愛媛県宇和島市が、台風15号や19号の被害にあった被災自治体職員向けに、復興支援に関する相談先を取りまとめて公開している。
2018年に西日本豪雨で大きな被害を受けた「当事者」として、可能な限り現場のノウハウを伝えたいという。

「どうぞご遠慮なくご相談ください」
2018年7月、西日本豪雨で大きな被害を出した宇和島市。13人が亡くなり、多くの人が住居や農地を失った。

被災、そしてその後の復興を経験した自治体として、台風被害を受けた自治体の相談に乗りたい――9月24日、岡原市長名義で各分野の連絡先一覧を公開した。
まだまだ復旧・復興の途中ではありますが、被災された自治体の皆様方に、できる限りの情報提供をすることが、被災経験した当市が今できることのひとつと考え、各種支援制度等の担当課一覧表を取りまとめましたので、どうぞご遠慮なくご相談ください。
どうか被災された自治体の皆さまがこの難局を一丸となって乗り越えられますとともに、一日も早い復旧により被災された方々が安寧な生活がおくれますことをご祈念申し上げます。令和元年9月 宇和島市長 岡原 文彰
公開されたPDFでは、問い合わせの内容ごとに担当課と連絡先が記載されている。
「罹災証明の申請受付・交付」「災害ボランティアに関する相談」「農業経営相談所の開設」など、被害調査から住宅支援、産業復興など、全84項目に渡る。

朝倉市から宇和島市へ…つながる支援の輪
同市災害復興本部によると、今回情報公開した直接のきっかけは、台風15号の被害を受けた千葉の自治体から、罹災証明に関する問い合わせが数回あったことだという。
宇和島市も昨年の被災時に、2017年に九州北部豪雨災害に見舞われた福岡県朝倉市による情報提供に助けられた経験があり、今回とりまとめて公開に至ったそうだ。
「前回私たちが大変参考にさせていただいた分、少しでもお役に立てることがあればと思い、同じように公開いたしました」
当然ながら、災害時の地方自治体の業務は通常時とまったく異なる。大災害はそう何度も経験することではないため、職員たちも必要な手続きを調べながら、探り探り進めなくてはならない。
「業務自体の経験のなさはもちろん、さまざまな面からなされる災害支援がどうつながっていくか、全体像が見えにくいことが一番の難しさ」
「1年間復興を進める中で見えてきたこと、あの時こうしておけばよかったという反省もあるので、今現場で奮闘しているみなさんに惜しまず伝えていければ」
宇和島市の復興も道半ばだ。「着実に進んでいるとはいえ、まだまだ。特にハード面は年単位の計画です。住民の皆様に不安がないよう、ソフト面にも力を入れ、今後も取り組んでいければと思います」