じわじわ人気上昇中の小さな国「ジョージア」知ってる?グルメにワインに温泉…大使に魅力をたっぷり聞いてきた

    松屋の「シュクメルリ」がバズったり、民族衣装が「ジェダイの騎士っぽい!」と言われたり。ちらほらネットで話題になる小さな国「ジョージア」。食べ物もおいしくて自然もたっぷり、ワインも最高らしい…!? 知られざるジョージアの魅力、大使に聞いてきました。

    2019年末、ネットで大きな話題を呼んだ松屋の「シュクメルリ鍋」。当初は店舗限定でしたが、あまりの反響ゆえ、1月には全国の店舗で提供されたほど。

    松屋提供

    この聞き慣れない名前、ジョージアという小さな国の料理なんです。ロシアとトルコと隣り合う人口390万人のジョージア。以前は「グルジア」とも呼ばれていました。

    外務省

    松屋のシュクメルリに火を付けたのは、実はジョージア大使館のティムラズ・レジャバ臨時代理大使でした。

    今夜は大使館のメンバーで松屋でシュクメルリ御膳を頂きます🇬🇪

    このレジャバさん、2019年10月の「即位礼正殿の儀」でも「ジェダイの騎士みたい!」と話題に。Twitterの使いこなし方もうますぎるし、一体何者なんだ……!?

    気づいたら、今まで知らなかったジョージア🇬🇪の名前をチラホラ聞くようになっている今日このごろ。

    謎に包まれたこの国のこと、レジャバさんにいろいろ聞いてきました。

    大使館提供

    ティムラズ・レジャバ臨時代理大使。この民族衣装もかっこいい

    シュクメルリを求めて松屋に電話

    ――実はBuzzFeedではジョージア関連の記事を今までいくつか書いているんです。たびたび話題を提供してくれるジョージアという“謎の国”のことをもっと知りたくなりまして……。

    ありがとうございます(笑)。おっしゃる通り、まだまだ日本では知られていないですよね。だからこそ「いつかチャンスが来るだろう」と狙っていたのでその言葉はうれしいです。

    「残り物には福がある」ではないですが……きますよ、これから、ジョージアの時代が!

    Xantana / Getty Images

    首都・トリビシの街並み。建物がカラフル

    ――その波はじわじわ感じております! ジョージア旋風が起きたきっかけと言えばやはり「松屋のシュクメルリ」。レジャバさんのTwitterがきっかけでした。

    恐縮です。まさかあんなに反響があるとは想像もしませんでした。

    ――「ステマ?」なんて声もありましたが……。

    それはもう、全然違います!(笑)

    松屋さんから大使館に「ジョージア料理のメニューを提供するので国旗を使っていいか」などのお問い合わせはいただいていたのですが、宣伝協力のお願いなどは特になく……どころか、新メニューの提供が始まっていたことすら知らなくて。

    ――当初はごく一部の店舗での限定で、店舗名も公表していなかったですもんね。

    そうなんです、どこで食べられるのかわからなかったので、結構探しました。近くのお店に「あの〜、そちらにシュクメルリってメニューありますか?」なんて電話して……。

    ようやく見つけた大使館の近くのお店に連れ立って行ったのが、このツイートの時でした。

    今夜は大使館のメンバーで松屋でシュクメルリ御膳を頂きます🇬🇪

    ――私も食べてみたのですが、予想以上ににんにくのパンチがすごくて驚きました!本場もこれくらいなんですか?

    そうです、そっくりですよ! シュクメルリって、一口目が一番大事なんです。

    口に入れた瞬間、突然にんにくがガツンときて、そこからじわじわとまろやかさを味わえる、のが魅力なので。とにかく松屋さんの再現度にはびっくりしました。故郷の味です。

    具材でいうと、本場のシュクメルリにはさつまいもは入っていないのですが、これはこれでおいしいですね。あとは白いご飯にこんなに合うんだ! が大発見でした。

    召し上がった皆様のおかげですね。ありがとうございます。 https://t.co/ReqIInDuQp

    ジョージア料理、あなたの家でも作れます

    ーーところで、シュクメルリってジョージアの言葉ではどういう意味なんですか?

