気持ちでメイクや美容と向き合えるようになってきました」
「積極的に発信する勇気なんてなくて、むしろ必死に隠していたんですよね。頑張っていること自体を」
AKB48の横山由依さん。2009年に9期生として加入し、10年以上トップアイドルとして忙しく活動しています。
2020年に開設した個人のYouTubeチャンネルでも、りゅうちぇるさんと2人でMCを務めるTwitter番組「めっちゃKawaii TV」でも、笑顔で熱くコスメへの愛を語っていますが、実はこれまでなかなか自分から話す気にはなれなかったそう。
「太っている自分が嫌だ」――華やかな世界に生きるトップアイドルが抱いてきた、強いコンプレックスと葛藤。
28歳を迎え、変わってきたという自分との向き合い方を聞きました。
「鏡も見たくない…」忙しさで激太りしたあの頃
――横山さんのコスメ愛、番組やYouTube、SNSから伝わってきます! ですが、これまではあまり積極的にお話してこなかったとか。
そうなんです。大好きなんですけど、コスメや美容って他にも詳しい人はたくさんいますし、自分が発信することにいまいち自信を持てなくて。
AKB48って、メンバーの人数が多いのもあって自分でメイクする機会が多いんです。私は高校2年生で加入したんですけど、中学生、高校生の頃って全然メイクしたことなかったんですよね。
――校則でメイク禁止の学校も多いですもんね。アイドルになってから初めてやってみた、くらい?
まさにそうで、アイドルになって周りのメンバーを見ながら、見よう見まねでゼロからメイクを学んだ感じでした。そういう意味でスタートラインも人よりも遅かったんですよね。
AKBに加入して1年くらい経った頃に、大きなチャンスをもらえた時期があって。
テレビの歌番組や雑誌の撮影など、1年前の自分では考えられないくらい多くの場に呼んでいただけてありがたい反面、ストレスとプレッシャーがすごくて、めっちゃ太ってしまったんですよ……。
1日5食、夜中にカップラーメン、なんてひどい生活続けていたら当たり前なんですけど。
鏡も見たくない、カメラに映るのも辛い、テレビに出してもらうのもうれしいはずなのに怖い。頑張らなきゃって気持ちはあるのに、太ってしまった自分を直視するのが本当に辛かった。
美容に興味を持ったのは、そんなどん底の頃でした。「どうしたら痩せられるんだろう?」「どうしたら今よりましになるんだろう?」って、メイクはもちろん、エステとか美容家電とかありとあらゆるものを試しました。
だから、最初は「かわいくなりたい!」「素敵な自分になりたい!」なんてポジティブな方向じゃなかったんです。とにかく太っている自分が嫌、コンプレックスをなくしたい……ってだけ。
自分で積極的に発信する勇気なんてなくて、むしろ必死に隠していたんですよね。頑張っていること自体を。「最近、エステやジムに一生懸命通っています」「メイクも研究しています」なんて恥ずかしくて言えなかった。
20代も後半になって、年齢的にも自分の気持ち的にも落ち着いてきて、ようやくポジティブな気持ち、楽しい気持ちでメイクや美容と向き合えるようになってきました。
「目つきが悪い」と言われ続けて…
――そんな葛藤があったんですね。「落ち着いてきた」というのはどんな変化があったんでしょう?
