「カメラの外でも楽しそうでした」菅田将暉&土屋太鳳「となりの怪物くん」撮影秘話

    「こちらの想像を超えてくれる時が一番楽しいですから。予定通りに進んでも面白くないですよね」

    映画「となりの怪物くん」が4月27日に公開された。累計610万部を超える人気コミックを原作に、菅田将暉と土屋太鳳が主演を務める。

    監督は、昨年「君の膵臓をたべたい」が大ヒットを記録した月川翔。

    「いい意味で『どうした菅田将暉!?』と思っていただければ」「太鳳ちゃんはとても真面目なアプローチ」――新進気鋭の監督に、撮影秘話を聞いた。

    “史上最高にかわいい”菅田将暉

    ――監督にオファーがあったのはいつ頃ですか。

    2016年の秋、「君の膵臓をたべたい」のクランクアップの日でした。その時点で菅田くんと土屋さんのキャスティングは決まっていました。

    お話をいただいてから原作を読み始めたのですが、キャラクターがそれぞれ魅力的で、名シーンがすごく多いんですよね。

    「ここいいな」「ここもいいな」と付箋を貼っていったらコミックスが付箋だらけになってしまいました(笑)。

    原作人気も高いですし、ファンの方もそれぞれ思い入れのあるシーンがあるだろう中で、どのエピソードを使うか、どうやって1本のストーリーにしていくかを一番悩みました。

    最終的には回想という形式をとることで点と点をつなぐような構成をとっています。

    ――菅田将暉さん、土屋太鳳さんはじめ、今ドラマや映画に引っ張りだこの俳優陣がそろっていますが、それぞれへの印象を教えてください。

    菅田くんは「吉田春」そのまま!

    脚本の行間、漫画のコマとコマのあいだまで汲み取った、「確かに春だったらこうするな」と思わせる説得力がある役作りをしてくれました。

    映画では描ききれなかった原作の印象的なエピソードもいくつもあるのですが、スクリーンに映っていない時間の変化まで感じられる、魅力的な「吉田春」になっていると思います。

    ――土屋さんいわく「菅田くん史上最高にかわいい」とのことでしたが、確かにかわいらしかったです。

    愛嬌があってかわいいですよねぇ。ニワトリの「名古屋」と戯れるシーンとか、子どもみたいな笑顔でした。

    菅田くんのこれまでの代表作とはまた違った一面が引き出せたんじゃないかなと思います。いい意味で「どうした菅田将暉!?」と思っていただければいいな。

    ――土屋さんは少女漫画原作にこれまでも出演していますが、また印象が違うキャラクターでしたね。

    そうですね。少女漫画のヒロインではありますが、勉強第一で淡白で友達がいない、という。

    太鳳ちゃんは、とても真面目なアプローチで、考えて考えて考え抜いてお芝居している印象を受けました。

    感情を表に出さないよう抑える、我慢のお芝居が多くて難しかったと思います。心を閉ざしつつもその奥に深い愛情が見える演技で、太鳳ちゃんに雫を演じてもらえてよかったと思いました。