    「シュクメリ風」、ですね。シュクメリは村の名前で、そこの郷土料理、という意味です。

    ジョージアのシュクメリ村本場のシュクメルリ。日本の人気ぶりに反応した現地のTVの取材班から送られてきまし。食べたい😲

    この耳慣れない言葉もよかったのかもしれませんね。どんな料理なんだろう?と気になって興味を持ってくださった方が多かったように感じました。

    ――それはありそうですよね。私も「ジョージア料理ってなんだ?」と気になって調べました。

    ジョージアの料理はどれも本当においしいので、ぜひ日本の方にもっと楽しんでもらいたいですね。ヨーロッパにロシア、中東とさまざまな地域の影響がある位置なのでバラエティーに富んでいるのが特徴です。

    地方によって特色があるのもポイント。例えばこの「ハチャプリ」という閉じたピザのような食べ物は、チーズが入った「イメルリハチャプリ」、卵がのった「アチャルリハチャプリ」などいろいろ種類があるんです。博多ラーメンと札幌ラーメン、みたいな感じかな。

    ――ハチャプリは、先日YouTubeにクッキング動画をあげていましたよね。

    そうです、これです。日本で手に入る材料で作れるのでぜひ試してみてください。

    先日のアンケートで1位となったハチャプリは、ジョージアの代表的な料理です🇬🇪🇬🇪🇬🇪 お約束通り、日本でも短時間で簡単にできるレシピを公開いたします。 せっかくなので、YouTubeに挑戦させていただきました。 https://t.co/fIw2jnhnlF #ジョージア料理 #ハチャプリ #YouTube https://t.co/uXKIGeUByP

    YouTubeでこの動画を見る

    youtube.com

    ――ちなみに、日本でジョージア料理を楽しめる専門店ってあるんでしょうか?

    残念ながらほとんどないですね……松屋以外は(笑)。

    ――専門店にカウントされる松屋!

    でも本当にそれくらいの完成度でした(笑)。ジョージア料理はシュクメルリ以外も皆さんのお口に合うと思うので、これからも積極的に紹介していきたいと思います。

    Максим Крысанов / Getty Images

    日本企業で営業マン経験も

    ――レジャバさんご自身についても少し教えてください。日本には長くいらっしゃるのですか?

    私は1988年ジョージア生まれ、日本に来たのは4歳ですね。父が遺伝子診断学の研究者で、広島大学の博士課程で研究することになったのがきっかけでした。

    小学校に1年通ったくらいの頃、一度祖国に戻ったのですが、当時ジョージアは独立(1991年)してまもなくで、なかなか社会情勢が安定していなかったんです。父にとっても、専門性を生かせる仕事はなかなかありませんでした。

    短期のアメリカ生活を挟んで、もう一度日本……今度はつくば市に戻ってきたのが10歳の頃。その後、中高大と日本で進学しました。

    ――日本で暮らした期間の方が長いのですね。

    そうなんです。自分の国にほとんど住んだことがない、ほとんど知らないことが、若い頃はコンプレックスでもあり……。

    なので、高校生活のうち1年間はジョージアで過ごしたんです。文化や歴史、自然に触れ、ジョージアのよさを改めて知ることができた、アイデンティティーを持てたのは自分の中でとても大事な経験だったなと思います。

    ――大学卒業後はどんな経緯で大使に?

    新卒でキッコーマンに就職し、3年間働きました。2015年に「だいぶ経済もよくなってチャンスも増えているだろう」とジョージアに戻り、貿易業やスタートアップに関わりました。その時、立ち上げたファッションブランドは今も続いています。

    Haruna Yamazaki / BuzzFeed

    レジャバさんが立ち上げたファッションブランドのTシャツ。ジョージア文字がデザインされていてかわいい!

    その後、縁あって外務省に入省することになり、2019年7月に臨時代理大使として就任しました。このような重大なポジションを国家に任されたことは本当にありがたく思っております。

    「日本とジョージアをつなぎたい」という思いは強くあったので、よりオフィシャルに関われるようになってうれしかったですね。

    ――レジャバさんのようにビジネスマン経験を経て大使に、という経歴は異色なんでしょうか?

    いえいえ、そんなことないですよ。周囲の“大使仲間”を見てもそれなりにいます。

    日本は特に文化や言語が独特なので、在住経験があったり仕事で関わっていたり、民間で何らかの経験がある人が多いのではと思います。

    ちなみに、上原忠春 在ジョージア日本大使も民間出身で、そのご経験ゆえに生まれたプロジェクトも多々あります。

    積極的に“Twitter外交”

    ――Twitterを拝見して「この使いこなし方、日本のネットカルチャーの理解度は一体何者なんだ……」と思っていたので今日でちょっとわかりました。

    あはは、Twitterはまだまだ初心者です(笑)。10月の「即位礼正殿の儀」をきっかけに本格的に始めました。

    ――あの日の「ジェダイの騎士」な民族衣装、素敵でした。

    当日は大統領のアテンドで忙しく知らなかったのですが、あとからTwitterで調べたら話題になっていて驚きました。

    ――大統領も日本のTwitterユーザーにリプライしていましたね。

    「数ある国の中で目立っていたようですよ」とお伝えしたら喜んでいました。大統領もジョージアの伝統的な衣装を着ていたのですが、それもとっても素敵でしたよ。

    戦争を乗り越えて…若者カルチャーがアツい

    ――ジョージアは今、ファッションやアート、クラブカルチャーも盛んで「第2のベルリン」とも言われているとか。

    クリエイティブな若者が目立ちますね。国外のファッション業界、音楽業界で活躍している人も多いです。歴史的にも、シルクロードの交点で貿易も盛ん、自然にも恵まれていて、アーティスティックな土壌があるんですよね。

