行儀が悪い?でも、ねこまんまっておいしいよね!「スープかけごはん」を全肯定するレシピ本が生まれたワケ

    「この気楽な食べ方を覚えると、今日はちょっとごはんづくりがしんどいなあ…というようなときにもすごく役立つはずです」

    『なんにも考えたくない日はスープかけごはんで、いいんじゃない?』

    その言葉だけで優しさにあふれていて最高……な温かいレシピ本が発売されました。

    ライツ社 / Via amazon.co.jp

    紹介されているのは表題通り、すべてひと皿で完結する、お鍋ひとつでつくったスープをごはんにかけるだけのレシピ。

    野菜もたくさん食べられるし、体もあたたまるし、洗い物も簡単。うどんやパスタに変えてもOK! という懐の深さです。

    世界では美味しい食べ方として超定番で、伝統的な料理も多い「スープかけごはん」。

    ……でも正直、日本では「ちょっと品はよくないけどおいしいよね」と見なされている日陰な存在でもありますよね。お味噌汁をごはんにかける「ねこまんま」に代表されるような。

    レシピ本になったのはどういう理由なんでしょうか?

    著者は、8年間にわたって毎朝スープ作りを続けるスープ作家・有賀薫さん。この本に込めた思いを聞きました😊

    著者提供

    罪悪感がある? なら、いっそ全肯定したい!

    ――「ねこまんまは行儀が悪い!」とたしなめられた経験がある人も少なくないと思います。あえて「スープかけごはん」をテーマに本を作ろうと思った理由を教えてください。

    この本は、まさに担当編集者の息子さんが、保育園で「味噌汁をごはんにかけて食べるのはお行儀悪いからやめようね」と言われた……というエピソードからスタートしました。

    汁かけごはんは、そもそもレストランで出されるようなものではないですし、家でやる、気楽な食べ方であることは確かです。

    『なんにも考えたくない日はスープかけごはんで、いいんじゃない?』(ライツ社)

    トマたま塩スープ。オムライスでも天津飯でもない組み合わせ

    とはいえ、行儀が悪いからダメ、というのはやや時代遅れじゃないかな…?と疑問を持ちました。

    私たちはよく、パスタにレトルトのソースをかけたり、冷凍うどんにちょっと具を入れためんつゆをかけて食べたりしますよね。

    それと同じで、肉や野菜の入ったスープや汁多めのおかずををごはんにザブっとかけて食べるのも、アリなんじゃないかと思うのです。

    この気楽な食べ方を覚えると、今日はちょっとごはんづくりがしんどいなあ…というようなときにもすごく役立つはずです。家ごはんの選択肢がひとつ増えるのです。

    もしそれが、罪悪感というストッパーによってあまり広まらないようなのであれば、そこを全面的に肯定する本を作りたい、そう考えました。

    熱々のクリームシチューをごはんにかけて。鶏、かぶ、たまねぎ、にんじん、しめじと、色とりどりのクリームシチューです。いつも2種類ぐらいでシンプルに作っちゃうことも多いですが、具沢山だとやはり華やぎますね。夜ごはん分までたっぷり作ってあるので今日はもう大舟に乗った気分。#スープ365

    有賀さん自身、以前「シチューごはん」を楽しむ投稿をしたら「おいしいですよね〜」「抵抗がある」など賛否両論の大論争に。

    『なんにも考えたくない日はスープかけごはんで、いいんじゃない?』(ライツ社)

    本の最初のページには「作る人」へのやさしい言葉が💘

    作るのは簡単、食べ方は無限

    ――有賀さんの考える、スープがけごはんの魅力はなんですか?

    これはスープという料理の特長でもあるのですが、スープかけごはんは、食べる人、作る人、双方にやさしい料理です。

    作る側からすると、鍋ひとつ、お皿一枚で済み、作るときも比較的ラフでいいですし、後片付けも非常に楽。残り野菜があったらついでに放りこめて、時間差の食事にも対応しやすい。キッチンの流れがスムーズなんです。

    特にいま、リモートワークで昼休みの1時間に作って・食べて・片付ける、みたいな状況の方も多いと思いますが、そういうときにも重宝すると思います。

    あたたかいスープの染みたごはんを口に入れるとき、具とスープとごはんが口の中でほろほろと合わさるとき。ちょっぴりストレスフルな世の中で、スープかけごはんにはほっと包み込んでくれるやさしさがあります。「もっとがんばれ」ではなく「今日もがんばったね」というレシピを作りました。

    作る人視点の話を最初にしてしまいましたが、もちろんおいしさの点も見逃せません。

    まず、スープかけごはんは非常に楽しみ方の多い食べ方です。

    似ているものに「雑炊」「おじや」「リゾット」などがありますが、たとえばカレーにごはんをかけたものと、カレーにごはんを入れて煮込んだものを比べたら、その違いがわかってもらえるでしょうか。

    スープかけごはんは、ごはんやスープの量、それにかけかたの調整で、味が変わります。カレーみたいにがっつりと盛り付けたごはんにたっぷりスープをかけるのもあり。

    これは本の中でも絶対やってほしいやつ!謎かけされている気分になるスープですよね。レシピにひみつがあるんです。 https://t.co/m9LfxKxymy

    キャベツと豚肉、紅生姜のスープかけごはん。「お好み焼きみたいな味」、どんな感じなんだろう!?

    私がおすすめなのは、鍋をテーブルに置いて、ごはんにちょっとずつかけるというような食べ方、あるいはスープのお皿にごはんを入れていくというような食べ方です。

    こうすることで、白いご飯にスープがしみていく変化を楽しめますし、食べ飽きることもありません。

    卓上に醤油や酢、ラー油など調味料を置いておいて味を足したり、カレーの福神漬けのように、ちょっとした漬物やトッピングを混ぜていくと、どんどん味が複雑になっていくのです。親子での食べ分けもひと鍋でいけます。

    簡単なのに、掛け算方式でおいしさがふえていくのです。

    『なんにも考えたくない日はスープかけごはんで、いいんじゃない?』(ライツ社)

    ベトナムで進化したビーフシチュー「ボー・コー」。スープごはんで世界旅行も楽しめる!

    忙しい中でも手作りを

    ――どんな人にこの本を手にとってほしいですか?

    忙しい中でもちゃんとしたものを食べたい、自分で料理をしたい、という方たちです。

    今は外食や中食が発達していて忙しいときの助けになりますし、否定は全くしません。実際、この本には買ってきたお惣菜を利用するレシピも入っています。

    それでも、家庭料理の食事の基本はやはり手作りがベースだと思います。

    そこに共感いただけて、でもやっぱりうまくいかないな…と悩んでいる方にぜひ読んでほしいです。

    また、今回は簡単スープだけでなく、バラエティに富んだレシピをお出ししています。ちょっとご馳走ふうなものや世界の料理など、料理そのものを楽しみたい料理好きな人にも、幅広く満足してもらえると思います!

    後編では本書の中から、シチュエーション別おすすめレシピ5選を紹介してもらいました✨