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1年かけて相手を探し、15時間かけて人生を聞く。「ねほりんぱほりん」ができるまで

シーズン2放送決定に「待ってました!」の声続々。顔出しNGゲストの赤裸々トーク番組ができるまで、プロデューサーに聞きました。

偽装キラキラ女子、宝くじ1億円当選者、占い師、ナンパ教室に通う男……。

普通に暮らしているとそうそう出会わない人々の人生が垣間見え、人気を集めた「ねほぱほ」。半年ぶりの復活に「待ってた!」というファンの方もきっと多いはず!

BuzzFeed Newsは、シーズン2の放送を前に、大古滋久チーフ・プロデューサーにインタビュー。これまでの「ねほぱほ」を振り返りながら、今後の見どころを聞きました。

ネット民の「素材」になりたい

――復活うれしいです! 9月1日の特番での新シーズン発表、すごい反響でしたね。

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【速報JUST IN】ねほりんぱほりん、10月からEテレでシーズン2スタート #ねほりんぱほりん

1万RT近い大反響!

あれは本当にうれしかったです! 春に放送が終わってから(シーズン1は2016年10月〜17年3月放送)ちょこちょこ「復活待ってます」の声はいただいていたのですが、いざ発表するとSNSでも直接のお問い合わせでも予想をはるかに超える反響で。

たくさんの方に期待されているのがうれしく思う反面、プレッシャーも感じています。

――放送中、毎週のようにTwitterでトレンドに入っていました。最初からネットユーザーを味方につけようという狙いはあったのでしょうか?

「ネットの人たちに振り向いてほしい」という気持ちはありました。テレビ離れ、NHK離れの時代に、スマホではなくテレビを見てもらうにはどうしたらいいんだろう? と。

――特番でもあらためて思いましたが、Twitterやブログの使い方が本当に上手ですよね。

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【ヒモと暮らす女・まとめ】月曜、おつかれさまでした。先日の特番からディレクターが“ここを聞いてもらえば大丈夫”というところを夜なべで書き起こしました。見逃してしまった方、シェアされたい方、ぜひご覧ください→ https://t.co/ZxPFSJUa15 #ねほりんぱほりん

見逃した人はテキストでも楽しめる

「素材を提供する」ことは意識していますね。Twitterでの画像配布やブログでの書き起こしもそうなんですが、画面作りの上でも。

テレビ番組はあるシーンが切り取られてバズることが多いので、ゲストの印象的な発言はあえて名言っぽくテロップにして、キャプチャした時にインパクトがあるよう工夫しています。

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そのキャプチャを起点に、一言突っ込んだり、自分の話をしたり、議論が始まったり。番組だけで終わらない「素材」になっていることがとてもうれしいです。

1年かけて出会えた人も。最低15時間は人生を聞く

――「キラキラ女子」「ナンパ師」など放送前からネット受け抜群な回から、「元薬物中毒者」「保育士」など社会問題のような回までありました。

【ねほりんぱほりん養子まとめ】YOUさんも泣いた、ケイタさん育てのお母さんからの手紙も全編収録した5分動画まとめ https://t.co/F0FHy2sCMt テキストまとめ https://t.co/lcX3wtsIW0 家族が集まる年末年始に、ぜひ。 #ねほりん

シーズン1の全16回は、番組の可能性をなるべく広く見せたい、できるだけ大きな十六角形を描きたい、という思いでテーマを選んでいました。

ゆるいものから下世話なもの、硬派な社会派まで……。この方針はシーズン2も変わりません。

――「こんな人とどこで出会うの!?」というテーマばかりですが、取材はどう進めているんでしょうか。

とにかく足です。ひたすら細い糸を手繰り寄せるように人に会って、話を聞いていきます。お察しの通りね、大変なんですよ……(笑)。常に20テーマ以上、並行して進めていますが、1年以上取材してやっと出会えた人もいます。

ディレクター陣は、取材対象者と何度も会って、15時間以上は話しています。それくらい時間をかけて心を開いてもらわなければ引き出せない言葉がある。

なので、「テーマに合う人が数人いた」というレベルでは全然番組になりません。どう育ってきたか、どう考えてきたか、今何をしているのか、その人の人間性や人生そのもので30分の番組が作れるような人に出会えないとゴーサインは出しません。

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だから、最初に想定していたテーマからずれることもありますよ。

例えば「ハイスペ婚の女」は、「元ミスコン」の取材から生まれたテーマでした。ミスコンの肩書きを武器に、女子アナを目指したりハイスペックな男性を狙ったりしている人がいることがわかり、その流れで「ハイスペ婚」に目を向けてみたらかなり面白かったので、テーマを完全にシフトして放送しました。

特番で放送した「ヒモと暮らす女」も、最初は「ヒモ」の取材をしていたんです。養っている女性側の方が興味深かったので、そちらに軸足を移した回でした。

「見つかったらそこで終了」ではなく、本当にこの切り口でいいのか、もっと面白い切り口はないか、いつも考えています。

騙されかけた…!収録直前でお蔵入り

――これまで特に大変だった回はありますか?