    ソ連から独立後、チャレンジは多いですが、近頃は若者の生き生きとした才能が認められるようになり、ジョージア本来の姿を取り戻しつつあると思います。

    ――最も近い戦争は2008年、ほんの10年前だったと知りました。つい最近ですね。

    90年代は経済活動どころか、水や電気、ガスなどライフラインすらきちんと整っていなかったですからね……。

    今も政治的には安定しているとは言い難いですが、生活面はまったく心配ありません。観光にも国として力を入れていますし、安全面においては世界でトップレベルです。

    ヨーロッパやアメリカと行き来する若者たちも増えていますし、彼らが中心になってこれから文化を作っていこう、新しいジョージアを作っていこう、というフェーズなので、エネルギーに満ちていて刺激的ですよ。

    ジョージアの魅力教えて!

    ――ジョージアに行ってみたい、気になる、という日本の皆さんに、ぜひ魅力を教えてください!

    まずはやっぱりジョージア・ワイン! ジョージアは、ワイン発祥の地とも言われていて、長い歴史があります。今も伝統的な製法が受け継がれていて、とてもおいしい。

    Katiekk2 / Getty Images

    ワイン造りに使う土器の樽「クヴェヴリ」

    ジョージアから誕生祝いをいただきました。 ジョージアの「クヴェブリ」製法で作ったジョージアワインをジョージアの伝統工芸技術「ミナンカリ」で作った瓶に入れ、私がジョージアの民族衣装「チョハ」を着ています。

    お酒が好きな方はぜひ遊びにきてほしいです。たくさんあるワイナリーを巡っていくのも最高ですよ!

    ジョージアの空港では、入国審査の時に小さなワインボトルがもらえます。かわいいでしょ?

    ジョージアの三大空港トビリシ、クタイシ、バトゥミでは、観光客に歓迎のワインが入国審査で渡されます。 ちなみに僕も妻に旅行帰りの空港でプロポーズしました。いつも幸せな気持ちでジョージアに帰りましょうという思いを込めました。

    ――到着した瞬間テンション上がりそうです。

    いいですよね、私も毎回ちょっとうれしいです。あとは日本人の皆さんにおすすめできるのは……首都・トビリシに温泉があります。

    Serhii Sobolevskyi / Getty Images

    イスラム建築の銭湯

    ――へえ〜温泉! それは魅力的…!

    トビリシは昔から温泉が湧くことで有名な地で、資源的に豊かだということで首都になったんです。 日本でいう銭湯のような大衆浴場から、高級感あるスパまで、いろいろ楽しめますよ。

    少し街から離れれば、絶景の大自然の中でアウトドアも楽しめるし、ヨーロッパで一番標高が高い村・ウシュグリもあるし、見どころはたくさん。

    小さな国なので、トビリシを拠点にしたら、どこも巡りやすいのもおすすめできるポイントですね。旅行が好きな人は絶対楽しめる、「また来たい!」と思ってもらえるはずです。

    ジョージア大使館提供

    トビリシのナリカラ砦

    ――言葉がわからなくても大丈夫ですか? 行くのは結構大変?

    大丈夫です、そうそう読める人はいないはず(笑)。フライトは直行便が残念ながらないのですが、東京からですと乗り換えを含めて15時間くらいでしょうか。

    ちなみにこの特徴的な文字、2016年にユネスコの無形文化遺産に登録されたんですよ。

    ――そうなんですね! 見た目がかわいいです。

    この文字をデザインした衣類や雑貨もおみやげにおすすめです。

    若い人は特に英語が喋れますし、観光に大きな支障はないと思います。何よりジョージアにはお客さんをもてなす文化があるので、ぜひ積極的に現地の人と交流してほしいです。

    あ、ワインを飲みすぎないようにだけ気をつけて! おいしすぎるので、そこはご注意ください!

    【Maybe!vol.8発売】11/28発売のMaybe!最新刊はファッションウィークが開催され、世界から注目される国ジョージア(旧グルジア)を大特集!まだ日本語のガイド本がないこの国を玉城ティナさんとご案内します🌍

    いち早く「ジョージア」を特集した雑誌も登場。旅行先としての注目の高さがうかがえます

    ――どんどん行きたくなってきた……。今、日本語で書かれたジョージアのガイドブックってほとんどないんですよね。まだ「知られざる国」ですが、ごはんもおいしくてインスタ映えもするとか絶対人気が出そうです。

    今年はいろいろ動きがありそうなので……ご期待ください! 2020年をジョージアの年にできるよう頑張っていきますので、これからもご注目くださるとうれしいです。

    Haruna Yamazaki / BuzzFeed