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映画「ハクソー・リッジ」は沖縄の地名。でも宣伝文句に「沖縄」の言葉はゼロ…なぜ?

戦時中の米国軍を描いたメル・ギブソン監督「ハクソー・リッジ」が日本公開。実はこのタイトル、壮絶な戦闘がおこなわれた沖縄のある地名なのです。しかし、宣伝文句や予告編では「沖縄」への言及はゼロ。一体なぜ?

メル・ギブソン監督の10年ぶりの作品として昨年11月に米国で公開。大戦末期の壮絶な戦闘を描いており、後半ではリアルで凄惨なシーンも多い。

タイトルからは連想しづらいが、実は映画の後半で描かれる激戦地「ハクソー・リッジ」は、沖縄・浦添市の「前田高地」のことだ。

のこぎりのようにそびえ立つ、高さ150メートルの断崖絶壁の崖を指し、米国軍がこう呼んだという。

しかしこの映画、日本公開にあたって、タイトルでも予告編でも「沖縄」を示す言葉は一切ない。

公式サイトでも、用語解説としてハクソー・リッジが沖縄のある場所を指すことは書かれているが、あらすじ紹介ではそのことに触れていない。

ネット上では映画ファンのあいだで「実話をベースにしたストーリーでありながら、なぜ?」「不自然に思える」など疑問の声が上がっていた。

『ハクソー・リッジ』本予告編 https://t.co/hJqJRdSISC @YouTubeさんから 前も書いたけど、予告では沖縄戦の話だとひとことも言わないのです(日本軍が相手とも言わない)。実話をうたいつつ、この回避っぷりはむしろ感心します。

加えて、6月20日にお笑い芸人を起用して行われた宣伝イベントが「過酷な特訓」をテーマにしたコミカルなものだったことが不満に火を付けた。

Twitterでは「映画の内容と落差がありすぎる」「観客を騙していると言っていい」と強い非難の声が挙がっている。

沖縄戦を描く映画「ハクソー・リッジ」の公開を前に、舞台となった浦添市の反応と、東京の代理店主催のイベントのおぞましい落差は、史実を扱う映画やブラックツーリズムのあり方を問う、拡張性の高いテーマだと思う。誰か制御モデルを作ってほしい。https://t.co/MvtC0e0nvn

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「ハクソー・リッジ」は「沖縄が舞台」で、宗教上の理由で「人を殺せない衛生兵が主人公」の「実話」を元にした映画なわけ。この3つの要素を推すよりもお笑い芸人とかアイドルにミニゲームやらせたほうが観に来ると思われてるのが、日本の観客。つまりは幼稚園児と同じ扱い

宣伝において「沖縄」の明示を避ける理由、そして現地の人々の心象は。

BuzzFeed Newsは、配給会社のキノフィルムズと浦添市役所に話を聞いた。

沖縄表記を避けたのは「配慮」

「沖縄の表記を前面に出していないのは、沖縄の方への配慮。舞台が沖縄であることにフォーカスして宣伝することで、観た後に複雑な思いを抱く人もいるのではないかと考えた」

キノフィルムズの担当者はこう話す。

映画の中で描かれるのは一貫して米国軍から見た戦闘、そして一人の衛生兵の英雄的な活躍だ。

宗教上の理由で「生涯、武器には触らない」と誓った主人公がその信念を貫き、戦場で医療行為をする衛生兵になる。彼が派遣される激戦地として「ハクソー・リッジ」での苛烈な戦闘が描かれる。

敵味方関係なく手当てを施すシーンもあるが、物語の上では日本軍は明確に「敵」であり、その背景や舞台になった沖縄の地にはほとんど触れられない。

実際、観た人の感想を見ると「一般住民の被害が描かれていないのが気になった」「アメリカ美談に感じた」などの声もあるのは事実だ。映画とはいえ「遺族や被害者が傷つく側面もあるかもしれない」という配慮という。

公開前日の6月23日が沖縄戦の戦没者を悼む「慰霊の日」だったことにも留意したという。「タイミング的にも、変に煽るようなイメージにはしたくなかった。全国的にうたうのは避けた」。

芸能人を起用した、内容とかけ離れた宣伝イベントに非難が上がっているが、その点はどう考えているのだろうか。

「実話を元にしているが、エンターテインメント作品でもある。全国300館規模の公開にあたって、まずは1人でも多くの方に認知を広げたい」

「いろいろなご意見があることは認識している。直接寄せられた中にも、沖縄をもっと前面に出すべきという声も、逆に、このような“反日的な”映画を公開するのかという声もあった」と複雑な思いを覗かせた。

宣伝文句としてはうたっていないものの、現地自治体とは連携。公式アカウントでも浦添市長の感想を紹介している。

【続き】そして、その舞台となった浦添の松本哲治市長より、本作へのコメントを頂いております。「観た人たちがこの映画を通して、これまでと違った視点から戦争の愚かさや平和の尊さ、命の意味について見つめ直して頂きたいと願います。」松本哲治… https://t.co/nuzGUcl9Fl

映画の舞台、沖縄・浦添市の反応は

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映画では取り上げられない部分に目を向けてもらおうと、市民の大きな犠牲を示すデータも公開。この戦いに巻き込まれ、当時の浦添村の住民の44.6%が死亡している。

『ハクソー・リッジ』の公開によせて https://t.co/9MWiQSlaJX 当時の戦災実態調査データを付しました。数字が伝える戦争の激しさ。映画ご鑑賞後は、より実感をもって伝わるのではないでしょうか。 #浦添

市民から「前田高地を舞台にした映画が公開された」と情報提供があり、同作を認識したのが昨年末。

今年に入って日本での公開が決まり、配給会社と連携しながら情報公開を進め、関連イベントも開催してきた。

国際交流課によると、沖縄県内の基地内で映画を観た米国人や、公開済みのオーストラリアや台湾からの観光客など、同作をきっかけに前田高地を訪れる人はすでに増えているという。

外国人観光客のために、特設ページの英語版も現在準備中だ。

浦添市側は、宣伝文句や予告編に「沖縄」「前田高地」の言葉がないことに関してどう感じているのだろうか。

「その点に確執はありません。なぜなら、浦添で起こったこと自体が重要なのではなく、映画という入り口から、多くの方に平和についてあらためて考えてほしいから」

「その上で、前田高地に関心を持って現地を運んで下さる方には少しでも理解が深まる情報を届けたい。FacebookやTwiterでも大きな反響をいただいている。映画公開後、さらにこの輪が広がれば」


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