    カメラの外でも楽しい現場

    ――2人を取り巻く家族や友人についても聞いていきたいと思います。春が距離をとっている兄、優山には古川雄輝さん。

    どこか物悲しいというか、特別な家に生まれた王子様っぽさがありますよね。

    佇まいからして特別な人であってほしかったので、ハマり役でした。スタイルがものすごくよくて、街中にいるだけでめちゃくちゃ目立っていたのが印象的です(笑)。

    ――山田裕貴さん、池田エライザさん、佐野岳さん。友人たちも素敵でした。

    山田裕貴はね〜、普段からこういう憎めない愛されキャラなんですよね。

    真面目なこと言ってもなんか笑っちゃう、カッコつけていてもどこか面白い。周りの人がみんな好きになっちゃうオーラがある。

    菅田くんとの相性もよくて、「当て馬界のレジェンド」であるこのキャラクターが本当にぴったりでした。

    僕、実は彼の初主演ドラマ(2012「ボクらが恋愛できない理由」)も撮っているんですよ。その頃から現場のスタッフに「応援したいな」と思わせる存在でした。

    池田さんは、ふわっとした役なんですけど、本人はすごく意志が強くて。

    自分の魅せ方をよく知っていて「私、左側からの方がきれいに見えるんです」なんてこだわりがあったので、キメのシーンは意識的にその角度で撮りました。

    佐野くんの役も「ぽい」ですよねぇ。一見明るく爽やかなのに、春を羨ましく見ている面もある。

    撮影の合間に雑談している中で「バラエティ番組にスポーツ枠で出るのが実はすごく悔しい」なんて話がポロッと出てきて、俳優として根っこに熱いものがあるんだな、そういう悔しさがあるからああいう演技ができるんだな、とぐっときました。

    そんな彼がこの前「陸王」の出演俳優としてオールスター感謝祭で走っていて、ちょっと感動しちゃいましたね。テレビ見ながら「佐野岳よかったなぁ!」ってつぶやいていました(笑)。

    ――浜辺美波さんは「君の膵臓をたべたい」「となりの怪物くん」「センセイ君主」(2018年夏公開)と連続で月川監督作品に出演中です。

    3作連続ですね。2年近くにわたって見守っていて、彼女の成長ぶりを見るのがすごく楽しいです。どんどん素敵な女優さんになっていますね。

    次の「センセイ君主」でも、かなりはじけた役になっているのでファンの皆さんは楽しみにしてほしい!

    ――みなさん同世代ですが、撮影現場はどんな雰囲気でしたか?

    カメラが回っていないところでも本当に楽しそうでしたよ。控室で喋ったり遊んだり……。菅田くんがギターを弾いて太鳳ちゃんが踊っている、なんて時もありました。

    ――それは絶対メイキングに収録してほしいやつですね……!

    プロデューサーに伝えておきます(笑)。

    今日は3月9日 #サンキューの日 🙏✨ いつも『 #となりの怪物くん』を応援してくださっているみなさん、ありがとうございます3⃣9⃣😂 感謝をこめて、本編撮影中のオフショットをどうぞ💝 #とな怪 #松楊祭 #恐怖のゾンビハウス

    役者の力をどう引き出すか

    ――監督のTwitterを拝見していると、キャストとの距離の近さを感じますが、自分より若い俳優たちと接する上で気をつけていることはありますか。

    「監督が正解を持っているわけではないですよ」という姿勢でいることでしょうか。

    監督によって演出の手法はまったく違うと思いますが、僕は事前に役者とよく相談するタイプ。「どうすればいいですか?」に「こうしてください」と答えるだけのコミュニケーションにはならないようにしています。

    もちろん必要な箇所は、角度や視線をきっちり決めてロジカルに撮っていきますが、まずは本人たちのやりたい方向性を教えてもらうのが基本。彼らから出てくるものをその場ですくいあげていくようなイメージです。

    だって、こちらの想像を超えてくれる時が一番楽しいですから。

    予定通りに進んでも面白くないですよね。俳優から何が出てくるのか、わくわくしながら待っている感じです。

    「なるほど! 春ってそう動くのか!」なんて予想していなかったものが出てくるとすごくうれしいです。

    ――月川監督の思う、恋愛映画の魅力はどこですか。

    やっぱり、「みなさん、恋はするでしょ」と。何かしら自分に引きつけられる、自分事にしてもらえるのが一番の魅力ではないでしょうか。

    映画の世界観は意識的に少しファンタジックにしていますが、この作品の「他人と関わることで、人はどう変わっていくのか」というテーマは現実にもつながるリアルなもの。

    クラス替えや進学、就職などで環境が変わったり、新たな出会いが増えたりするこの季節にぴったりの映画になったと思います。

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