もやしの価格「安すぎる」生産者が悲鳴 「一袋1円」で売られるからくり

    生産コストは上がっても、販売価格は40年前よりも安い現状。「特売品」に使われやすい理由は?

    節約の味方「もやし」が危ない? もやし生産者協会が「販売価格が安すぎる、適正価格ではない」と訴える声明を発表しました。

    スーパーで30円程度、安い時は10円台、特売セールで「5円!」なんてこともある、もやし。

    SARUの近くのファミマでもやし安売りしとる🙄

    しかし考えてみれば、そもそもなんでこんなに安いの……?

    BuzzFeed Newsは同協会に聞きました。

    生産コストは上昇、販売価格は安く

    総務省家計調査によると、もやしの販売価格は100グラムあたり15.61円。一般的にスーパーで売られている一袋(200グラム)に換算すると約30円となります。なんと、40年前の価格よりも低いようです。

    しかし、生産コスト自体は特にこの10年で上昇しています。もやしの原料となる緑豆の高騰や質の定価、最低賃金の上昇、運送費の上昇などが主な理由です。

    生産コストが上がれば価格も上がる……のが自然に思えますが、そうできない理由はあるのでしょうか?

    「今の窮状はもやし農家のみなさんが、安定的に供給し続けることを最優先に考えてきたからこそ、なんです」

    もやし生産者協会の事務局の担当者は、こう話します。

    もやしの特長は、通常の野菜や果物の生産と異なり、天候に関わらず安定して生産できること。豆を水に浸し、一定時間後に収穫する過程は、屋内の工場で管理されます。

    当然、機械化でコストダウンできる部分もあり、原料や労働コストの増加をなんとかまかなってきました。

    しかしそれも限界。小売店側の納品価格を上げる交渉も難しいようです。

    それは、もやしが安定的な供給を見込まれてきたからこそ。「特売品」「目玉商品」として、季節災害などで野菜が高騰する時期にも活用されてきた経緯があります。

    「いつでも安く買えて当然」という印象ゆえ、価格変動も少ないのが現状です。

    生産者の声を聞く限り、卸値よりも安く販売されているケースも少なくないそう。とはいえ、スーパーが身銭を切って安く売ること自体は問題ないのでは……?

    「赤字を出してまで安く売ること自体は小売店さんの裁量ですが、『隣のスーパーの値段に対抗しなくては。売値を合わせるために仕入れ値を下げたい』と無理な価格交渉につながる可能性があります」

    「あとは、単純に、自分たちが作ったものが投げ売りのような値段で売られているのは『そんな程度』と思われているようで悲しいですよね……。極端な価格破壊が進むと、長期的にもやしの価値自体が損なわれていくのでは? という危惧があります」

    「せめて40円で売ってほしい」

    2009年には全国で230社以上あった生産者は100社以上廃業し、現在では130社以下になっています。「苦しい時期を乗り越えられる大手でなければ厳しくなっている、のが現状です」。

    同協会はきちんと利益を上げ、今後も生産を続けていくには「せめて小売店では40円程度で売ってほしい」と話しています。

    もやし業界の人「もやしの値段が安すぎて経営が苦しいのです。値上げさせてください」 僕(なるほど…一袋38円はやっぱり無理があったのか。これからは1袋100円とかになるのかな。きついけど仕方ないか) も業人「せめて、1袋40円で!!!」 僕「……いや、もうちょっと上げよう?」

    「反響の多くは『安すぎると思っていた』『生産者に還元されるように』など好意的なものですが、『40円になったら高すぎる、困る』という声も届いています」

    「これからも安定して安価に提供していきたい気持ちは当然ありますし、だからこそビジネスとして継続できる収益体制を整えたい。消費者の方から『多少値上げしても買う』という声が上がったことが今後につながれば」