なんだろう、あの頃の私は自分だけで悩んでいたけど、いろいろ迷った日々があるからこそ誰かの助けになるかも、って思い始めた気がします。
例えば、私ず〜っと「目つきが悪い」って言われてきたんですよ。自分でも写真を見るたびにうんざりしていたし、今思うと多分、ネガティブな心が顔に表れていたんだと思う(笑)。
もう少し柔らかく見えるようになりたい、ってメイクを研究して、黒で濃く描いていたアイラインをブラウンにして、目尻を下げるようにしたらだいぶよくなって。
「本当に写真映り悪いな〜自分…」っていつも憂鬱だったんですけど、ある日「あれ、この1枚だけ、いつもよりかわいいかも!?」って瞬間があって。
すごくうれしかったし、自信が持てたんです。生きてさえいればいいことある! みたいな。言い過ぎかもだけど本当にそれくらいの気持ちだった(笑)。
そういうちょっとした工夫で自信につなげられるのが、メイクの魅力だと思います。
――横山さんが悩んでいた同じことで悩んでいる人が、絶対いますもんね。
そうですよね。私もAKB48の先輩たち――小嶋(陽菜)さんや指原(莉乃)さん、ゆきりん(柏木由紀)にもいろいろ教えてもらいましたしね。
後輩の小栗有以ちゃんと美容情報をよく交換しています。「エステならここ!」「小顔ならここ!」「美顔器はこれがおすすめ!」とか。SNSや雑誌もよくチェックしているし、きっと美容好きの読者の皆さんと変わらないテンションだと思います。
大人になって気づいた高級コスメの価値
――特にお気に入りのコスメはありますか?
プチプラでずっと信頼しているのはKATE。私、下まつげが全然ない目なんですけど、下まぶたにKATEの薄い茶色、濃い茶色のシャドウを重ねると、ぼんやりしていた輪郭がハッキリするんです! そのことに気づいた時は感動したな〜。
アイドルになって最初の5年くらいはKATEの同じアイシャドウをずっと使っていました。多分、化粧品の使用期限的にはよくないと思うんですけど(笑)。お金もなかったからそんなにいろいろ買えなくて。思い出ですね。
今好きなブランドはSUQQUかな。上品な雰囲気も発色も素敵ですよね〜! いっぱいほしくなっちゃう! プチプラは今も大好きなんですけど、「高級なものはやっぱりいいな」とも気づき始めました。
――わかります、大人になるとわかる気づき。
こないだクレ・ド・ポー ボーテのスキンケアを一式そろえたら「え、肌が光ってる!?」とびっくりしました。毎日じゃないですけど、ここぞという時に気合を入れるために使っています。
あと姉がおすすめしてくれたドモホルンリンクル。あのCMでやってるやつです、使い始めてみました。
正直、もう少し年配の方が使うイメージがあったんですけど、使ってみたら確かにいい! 長く愛されているものには理由があるんだなぁと思いました。これも「光る系」です(笑)。
――光る系(笑)。今の自分に合ったものを選ぶこと自体を楽しんでいるんですね。
そうですね、自分の外側も内側も変化しているんだってコスメから気づきますよね。
昔は1年中同じスキンケアで大丈夫でしたけど、そろそろそういうわけにもいかなくなってきましたね。生理前はいつもよりしっかり肌荒れ対策しようとか、目元の乾燥やほうれい線が気になるから保湿クリームを塗ろうとか、気を使うポイントも変わってきました。
でも「老いるのが怖い」って感じではなくて、その変化も含めて楽しいです、今。
素敵な年の重ね方をしている人はたくさんいますし、私も自分らしく年をとっていきたいなと思っています。
――昔の横山さんのように「自分の顔や体が嫌い」とまだまだ前向きになれない人もいると思うのですが、伝えたいことはありますか?
コンプレックスをわかっているって、美容の第一歩だと思うんですよね。どうやったら自分が好きな感じの自分になれるだろう? と考えるきっかけになるから。
私の場合は「痩せたい」が最初の動機でしたけど、だからと言って、太っている人は必ず痩せなくちゃいけないわけじゃない。太ってようが痩せていようが、自分が好きな自分でいることが一番大事だと思います。
ただ、太っていることで自分が嫌いになってしまっているんだとしたら、変える努力をする価値はあると思う。
人によっていろんなタイミングがあると思いますけど、ひとつだけ、これだけは。
他人からぶつけられる言葉は全く気にしなくていいと思います。自分を変えられるのは自分だけ!