一流のクラシック奏者たちが、ヴァイオリンやチェロ、ピアノでDaft Punk(ダフト・パンク)やColdplay(コールド・プレイ)をアツく激しく奏でる――。
今ヨーロッパで大注目のベルリン発のユニット「Symphoniacs」(シンフォニアクス)。普段クラシックには縁のない若者たちを、ライブハウスやフェスでガンガンに沸かせています。

彼らの音楽のコンセプトは〈ネオ・クラシック〉。
古くからある伝統のクラシックとエレクトロ&ダンス・ミュージックの融合を掲げ、大胆にアレンジしています。
とにかくまずは動画を見てほしいのですが、サウンドもパフォーマンスもめちゃくちゃかっこいい!!LEDや映像を使ったデジタル演出もたっぷりです。
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Daft Punk「Aerodynamic」
メンバーは皆、幼少期から音楽を学んできた超エリートたちで演奏力はお墨付き。
世界最高峰の音楽学校で学び、現役ソリストとしてクラシックの世界でも活躍する音楽家集団です。ガチじゃん……!
Symphoniacsの魅力は、これまで知らなかったクラシックの迫力、そして今っぽいダンス・ミュージックの楽しさの両方をめいっぱい感じられること。
来日公演を間近に控えたメンバーに、いろいろお話聞いてきました🎻🎹

「若い人は踊るの好きでしょ?」
まずは、このプロジェクトの仕掛け人。プロデューサーで作曲家であり、ユニットではコンダクターとDJを務めるアンディさん。

「こういうことをやろう!」とメンバーに声をかけていったのは彼だそう。自身も5歳でピアノをはじめ、ウィーン国立音楽大学を卒業しています。
クラシックの楽器でエレクトロ・ミュージックをやろうと思ったきっかけは?
「僕らにとってはごく自然な発想でした。だって、若い人は踊るの好きでしょ?」
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初めて合わせたのはマーティン・ギャリックス「Animals」
「僕らは小さな頃からクラシックのトレーニングを受けてきたわけだけど、もちろんそればかり聞いてきたわけじゃなくて、Daft PunkもAviciiも大好き! 大昔の素晴らしい音楽と今の最高の音楽のいいところを融合させたら絶対に面白い!と思ったんです」
チェロのコリンさんは、米国ペンシルバニア州生まれ、ニューヨーク在住。7歳でチェロをはじめて、ボルチモア芸術学校へ進学。学生時代からその才能を期待され、世界的チェリストのヨーヨー・マと共演したんだって。

「チェロの好きなところ、なんだろうな……。僕の低い声と似ている(笑)。あと飛行機に乗る時、チェロ用に隣に一席必要だから、誰かと隣り合わずにいられるのもいい(笑)」
「しかしあらためて見ると、チェロって不思議な楽器ですよね。大きくて存在感があって、ずっと一緒にいるけど、ときどき『なんだこれ?』って思うこともあります。大昔にこんな楽器を作った人がいたんだなと思うと、それが今僕の手にあると思うと……すごいよね。チェロはどこが好きとかじゃなくて、僕の人生の哲学なんだと思う」
ハンガリー・ブダペストの音楽一家に生まれたトムさん。2歳でヴァイオリニストになることを決意(!?)したそう。

リスト・フェレンツ音楽大学を主席で卒業したその実力は、ロサンゼルス・フィルハーモニーのコンサートマスターの折り紙付き。
「みんなそうだろうけど、ずっと側にあったから、あらためて聞かれるとわからないな! ピアノもチェロもヴィオラもやったけれど、ヴァイオリンが一番しっくりきたんだよね。最後はフィーリングかな」
唯一のピアニスト・オスカーさんは、スウェーデン出身、デンマーク・コペンハーゲン在住。王立デンマーク音楽アカデミーで学び、ソリストとして活躍中。クラシックだけでなく、ジャズや現代音楽にも精通し、作曲も手掛けています。

「ピアノの一番のよさは、持ち歩かなくていいところ!(笑)……っていうのは冗談で、ピアノという楽器自体がすごく面白い存在だと僕は思っています」
「ストリングスでもありパーカッションでもあり、音楽の理論そのものがピアノに詰まっている。2本の手で弾くから自分一人でメロディも伴奏もできるのもいい。あとは楽曲のレパートリーが豊富なこと! どの楽器よりもたくさん曲があるのがいいよね」
ドイツ人の化学者の父と、韓国人ピアニストの母を持ち、ボストン生まれのドイツ育ち……という超ミックスカルチャーなヴァイオリニスト・クリスチャンさん。

