電車で向かいの席の人が本を読んでいると思ったら……? 実はこれ、スマホケースなんです。新書に見えて。
「スマホをやめて本を読め」というタイトルも超シュール。
いや、今まさにめっちゃスマホ取り出して見てるじゃん!! と突っ込みたくなります。
読書家を装って意識高くスマホをいじれるユーモアたっぷりのこの「新書型スマホケース」、「天才の仕業」「これはほしい」とネットで話題を呼んでいます。
BuzzFeed Newsは、開発者のekoD Worksの福澤貴之代表に、開発の経緯やこだわりを聞きました。
みんなも自分も黙々とスマホをいじっている
――開発のきっかけは?
何かしら象徴的な出来事があったわけではなく、普段段から手が空いた時には何か面白いものを作れないかと考え、定期的にアイデアをまとめて企画を考える時間を設けています。本作の原形もそのうちのひとつです。
元になった要素としては、
- 過去にもスマホケースの企画を手がけノウハウがあったため、企画を考える際の選択肢として常に意識していたこと
- あちこちで見られる、人が大勢集まる場でみんなが黙々とスマホをいじっているある種異様な光景
- その光景を異様に感じながらも、次の瞬間には自分もスマホをいじっているという矛盾
- スマホの普及により本離れが進んでいるという声が世の中にあること(事実かどうかは別として)
- スマホをいじるよりも、同じ時間で読書をした方がためになるという論調が少なからず存在すること
- 恐らくその源流として、ゲームより勉強、漫画アニメより勉強が善とされる風潮が昔から世間一般にあること
- 向上心のある素振りを見せると一部から「意識高い系」として揶揄される最近の傾向
など、関連しそうないくつもの要素を脳内で結んだり開いたり捏ねたり捻ったりする中で、アイデアが形作られていきました。
――特にこだわった部分は?
一目でわかる新書らしさと、どこからともなく醸し出される偽物っぽさです。
パッと見で新書に見える必要があるため、実在する複数社の新書本の装丁から少しずつ要素を組み合わせ「初めて見る装丁だけど一目で新書だとわかる」表紙にしました。
単に「意識の高い」書籍を再現するのではなく、「意識高そうに見せようと装っている」本作のコンセプトを表現する内容にしました。
帯の「みんなが絶賛」といういい加減でバカっぽい表現や、「読書家のふりをして賢くなれた気分です」という堂々としたネタバレ。
本書の内容を章立てて紹介する体裁の裏表紙側の帯では、スマホ依存の危険性を警告しているのかと思いきや最後にオチががある……など、あちこちに小ネタを仕込むことで、どことなく偽物っぽさを醸し出せていると思います。
ケース本体も書籍のように見えるよう、帯状で留め具が付いていない手帳ケースを採用しています。
内面のカードポケットの有無など、実用面も損なわない仕様を求めて選定しました。
――ネットの反応は?
面白い、ほしい、この発想はなかった、など、作家冥利につきるコメントが多く見られ、大変ありがたいです。
個人的にも「一見賢そうに見えつつ小ネタを散りばめる」というコンセプトを1つの製品内でうまく表現できたので、お気に入りの一品になりました。