【再追記】「日本公演の予定はありません」天才バレエダンサーのチケット発売済み公演に関係者が注意喚起

「嘘の情報に惑わされず、チケットを購入しないようにしてください」※31日午前11時、追記しました。※9月1日正午、再追記しました。

「セルゲイ・ポルーニンの日本公演の予定はありません」「ロンドンのエージェントは契約した覚えがないと言っています」

チケット販売が始まっていたある海外ダンサーの公演について、関係者が「詐欺の疑いがある」と、記事やツイートで注意喚起を呼びかけている。

重要なお知らせ:セルゲイ・ポルーニンの日本公演情報が流れていますが、ロンドンのエージェントから「嘘の情報に惑わされず、チケットを購入しないようにしてください」と言うメールが届きました、また日本の興行元とも今電話で話しHPから情報を… https://t.co/GqK21mL1Hn

問題になっているのは、ドキュメンタリー映画「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」で注目されているウクライナ人ダンサーの“日本公演”。

興行元のFlagship Japanは8月28日、2018年4月の東京公演を皮切りに、札幌、名古屋、大阪、兵庫、広島、岡山、福岡の計8都市で開催予定と発表していた。

内容が「ショータイム」「トーク」「握手会」と、これまでポルーニンが海外でおこなってきた公演と比べても異質な内容であることから、ファンのあいだでは「日本ではこんなタレントのような売り出し方するの?」と戸惑う声も上がっていた。

本当に来日するのか?

映画の配給元であり、ポルーニンのエージェントとも自ら連絡を取るアップリンクの浅井隆代表も、この情報に驚き、違和感を感じたという。

今年4月にポルーニンが来日した際、今後の日本公演についても相談しており、「海外のプログラムをそのままではなく、現地のスタッフやキャストとコラボレーションするステージを作りたい」と話していた。

「僕が聞いていた話とずいぶん違う、少なくとも本人の意思を尊重したものでないように感じました」(浅井さん)

BuzzFeed Newsは30日朝、会場であるオペラシティコンサートホールに開催の有無を確認。

「数日前にFlagship Japanから会場の仮押さえの打診はあったが、正式な手続きは完了していない」「この段階で開催を発表し、チケット販売が始まって困惑している」との回答を得た。

Flagship Japanは過去にオペラシティでコンサートを開催した実績がある。

浅井さんも同じ回答を得ており「会場を押さえていない、つまり開催が決定していない状態でチケット代の振込も求めるのは“詐欺”と言っていいと思う」と注意を呼びかける。

エージェントも「契約は何ひとつしていない」

浅井さんは並行して、英国のポルーニンのエージェントにも連絡。

「Flagship Japanからメールが届いていたことは確認したが、具体的な契約は何ひとつしていない」「嘘の情報に惑わされず、チケットを購入しないように日本のファンに呼びかけてほしい」と回答があったそうだ。

フラグシップ・ジャパンが発表した来年4月のポルーニンの公演はありません。その会社とポルーニンとは何も契約していません。 https://t.co/imavKz1qXW

Flagship Japan側は、アップリンクの問い合わせに関し「エージェントから4〜5月であれば空いているという話を受けてホールを押さえた。アシスタントの間違いでチケット販売を始めてしまった」と説明したという。

電話口で「このまま公演情報を掲載したまま、振込を募り続ければ詐欺になる。即刻掲載を取りやめ、返金手続きを促すべき」と対応を促したものの、30日午後1時時点でまだWebサイトには掲載が続いている。

浅井さんはその後、何度か折り返し電話をかけているが、連絡がつかない状態がつづいているという。

追記:チケット代金の振込先口座が凍結されたようだ。被害にあった人は金融機関に連絡をとるよう呼びかけている。

架空ポルーニン公演の銀行振り込みをされた方へ。今警察からの要請で三井住友茅ヶ崎支店のフラッグシップ・ジャパンの口座が凍結されました。資金は引き出されていないようです。被害に遭われた方は、三井住友振り込め詐欺資金返還ホットライン 0120-950-136に電話をしてください。

追記(8月31日午前11時):Flagship Japanが31日朝、公式Facebookページに「公演の詳細は再度発表」「返金には応じる」旨を掲載した。

Facebook: flagshipjapan

興行元はBuzzFeed Newsの取材に対し「告知通り、4月に開催予定。9月に現地に飛んで打ち合わせすることになっている」「東京以外の各地もスケジュールと会場はすでに押さえ済み。追って発表する」「現段階で返金を希望する人には応じるが、しばらくは再購入できるよう確保しておく」と答えた。

双方の見解が食い違っているため、英国のセルゲイ・ポルーニンのエージェントに連絡をとり、事実確認とコメントを求めている。

再追記(9月1日)

BuzzFeed Newsは、ポルーニンの代理人Tatiana Tokareva氏にメールで取材を申し込んだ。

代理人からは31日夜(日本時間)、「問い合わせがあった日程で東京で公演する予定はありません。販売されているチケットは正規のものではなく、我々もこの公演について関知していません」とする回答があった。

Flagship Japanの辻孝文氏はBuzzFeed Newsの取材に「ポルーニンには複数のエージェントがいるはず、異なる人にアプローチしているのでは」と話していたのでこの点も確認した。

ポルーニンの代理人は「複数人で動いているのは事実だが、『日本での公演予定はない』は、チームとしてのフィードバック」と答え、辻氏の話を否定した。

ただ現時点では、ポルーニンの代理人側では、公式WebサイトやFacebookなどで、本件についてアナウンスする予定はないという。

BuzzFeed Newsはこの回答をふまえて9月1日午前、東京公演の会場とされているオペラシティコンサートホールにあらためて問い合わせた。

ホール側によると、30日時点で仮押さえだった契約は、現時点でも「本契約に至っていない」という。

通常の業務フローであれば、仮押さえは失効する段階だが、このような騒動になっており、公演Webページも残されたままなので「Flagship Japan側と直接会い、事実を確認するまでは保留」の判断をとるとのことだった。

ホール側からもここ数日にわたり、辻氏に電話やメールで何度も連絡しているが、辻氏からの応答はないという。

BuzzFeed Newsは、こういった点を踏まえて、辻氏にあらためてメールや電話で連絡を取ろうとしているが、1日正午段階で電話に応答がなく、メールへの返信もない状態だ。