それぞれ思い出はあるんだけど……「地下アイドル」かなぁ。

「みんなそういうふうにいろいろ考えて試すんです、自分のオリジナリティーを出そうって。ハグチェキ、土下座チェキ、手ブラチェキ」 #ねほりん #地下アイドル

――え! こう言ってはなんですが、あたるアテはたくさんありそうですよね。

そうなんです、取材は70人以上したんですけどね。それぞれ面白いんですが、皆さんまだ若いので1人の人生を深掘りするやり方は難しい。

でも、これだけやってきたから捨てきれず……(笑)。結局、群像劇のようにたくさんの人に登場していただいて、前後編で紹介しました。

「ずーっと私だけを、自分の大事な時期を使って、平日でも土日でも来てくっださるんですよ。すごいマジ神だと思うんですよ。本当に神だと思うんですよ」山里「無償の愛だからね」#ねほりん #地下アイドル

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逆にギリギリでやめたものもあります。あるサービスを利用する客を探していたのですが、軒並み取材を断られる中、「うちのお客さんに話聞いてくださいよ」と妙に協力的な会社が現れて。

民放各社の取材実績もある会社で、最初はありがたく仲介してもらっていたんですが、会う度に経験談が少しずつ変わっていて、他にも「ちょっと変だな」という疑いがいろいろ出てきたんですよ。

……で、あらゆる面から裏をとっていったら、最終的にはスタジオに呼ぼうと思っていた「お客さん」は、会社が用意したサクラだったことがわかりました。

あれは危なかったですね……収録日まで決まっていたのですが、直前で全部ナシになりました。

視聴者の方からの「取材してください」という売り込みもそれなりにあるのですが、企画に結びつくことは正直あまりないですね。ワケアリなはずなのに、積極的に話したがる人はやっぱり怪しい。

基本はディレクターが自分で探して、会いに行って、話を聞いて、の繰り返しです。

「攻めてる」と言われるけれど…

――番組は人形劇を使ったコミカルなノリですが、取材過程はかなり硬派ですね。

よく「攻めてる」と表現されるんですが、僕はいまいちその表現がピンとこないんですよね。制作側としてはむしろ「守り」の姿勢も強いというか、地道に、オーソドックスにやってるんですよ。

「ねほりんぱほりん」を作っていると、昔、川良浩和さん(名作ドキュメンタリーを多数制作しているNHKのプロデューサー)がおっしゃっていた「いい番組は掘るところがハッキリしている」という言葉を思い出します。

「掘る円さえ決まっていれば、あとはそこをひたすら掘っていくだけ」「その穴が深いほど、人それぞれ感じるものが違ってくる。それがいい番組」。

企画を作る時どうしても「〜を通して〜を描く」とか簡単に言ってしまいがちじゃないですか。でも、結論はこちらが作るものではないんです。どう考えるか、感じるかは視聴者に委ねなくてはいけない。

ディレクターにも、取材の時には「なんで?」よりも「そんで?」を繰り返せ、と言っています。先入観を持たずに、こちらの枠にはめずに、具体的で個人的な話を引き出すように。

この番組の出発点は「根掘り葉掘り」ですから。社会問題を訴えたいわけでも、お説教したいわけでもなくて、その人を深く知ろうというスタンスは、番組を作る上でも強く意識しています。

――毎回、番組のラストで掲げられる「ニンゲンっておもしろい」の言葉にも通じますね。

そう、面白いというか、憎めないというか……。

どんなにぶっ飛んでいる人でも、15時間も会って話すと、ディレクターはその人に思い入れちゃうんですよ。「ダメ人間だけど、いいところもあるな」って気持ちになるんです(笑)。

ひとつずつのエピソードや考え方は「ありえない」でも「人間だからやっちゃうよね」「わかる部分もある」と感じてもらえたらすごくうれしいですね。

これから放送の「少年院に入っていた人」も「元サークルクラッシャー」も、自分もそうでしたって人は圧倒的に少ないと思うんですよ(笑)。でも、自分とは全然違うと思っていた人間でも、よくよく話を聞いていくと、どこか同じところがある。そういう地続き感があればいいなと思っています。

今後のテーマは?

シーズン2は2018年3月までの放送を予定。毎月前半2回は新作、後半は過去のアンコール放送となる予定です。

新テーマとして、10月は「少年院に入っていた人」「元サークルクラッシャー」、11月は「パパ活女子」「ネトゲ廃人」を取り上げます。

NHK

10月4日「少年院に入っていた人」。ゲストは逮捕歴15回・少年院送致2回の経験を持つ男性と、同じく少年院に入った経験のある妻。履歴書に書けない過去、決まらない仕事、つい出てしまう荒い性格……ほしいものをすべて“力”で手に入れてきた人間は、まっとうに働く平穏な日々を手に入れられるのか?

他にも「過保護すぎるママ」「元子役」「介護士」……などを鋭意取材中とのこと。

ますます目が離せない「ねほぱほ」。水曜の夜はスマホ片手に楽しんでくださいね♡