初めてオーケストラと共演したのは12歳、イェール大学の修士号を持っているというドラマのキャラクターのような経歴の持ち主です。す、すごい……。今はソウル在住で、世界中でソリストとして活躍しています。
「ヴァイオリンどこが好きか……聞かれると一番困る質問ですね! 自分の子どものどこが好き?って聞かれるのと一緒だと思う」
「ずっと一緒にやってきた分身だし、ヴァイオリンがない自分なんて考えられないな……人生そのものです。小さい頃から必死で練習してきたし、楽しい思い出ばかりではもちろんないけど、それでも一番感謝している。大事な相棒です」
音楽一家に生まれ、5歳でレッスンを始めたヨハネスさん。ウィーン国立音楽大学を優秀な成績で卒業後、ソリストに。

オーストリア音楽大使を務め、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団などのオーケストラで定期的に客員するなど、正真正銘クラシック界の第一線で活躍するヴァイオリニストです。
「コリンも話していたけど、僕も自分の声と一番近いっていうのはあるな。僕が選んだ――ヴァイオリンが僕を選んだのかもしれないけど――楽器だし、自分が言いたいことを一番上手く伝えられる気がする」

彼らが演奏する曲は、クラシックからポップスまで多種多様。
Symphoniacsとして演奏する時と、クラシックのコンサートで演奏する時とでは感覚が違いますか?
「イエスだし、ノー。お客さんと積極的にコミュニケーションを取りながら、という意味では意識は違うけど、パフォーマンスはソリストとして弾くときと同じ気持ち。常に最高レベルの演奏をやろうと思っているよ」(チェロ・コリン)
「本物のクラシックの音を、って思いは強いよね。クロスオーバーをするユニットは他にもあって、楽器自体を変える人も多いけど、僕らは同じ。なかには家一軒分くらいの高価な楽器の人もいる」(ヴァイオリン・ヨハネス)
Coldplayからバッハまで
そろそろ実際の曲、もっと聞いてみましょうか。代表曲それぞれの、見どころ、聞きどころをDJ・アンディさんにコメントしてもらいました。
A Sky Full Of Stars(Coldplay)
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YouTubeは270万再生突破
DJ・Aviciiがロックバンド・Coldplayをプロデュースした曲をさらにクラシックを持ち込むチャレンジ。
メロディアスでエモーショナルなメロディを弦楽器で奏でると……すごくいいよね! すでに美しい原曲のよさをどう引き出すかにこだわりました。
歌詞のある曲をあえてインストゥルメンタルでやると、言葉がないからこそ解釈が広がる気がして、そこも面白いなと思う。
ヴィヴァルディ:夏(四季より)
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この曲、もともとのビートがすごくダンス・ミュージックっぽいんだよね!
エレクトロのビートを加えているけれど、曲の大部分は大きく変えていないんです。ヴァイオリンの掛け合いや、チェロのソロなど、楽器としての魅力も味わえるのが見どころかな。
バッハ:無伴奏チェロ組曲「第1番」
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これはあまり原曲をアレンジしていないですね。原曲のよさを活かしながら、色合いを足した感じ。
MVは、グラフィティが描かれた現代のベルリンの街並みとクラシック音楽の出会い――というコンセプトです。
クラシックのソフトでエモーショナルな部分、ラウドで一気に盛り上がる部分、そのコントラストを出したかった。最後は原曲オリジナルのまま、チェロ2台のアンプラグドの演奏で終わっています。
Levels(Avicii)
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打ち込みの音を、ヴァイオリンやチェロのピチカート(弦をはじく奏法)で表現しています。ガンガンにビートを入れて盛り上げるところと、楽器の音だけを静かに響かせる部分の緩急をつけているのが聞きどころ。
MV撮影の思い出としては、この日のベルリンがめちゃくちゃ寒くて。「もっと熱く!燃えて!」と監督に言われるんだけど、「無理!寒いよ!凍えてるよ!」と文句言っていました(笑)。指をこわばらせながら頑張って演奏しているのでぜひそこを見てください(笑)。
「立ち上がって踊ってもらいたい!」
初の日本公演は11月15日、東京国際フォーラムにて。11月13日にはファースト・アルバム「Symphoniacs」も発売します。

「クラブのフロアのように熱く盛り上がるところもあれば、クラシックの楽曲ををしっとり聞かせるパートもあって、2つの音楽が楽しめる緩急のついたステージになると思います」
「LEDの光の演出が加わるとクラシックも新鮮に見える、印象が変わるはず。クラシックをあまり知らない人にこそ、ぜひ来てほしいです」
「世界初の新曲披露も予定していますし、日本のお客さんにも立ち上がって踊ってもらいたい!」
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